第六十四話 Tより永遠に/アーティスティック・パーイ
出立70日目 タイ11日目 チェンマイ6~パーイ1日目
正直更新しなくていいんじゃねぇかみたいな日記をつづっていたここ数日(当人は楽しいわけだが)。
ようやっと移動です。
パーイという、チェンマイから北に移動した山間の町。
バックパッカーの中でも沈没者多発で有名な危険地帯である。
バスターミナルまでソンテウで移動した我々は、その場で切符購入。幸いにも、すぐ後のものが取れた。
このパーイまでの道のりだが、山道ということもあり、160キロくらいの道のりにの中に、762個の曲がり角がある、だったかな?とにかくグニャグニャしていて、要はしんどい、ということだ。
表示時間で3時間半だから、タイ補正なら4時間といったところか。
移動に備えて、BAAN bakeryでパンを買い込む。昼込みで5つ。
・フランスカレー カリカリのフランスパン生地と、カレーのまろやかさが好対照。パンとの配分もばっちりで、腹応え十分な一品。
・あんドーナツ パンよりこちら、というファンが多い。ずっしり多めのあんがうれしい。ドーナツ生地で、見た目に以上のボリューム感。
・全粒粉ハムチーズトースト パンの触感が楽しい、シンプルな一品。ハムとチーズの組み合わせ最強説。
・パイナップルデニッシュ 輪切りが真ん中に収まった、堂々の品。ジューシーな果肉とサクサクのデニッシュ生地、カスタードのトリプルコンボで昇天。
・チェリーデニッシュ 軽めにコンポートされたチェリーがのった、目を引く逸品。やはりデニッシュのサクサク~チェリー素材の生きた味で、幸せ感がすごい。
何か、パンってこんなにうまかったっけ?惣菜パンって、国内でも、ここ最近パン屋で買ってなかったからなのか、インフレ起こしてる?それにしてもうまい。
ちなみに、場所的にはチェンマイ門からわずかに西、斜めに入る路地とクロスした道をまっすぐ南下すると、原付ありまくりの道の先にある。お越しの際は是非。
話が逸れた。10時半出発のバスで、さっき食った3つのパンが生まれ変わる方じゃないリバースをしないように祈りながら、爆睡。中間地点までは何も感じずについたが、そこから先は眠くなかったこともあり、意識あり。おお、揺れる!ヤバい!
―メディテーション。
また一つ、宇宙の真理に近づいたか。
本日のホテルは街の中心地から川を渡った、バンガロータイプが多く並ぶ地域。そのため、やや距離があることはわかっていたが、ちょっと山の上だった。汗かきながらなんとか到着すると、欧米人どもが半裸で、早くも酒を飲みながら、プールサイド(街を見下ろせる位置についていた)でご機嫌である。さすがパーイ!姉ちゃんたちの……いや、何でもない。
どうやら欧米人たちが経営しているらしく、ちょっとそのノリにこっちは引き気味。
落ち着こうということでカフェに。通り過ぎるのは欧米人が多いが、中国・韓国人も増えているようだ。ヴァンヴィエン式になったら、日本人は来ないだろう。
街の規模は小さく、散策すれば小一時間で見終わる。セブンイレブンとゲストハウスの数が多い。
一旦戻った我々は頃合いを見て、再び町へ。夕飯とナイトマーケットのためである。
ベジ夕食を済ませて向かうと、おお、やってるやってる。メインストリートと路地二つくらいを利用したマーケット。マーケット自体は見慣れたものだが、ここのは違う。
そう、センスがいいのだ。
売っている物はTシャツ一つとっても、デザインがイケている。下で見たやっつけで地名の入った、地元人が見たらpgrなデザインとは訳が違う(別素材生地張りでアクセントつけてたり)。
品ぞろえの豊かさだけでなく、ディスプレイにもセンスを感じる。
・他の街→シートに並べるだけ
・パーイ→ディスプレイ
輸送用のバン自体をディスプレイの一つとして生かしたり、通常の店舗も店の雰囲気作りがかわいいのだ。
死んだと思っていた前職の感覚が久々に持ち上がり、かわいい連発。これ提案したーい、と、客も思い当たらないのに連発。気持ち悪いおっさんである。
どうやらこの街、アートの街としても盛り上がっているらしいのだ。
かわいい雑貨なら、パーイがおすすめ。前職の同僚たちにも見てほしい素敵さであった。
また荷物増えるかな……。
宿に戻ると、宿はパーティ状態である。というか、パーティ中である。
レディボーイパーティ。
そうか、それでブラ付けた兄ちゃんが歩いているのか。この人、昼見た時はこんな感じだったか?つーか、髭も生やしてるし、適当だし、なんていうか本当にそうなのか判断できん。下手したらディスってると言えなくもないわけだが……。
ちょっとアレ気な雰囲気の中、至って普通にステージでは弾き語り。異世界だ。ここは異世界だよ。
離れてボーっとしていると、リョウ君が興奮した面持ちでやって来た。
「僕がずっと見たかった日本人バンドがやるみたいです!」
ほう、何という偶然。行ってみると、鍛えられた上半身裸の男が長髪を結い、太鼓(でいいのか?)を激しくドラミング。その横で、長い角笛というか、ホルンのような楽器(ディジュリドゥだったか。間違ってたら直します)、を吹くこれまた半裸の男。キャンプファイヤーに照らされ、鬼気迫る激しいアクションと、聞いたことのない音のハーモニー。なんだこれは!?
彼らは「MOO-TALA’S」。海外(国内も)を飛び回りながら、各地で演奏して回ってるらしい。
演奏終了後、リョウ君に引っ張られて彼らの話を聞いてみたわけであるが、これから街の方で演奏をし、ドラムを交えた本気バージョンでやるという。
行くしかないべ!とバイクに乗せてもらう我々。
店の中は静かなもんだったが、彼らの演奏前になると、あっという間に観客が増えていた。日本人も多数。
そして、ドラムを交えた演奏は、確かに一味違った。重みと激しさが増し、腹に響く!スゲー!かっけー!!
欧米人たちもノリノリで踊りだす。その前までの奏者たちが霞む、独壇場である。
異国の地でこんなにパワフルに活動している日本人がいるとは……。
いろいろ考えさせられるなぁ。
客の日本人の中には、同じくバンドマンや明日向かう予定の日本人村で暮らす方もいた。
特に後者は、リョウ君の相方の知り合いで、彼がタイでずっと会いたかった人だったそうだ。
そう、懸命な方はお分かりかと思うが、ここまでリョウ君におんぶにだっこで、私は流されてタイ乱島。だって、放浪的な意味でのアウトローな人、あんま周りにいなかったし、異世界なんだもん……。
男の「でもでもだって」は見苦しいな。
つーか、どんだけ人脈あるんだ、リョウ君(の彼女)。
そんなわけで、久しぶりに夜更かししてもうた。
明日はパーイの郊外に行ってQ。