新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第二百五十五話 C 32歳の革命 / ナチュラルに恋して

出立44~6日目(通算294~6日目)キューバ19~21日目 バラコア1~3日目~サンティアゴ・デ・クーバ 6日目~

 

 

丁度チェックインのタイミングだったバスに乗り込み、下手するとずれ落ちる座席というハンディを抱えながらのバス旅は、相変わらず運転手たちの気ままに任せていた。

 

残り20kmを切った辺りで民家っぽい家の前で泊まる。妙なところでトイレ休憩だな、と思っていたら、そこの台所みたいな狭いスペースで食事を始めるビアスールスタッフ。

当然民家みたいなところにそれ以上の食事スペースがあるわけでもなく、軒先でこじんまりと売っている千巻みたいなもの(ククルチョという、ココナッツと黒砂糖を混ぜたスイーツらしい)やフルーツを買って食べる欧米人たち。

うーむ、彼らの事情もあるんだろうが、それを差し置いても、これはないだろ。ヒロンの前の休憩時だってレストランだったぞ。お前らしか楽しめないじゃん!

何かこれ、前にもどこかの国で見たな……まぁ、こういうのがあるから「おもてなし」とか言って胸張れるんだよな、ウチも。

 

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バラコアはキューバ最東端にある都市で、1511年にスペイン人征服者ディエゴ・ベラスケス・デクエリャルによってきずかれた、キューバ最古の街。かのコロンブスが「世界最大の美」とたたえた大自然に囲まれた港町だ。

 

そしてつくなり来ましたよ、客引きたちが。そこに私の名前を発見。おばさま、当然だがスペイン語しか話せないが、自転車タクシー(ビシタクシー)の運ちゃんが英語で話せ、彼が荷物を積んで、それに乗っかっていく。

自転車タクシー自体はサンティアゴなどにも会ったが、この小さい街では主な足として活躍する様だ。海沿いの道を走り、風が心地いい。

 

と思ったらビシタクシーはセントロを大きく過ぎ、ダウンタウンの方へ。更に地域住民がけだるげに過ごす路地に入り、一番奥で泊まった。えっ!?だ、大丈夫!?なんか、すげータダの家で、もう海沿い感ゼロで20CUCとか言わないよね!?という不安を見事に打ち消す、リゾート感。

 

3階はバルコニーになっており、遠目に海が見える。街は遠いが最寄りの海水浴場まで近い点は評価できるだろう。

 

チェックインを済ませると、夕飯はウチでつくれる、という。

「外で食べる食材なんてやばいヤツで腹をこわす。ウチならフレッシュなのだから」とスペイン語でそんなようなことを言っていた。今朝の件とS女史がいう「レストランの食材は売り払ってえげつないもの使ってる説」も浮かんだので、お願いした。

 

さて、水着に着替え、まずはセントロへ。ツーリストオフィスでツアー情報の入手だ。

 

街自体は小さいが、この外へ向かうツアーの起点としても有名なこの街。大きく分けてチョコレート農園見るのと、街のシンボル的に背後にそびえるテーブルマウンテンのユンケ山を見に行くもの、そしてキューバの多彩な動植物に会えるフンボルト公園ツアーの3つが有名だ。

 

ゲバラの作らせたチョコレート工場に奇怪な格好で乗り込むのも楽しそうだが、いろいろ話を聞いてフンボルトにする。名前だけ書いといて、当日朝に集合、金を払う形だ。

 

街を散策する。

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2012年に修復したばかりのバラコア教会。

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やはりシンプルなつくりだな。

 

サンティアゴより暑くないが、見るものもない。ビーチに向かう。

 

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おお、いいじゃん!砂は黒っぽいけど海はきれい。何より背後の山にヤシの木が乱立しているのがシュール。

よし、早速入ってみよう!と息巻く私を襲う波。い、痛い!なんだこれはっ!?

しばらくトライしていると、背後から笛を吹いたが体のいい兄ちゃんが登場。えっ?遊泳エリアじゃない?そっか―ごめんごめん、それでこんな感じなんだー。パラソルもあるし、特に何も書いてなかったから行けると思ってたわ。それなら移動して……再チェレンジ!

 

ザッパーン!倍の痛さ!スゲー打ち付けて来る!いてぇ、いてぇよ。うっすらと、さっき注意受けた時から遠目に見てうっすらと、違いが感じられなかったわけだが、案の定じゃないか!!

 

風が強いからなのか、適度に戯れて出る。まぁ、三十路越えた男が一人でビーチですることなんてたかが知れてるからな!帰りにビールを飲み、街を散策して宿に戻っていく。

それにしても、ここの人たちはサンティアゴに比べて静かだし、気さくに挨拶してくる点はそのままに、「チーノ!」と意味なく叫んでこないから気が楽。こっちの対応もよくなるってもんだ。これならサンティアゴ一日減らしてこっちに振ればよかったな……。

 

そして頼んでいた夕食の時間。

 

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おお、いい感じに見える!ではいただきます!

 

うむ、微妙……!海辺だからと魚にしたが、火を通し過ぎてゴムに近い。味自体は悪くはないが、ソースもスープもトマト系。生野菜もトマト。さてはトマトしかないんだな!?

 

他人の情報では、ココナツ味にしたのを食べたとか、おいしかったという話があったが、これはハズレだな。おそらく人もそんなに来ないから置いてる野菜の種類もないんだろう。全く食が進まない。絶対自分で作った方がうまいし。飲み物もつかないのにレオとヤミの家より高いとかないわー。結局頑張ったがお残しを出し、翌日の夕飯は断った。

 

朝食はパンとオムレツ、グアバジュースというところはスタンダードに、あとはハムとチーズという加工品。そうか、フルーツもグアバしかないのか。バラコアはチョコレート農場があるゆえ、朝からチョコラテが出た、という人もあったが、どうもここはこの土地らしさというものが味わえるカサではないらしい。

 

気を取り直してツアーに出掛ける。申し込んだところから少し歩いて、そこにゾロゾロト人が集まり出す。私の願いは2つ。誰かはいますように、と、他が全員カップルという事態は避けられますように、だ。

10人の参加者は夫婦者と同性同士、私を含めたソロの男が2人。よし!

しかし、安心してはいけなかったのだ。

 

6人と4人で乗用車に分かれて搭乗。私は6人の方に乗ったが、何と私以外が全員フランス人。車内ではフランス語で会話が延々と続けられる。いやぁ、最初は「私の英語のリスニングもまだまだだなぁ。いや、スペイン語か?」と思っていたが、隣のソロフランス人の発音の仕方で分かった。もうこれは笑うしかない。窓の外の自然すごーい。

しかし、全くこちらを気にかけてこない。世にいうフランス選民思想というヤツか。フランス語を話さぬものは人にあらず、的な。バックパッカーだとあまり感じないけど。

 

他の国―イタリア人とかドイツ人なら確実に英語で話しかけて来るよな。こういうことする民族といえば―中国人か。とか胡乱なネガティブ思考全開で考えながら、車は森林に突入し、川を豪快に渡る!ジャングルクルーズ感!

 

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もう一組を待つ間、売店へ。ここはもう大自然。犬、鶏、七面鳥、豚、オウム?となんでもいる。そういえば町にもいたが、何故か逃げない。不思議。

 

さぁ、さっそく出発だ。

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アレハンドロ・デ・フンボルト国立公園は、19世紀にこの地を調査したドイツ人科学者の名前を取ったものだ。彼は3,600種にのぼる動植物、鳥類を発見し、「キューバ第2の発見者」とされた。生物の多様性と自然の豊かさに鑑みて、2001年に世界遺産に登録されている。

 

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入り口の売店に大量にいたコレ。「ポリミータ」というバラコアの固有種で、黄色、オレンジ、白と多種多様なカラーがいる。このほかにも絶滅危惧種や世界最小のハチドリやカエルなど、多様な生物が600km²という広大な敷地に生息している。

 

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人もいる。牛が見たことない形状してる……よく見ると、男性の後ろにはどう見ても丸焼きの準備にしか見えない拿捕された豚。放し飼いにされる豚もいる中、こいつはどんな運命をたどるのだろうか……。

 

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アーモンドの木や

 

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アボカドの木とか、初めて見る。こんな風になってるのか……。

 

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幹に針状の突起がある木。ここに身を隠して天敵を逃れるのもいるというから、うまくできている。

 

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フェルトみたいな草。

 

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カメレオンや!

 

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私のiPhoneの限界に挑戦した鳥の画像。こういう時にいいカメラがあると違うね。他にも撮れなかったのはたくさん……。

 

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白アリと思われるアリ塚に突っ込まれた棒を引き抜くガイドのレンジャー。彼にピントが合ったことが幸か不幸か。やはりプロで、擬態したカメレオンを見つけたり木々の間に取りを見つけたりという本領を発揮。そして巨大なアブというか何かに、彼が集中的に狙われる謎。虫によく刺される私が虫よけもせずに大丈夫かと思っていたが、意外にもほぼ被害はない。

 

歩く道すがら、別の車に乗っていたイタリア人に話しかけられた。一月前に日本に行ったらしい。やはりイタリア人は話しかけてきたな!というか、残りの車の搭乗者は全員イタリア人だった様だ。何で固まってるんだよっ!

 

そしてフランス人共、特に男はぺちゃくちゃ喋る。お前らさ、そういうのがあると動物も鳥も逃げるとか、そういうこと考えられないわけ?沸々と堪るフラストレーションだったが、雄大な景色と黙々と先頭を行くフランス人の姉ちゃんのおみ足を見て癒される。やはりいいなぁ、ホットパ……大自然は!

 

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この木の葉は地図とか記録用に使われたらしく、大変に硬い。しかし、こういう心ないことを平気でやっていくバカがいるわけだ。そういえばちょっと前にもバカな日本人の大学生がいたな。リスペクトを忘れてはいけない。

 

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川の中腹にタイドプールみたいになっているところがあり、ここで30分休憩になった。当然泳ぐ。透明度が高く、汗をかいた体に大変心地いい。多少曇って歩き易かったとはいえ、日差しの凶器度は変わらない。

そしてフランス人女性2人による水着!車内で耐えた甲斐があったな!まぁ彼女らは特に喋ってなかったが!

 

更に進むと、目の前に川と牛車が。

「乗るなら1CUC、もちろん歩いてもいいぞ」とのこと。

勿論、心の中では明石チーフが『こいつはちょっとした冒険だな』と呟きますから、歩きますとも。歩いてる女子もいるのに乗れるかーっ!と思った男は私だけだった。うむ、バックパッカーはともかく、こういう時は女の方が強いな!

 

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こんな感じで川渡り。ドンドン悪路になっていくが、川の中は冷たくて気持ちいい。ハーフパンツはドンドン濡れるので、水着のままの方が何ならよかった。こういう時にホットパンツは……いろいろいいね!

 

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出口付近でお昼代わりに「バナナボール」を購入。

甘くないバナナに魚のほぐした身をピリ辛にしたものが入っている。コロッケが近いか。ついでにパインジュースも飲んだけど、うまかった。

道すがらでもバナナ、パイン、ココナツはこれ見よがしに売ってくる。さすがは自然の宝庫。

 

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帰りに1時間、マグワナビーチに寄ってくれる。白い砂浜が魅力の場所だが、海は若干荒れ気味。フランス人たちに付いて行って楽しむ。

 

行きと同じように車に搭乗。この頃にはさすがに興味を持ったのか、出身と旅の予定を聞かれた。6か月と聞いて驚いていたが、これで彼らが短期旅行者と知れるね。

 

宿に帰る前にリベンジとばかりに、『地球の歩き方』に載っているレストラン、カラルーへ。

 

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こちらが前菜にして名物のカラルーで、野菜をココナツで煮たものとか。うむ、旨い!

 

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更にメイン。魚のココナツ煮。うん、いいね。程よいほぐれ具合に、思ったよりサッパリ仕上げた味付けが嫌みがなくてよろしい。野菜の付け合わせも多いし、こういうことだぞ!

ビールと合わせて9.5CUCだったが、まぁ、昨日のアレを考えて、名物っぽいもの食いたかったので、よし!

 

宿に帰り着くと、朝食の時間を聞かれ、その後イマイチ要領を得ない事を言われる。が、どうやら昨日の夕飯の料金を払ってほしいらしい。そりゃ払うが、なんかどうもコイツ……って感じだ。確かにスペイン語を理解しない私が悪いが、前の宿のおかみさんはこんな当たり強くなかったぞ?

 

翌朝の朝食時もそっけない態度。パンの質も落ちたか?まぁ、加工品だらけというのはサンドイッチには向いているので、半分は昼飯に回そう。そういう意図か?

 

どうも暇な宿というのはいろいろ理由があるものだ。尤も、相性というのもあるから、一概に悪い所とは言えないが、まぁ、人には絶対勧めないよねwwということで、宿は紹介しません!

 

こうして出掛ける時もおかみのお母さんしか見当たらなかったので、笑顔で見送る彼女に手を振って宿を出た。

 

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ビアスールの駅までは結構あり、今回も何だかんだギリギリに登場。

おい、昨日のフランス人男と女子2人もいるじゃねぇか。世間せめー。

 

8:45発、15CUC。予定とほとんど変わらず、14時過ぎにサンティアゴへ。

このバスは直でハバナに向かうらしいが、まぁ知らなかったので……。それに到着が4時半くらいと、微妙に動きづらいので、ここはいいだろう。

 

さて、22時発のハバナ行まで時間があるので、タクシーとカサの勧誘を振り切り、セントロを目指す。害のない現地人と話しながら歩き、いつものカフェが……掃除中?仕方ないので近くのイートイン付きファストフード店みたいなとこでドイツ製の謎のドリンクを飲む。皆飲んでるが、別にうまくないな。

 

隣の公園に出てみるが、まだ暑い。すると変な親父が絡んできて、流れていた音楽に合わせて踊ることに。熱心に教えてくれ、女性役になった私を、現地人が携帯で撮っている。何だ、この画は。

 

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更に彼がチェスする様を見学するが、来ましたよ、「水買ってくれ」。

はぁ、お前らさぁ……。

 

教会前に移動して涼んでいると、今度は日本語勉強中のオヤジが。

彼に教えている内に「カフェに行こう」「食事はお前だけでいい」ということになるが、いつもの店に行きたいということで断る。彼は熱心に学んで、お礼を言って普通に去っていったので、単にもっと学びたかったのかもしれない。しかし、飯を食って向かうにはちょうどいい頃合いだ。

 

いつものところで人民飯。若干おつりが少なかったが、まぁ、お世話になったしな。別にいいや。

 

ビアスールステーションではチェックイン時にスペイン人らに助けられ、現地人っぽいキューバ人たちも助けてくれる。彼らはこの地の人ではないのだろう。お礼も特に求めてこない!

 

かくして15時間に及ぶバス旅が始まるのであった。

 

カリブの海が、我を呼ぶ!