第六十六話 Tより永遠に/ナチュラルライフの誘惑
出立72日目 タイ13日目 パーイ3日目
サワクラ!
宿の朝食が超いい感じのボリューム。
パンケーキかトースト&スクランブルエッグかフルーツのヨーグルトかけ+コーヒーorティーで、フルーツの~選んだけど、これマジでタダ?って感じ。マジいいとこですよ、この宿。
「TWIN HUT」というとこです。川渡って道なりに進むと左手に……って誰向けやねん。
Bookingサイトに載っていないので、一応。
さて、午前中はのんびり、ハンモックでぶらぶらしたりでダラダラ過ごす。
何もしないことを楽しむ町、パーイ。その感じがこう、ひしひしと伝わってくるよ、ひしひしと!
昼食は素食の店。3品のせて40THB。ご飯の量は少なかったが、おかずはこんもり。よし。
その後、喫茶店へ。「Art in Chai」というヲサレなインド風のカフェで、豆乳チャイを。
優しいですなぁ。この後インドなのに、海外のインド系は外れがない。
まったりしたところで、本日の目的地「Moon Village」を目指す。
パーイに来た日本人バックパッカーが皆行きたがる(ブログで必ず取り上げられる)、解脱系の日本人村である。
わかりにくい地図がネット上に上がっているだけなのだが、リョウ君の情熱か、一発で発見。うーむ、彼がいなければ今回のタイの旅はどうなっていたことやら……。
こんな感じの看板の先に入っていく。
案内板あり。
かつて別の場所にあったのだが、誰かが土地を買ってこちらに移動したらしい。畑を耕したり(必然的に無農薬。それも、動物性の飼料を使用しないので、野菜の餅が違う)、自生したものを利用したり(もとは誰かが植えたのか。パパイヤとかバナナとかスターフルーツとかが成っていた)、一部を街で買ったりで、自給自足に近い、電気も水道もガスもない村。
そう、別に観光地でも何でもなく、他人様が暮らしている場所なので、まぁ、写真はこんなもんで。
先日「MOO-TALA’S」のライブを見に行った先で出会った、日本人夫婦が遊びにおいでよ、と言ってくれていたので、やって来たわけである。
(彼らにしても、リョウ君のコネクションなので、つまり以下略)
一応許可を取れば、空いてるスペースにテント張って滞在も可能で、ご夫婦も最初はそんな形で入村→前オーナーから帰国のため、譲り受けた家で現在生活中とのこと。
いやーしかしすごい。家は竹や木材を使用した手作り。壁がほとんどなく、自然がそのまま見渡せる。2階から見える朝日がきれいなんだそうな。さもありなん。
風が心地よく吹き抜け、猫たちが5匹も6匹も集まって、昼寝している。癒される。
食品もいくつかごちそうになる。
・パパイヤワイン:パパイヤのみを発酵させたもの。甘くてフルーティ。何倍かいただいてしまった。
・自家製味噌:昨年村で作ったオリジナル品
・酒粕:これまた作った酒から
・自家製唐辛子:酒に漬けたオリジナル調味料に
後半3つはフライドガーリックの粉と一緒にパンに塗られたものをいただいた。超うめぇえええっ!
うーむ、確かに、これは住みたくなるなぁ。
最近ではロンリープラネットに載ったため、日本人以外の訪問者も多いらしく、テントを張ってステイしている白人のおっさんもやって来た。
タイ人も住んでいるらしく、その親戚とかいう人とも絡む。陽気だな、タイ人。
タイ人はこれまで見てきた中でも、かなり人懐っこい国民性である。彼らの言う「兄弟」や「親戚」は親しい人を指しているだけの場合も多いらしい。また、仏教的な教えが広まっているらしく、情けは人の為ならず=人を助けると来世でいい人生が送れる、という考え方が根っこにあるらしい。
即物的な我が国の国民にも、多少見習ってほしいものである。
その後、街の長老・ケンさんなるおじいさんの家に。ううむ、前評判通り、仙人みたいな人だな。
自己紹介などした後、次はインドに行く、という話をしたら、タイバーツに両替してくんね?みたいな話になった。先日使えなかった分をどうにかしたいらしい。
まぁ、普通に両替するよりもお互いにレートがいいので、交渉成立。よかったんだけど、何だこれ。
すぐ隣は大自然というこの村での生活は、ベタな言い方をすれば、人間本来の生活に近いのかもしれない。いわゆるオーガニック、ナチュラルな、森ガール憧れの生活なわけだが、彼らの認識は少し違った。
縁あってこの土地でこの様に暮らしているが、すべての人間にとってそれがいい、という押しつけではなく、どこであろうとも生きたいように生きればいい、ということだった。
オーガニック、ベジタリアン=化学物質はNG!!という図式を思い描いてしまうが、必要な時は使えばいいし、食べたいときに食べればいい、というシンプルな発想である。
私自身、オーガニックとか、それ系の意識高い系は、苦手というか、興味がなかった。もっといえば、「つーか焼肉とかステーキ好きだから無理。ハイ論破~」という考え方なので。
ただ、実際に生活を見ると、うーむ、確かに、こうやって暮らしていけるんだな、と実感した。年間3万人も自殺する希望の国で、狭い了見に捕らわれて動けなくなっている暇があったら、できることがあるんじゃないだろうか。
そんなことを思いながら帰路に着いた。
夕食は町中のナイトバザーで。先ほどまでの反動か、欲にまみれて食いまくりの買物しまくり。
ああ、やっぱり物質的に満たされるって大事だわぁ☆
何となく雰囲気にのまれて、中途半端に目覚めそうだったけど、上っ面で分かった気でいるのは、ネット上でデカくなった気になってるのと変わらん。しっかり受け止めて、ゆっくり飲み下していくべきだろう。
まぁ、飲む前に違うもの爆入れしてしまった感もあるが、私は元々ドロドロの欲望まみれなのよ。いいのよ、これで。
明日はもしかすると、またMoon Villageへ行くかもしれない。
もしかすると、数日ネットを使える環境にいないかもしれない。
そんな波乱の予感しつつ、You tubeでも見ながら寝るわ。