第三百九話 Pのボレロ / 食の都で食いまくれ
出立122~3日目(通算372~3日目)ペルー18~9日目 アレキパ3~4日目
ドミトリーだったが前日にみんな出ていた様で、結局一人で使えた。隣の女子ドミは4人入っていたことを考えると、ラッキー&暇な時期なのかもしれない。
さて、この宿を選んだ理由はいくつかあるが、朝食の魅力は外せない。
こちらのバナナパンケーキだからだ。Booking.comのレビュー見た時から第一印象で決めました!キャラメルソースと甘酸っぱいバナナの味、最高です。朝からテンション爆上げ。
さて、この日は前日の記事の通り、朝から教会巡りをしていたわけだが、初日には見ていない、ちょっと遠めの場所も見に行った。
川を渡った西側、サンドラのいえの方向だ。
木や建物に遮られてイマイチ見えなかった、チャチャニ山。標高6075m。何度言ったか分からないが、富士山意味ねーな。
まぁ、そもそもこのアレキパからして、標高2335mの高地にあるわけだ。相変わらず昼夜の寒暖差が激しい。
「Iglesia y Convento La Recoleta」。博物館もついていて、民芸品がどうとかも見られるらしいが、前の道が工事中で、やっているのか不明だった。
色遣いとロケットの様な形状が面白い。
川を戻る途中で、もう1つの山がきれいに見えた。
ミスティ山は標高5822m。その形状から、日本人の間で「アレキパの富士山」と言われているとか何とか。冬には雪も被るというから、いかにもそれっぽくなるだろう。ただ、富士山よりデカいけどな。でもこの景色、ちょっと日本っぽいよね。
朝の散歩を終えて宿へ戻る。この宿も家族経営で、働き者の娘とお母さん、のほほんとしたおじいちゃんがいる。このおじいちゃんがまたいいキャラ。会うたびに「Hola Hola!」と声をかけてくれ、少し英語も話せるようだ。ドミトリー前が食堂を兼ねたテラスになっているが、ここをウォーキングしていたりする。日本人女子の言葉を借りれあ、「かわいい」ということになるだろう。
従業員のお母さんたちも愛想がよくていい宿だと思う。
さて、昼飯に出掛けよう。
目星を付けたところに向かっていたのだが、昼過ぎというのに道々の店はシャッターがおりまくっていて、嫌な予感がした。
そういえば今日は死者の日だから休日、みたいなことをサンドラさんとこの次男が言っていたような……案の定休み!同じ様にやって来た王英人たちが途方に暮れていたので、おそらくロンプラにも載っているのだろう。
仕方がない。今日は昨日より奮発して6ソルの店だ。
今日はポタージュみたいなスープ。芋、カボチャ、コーンに豚肉がたっぷり入った具だくさんスープで、4.5ソルとはレベルが違う。こってり豚の出汁もおいしい。
メインは鶏肉のエスカビッチェを頼んだところ、こんなのが。
まさかの糖質制限メニュー。まぁ、朝からアレだったし、安い所だと野菜は不足していたから、丁度良かった。マリネ風に酸味が効いた仕上がりで、ペルー料理の懐の深さを思い知らされた。
ブラブラ散歩して、宿に戻る。
えっ?ほとんど何もしてないじゃないかって?ええ、そうなんですよ。
アレキパに来た目的は2つほど。次に向かうクスコが高地にあるため、高山病を避けるために体を慣らすことと、サンドラのいえ。もう目的達成してるでしょ?
一応、ここから行ける観光地もあって、「Canon del Corca」という、グランドキャニオン以上の渓谷だと言われている。ここにはアンデスコンドルも生息しており、サンドラのいえの情報ノートにも、ツアーではなく個人で行った方法なんかも載っていた。
日帰りもできるが朝3時に出るとか、結構ハードなスケジュールなのだ。
しかし、でもなぁ……という感じで、まるで興味が湧かない。
実はここ数日、ナスカの地上絵インパクトが強かった様で「まぁ、いいかな」感がでてしまっているのだ。所謂ナスカ・ショックである。まぁ、ナスカ・ショックとかいう言葉は今作ったんですけど、「いうてもあれ超えてこんやろ」と思ってしまうのだ。
大体、「アンデスコンドルが4、5羽見れました!」言われてもな。カハマルカで雌だけど数十cmの距離で見たし、パチャカマック神殿で上空飛んでる野生のコンドルも見たし、今更なんだよ!
宿に戻る途中で日本に16年住んでいたというペルー人のおっちゃん・Fさんと話したが、彼もここを勧めていた。「行かなきゃ損だぜ?」とのことなので、ナスカ・ショックない人にはいいかもしれない。
このFさんがなかなかの半生で、20歳で日本に来て皿洗いや工事現場での労働、自動車の組み立てなどいろいろやって、フィリピンでも出稼ぎ。最終的にペルーに戻って家を買い、今は宿をやっているとか。ペルーのアマゾンの土地も買ったことがあったらしいが、奥さんが蛇と虫を嫌がり、結局売ったそうだ。400ドルで数十haの土地が手に入るらしいが、「まぁ確かに、落ち着いて眠れるところじゃないな」とのことだ。
今は奥さんと子どもたちはフィリピンにいるらしく、「多分戻ってこない」と少し寂しそうだった。
それでも山登ったり海潜ったりと、冒険大好きオヤジらしく、今もそれなりに楽しい生活を送っているらしい。
ちなみに、Fさんの宿は「Airbnb」で予約できるらしい。
このAirbnb、Booking.comより安い宿が登録されていたりするのだが、如何せん、登録に電話番号のSNSメールが必要になるため、停止している今、使えない。ぜひ国内で登録してから出ることをお勧めしたいサイトだ。
さて、思いのほか昼飯のボリュームがあったため(ライスなかったのに腹持ちいいし)遅くなってしまったが、ケーキがおいしいカフェがあるらしいので、出掛けてみよう。
カテドラルから少し登ったところにある、「Chaqchao」というこちらは、オーガニックチョコレートを扱う店だ。オリジナルで作れる体験もあるようで、お高めだがいい感じのチョコレートも売っていた。ここの2階にカフェがある。
ここでラテとケーキを注文。
ラテ8ソル、ケーキ7ソルという、昼飯を考えるとえらい額だが、日本円に直すとそうでもない感じ。観光客とハイクラスが多いのかな。
ケーキはチョコレートとキャラメルがどうとかいうのにしたが、さすがはチョコレート専門店のケーキ。甘さもしつこくなく、砂糖ザラザラとかもない。上の波々がキャラメルで、きめが細かいしっとりとした仕上がり。下のチョコバー部分にはナッツが入っていて、食感も楽しい。ていうかこれ日本でもそうそうないよくできたケーキだぞ!
ここでブログ記事を書きながら、日が暮れるのを過ごすという優雅な締め。うむ、金をかければゆったりと出来る。当たり前だねww
帰りにカテドラル。相変わらずいい感じのナイトサイト。
その裏のおしゃれなレストラン通り。お金があればね、いいと思う。
さて、夕飯は
これの影響もあって軽く済まそうと、スーパーへ。
持っていた食材の限界と、どうしても食べたいものがあったためだ。
軽いスープパスタと、こちらが「Rocoto Relleno」。赤唐辛子の肉詰めだ。サイズが大きかったので、いうても辛くないだろうと思ったら、マジで辛いガチの唐辛子だった。ただでさえちょっとお腹痛いかも……と横になった後だったのに、これ全部食ったらケツ爆竹だぞ!?と半分くらいにとどめておく。恐ろしい料理だ……。
とはいえ、ひき肉とチーズなどの組み合わせで、勝利の法則は見えている一品だ。スーパーの総菜コーナーで安く~と思ったのに、結局7ソルくらいしたので、店で食べたらもっとするのかも。いや、これ食い切れる奴いんのか?いろんな意味で。
翌日、パンケーキを食べてチェックアウトし、気になっていたカフェへ。
前の日に行こうと思ってたんだけど、死者の日の関係で閉まっていたのだ。そういえば、メキシコの死者の日はスゲー騒ぎの様だが、ここは静かなもんだったな。
「Palacios Coffee」。
10時過ぎに行ったがまだ閉まっていて、どうしようかと思っていたら前の道の草刈ってたおっちゃんが声をかけてくれ、「2分待って」と店主。しばらくして開けてくれた。
その間、おっちゃんが店の前に生えている苗を指さして、コーヒーの木だと教えてくれた。
Espresso系もあるが、各種器具で入れてくれ、今回はハリオ式、つまりドリップに。大体カップ3杯分で9ソル。高いと言えば高いが、何とここ、店内にデカいロースターがある。
店内写真。右奥のがロースターだ。つまり、店内で炒る→挽く→入れるという3つのたてが揃った、これまででも類を見ない(まぁ、見えないだけで自分とこで炒ってるところも結構あるだろうけどね。店名入ったの売ってるし)フレッシュコーヒーが飲める店だったのだ!マジですげぇ!!
酸味主体の浅炒り、フレッシュな最近のスタイルで、すっきり濃く少なめ。ピリリと仕入れる感覚で、コクはコロンビアのものより少ない印象。滅茶苦茶うまい。久しぶりにまともなコーヒーが……というのもあるだろうが、ここはペルートップクラスだろう。
店内の地図を見ると、海岸の州を除いて、国内のほとんどでコーヒーが作られている様だ。その割に、こういうきちんとしたスタイルで出す店が少ないのが、不思議でならない。まぁ、見つけられなかっただけかもしれないが。
しかし宿を移らなければ見つけられなかったことを考えると、これは運命だったのだろうな。
トリップアドバイザーのマークもあったので、検索すれば出て来るだろう。
さて、お昼だ。昨日行けなかった店へ。
「Ratatuille」はイタリアンの料理人が開く、ペルー料理の店で、トリップアドバイザー、日本のブログ、おそらくロンプラでもおなじみの店の様だ。
特に、ランチでは10ソルでハイクオリティなものが食べられると評判。これは楽しみだ。
他のレストランと同じで、前菜とメインを頼む形だが、妙に種類が多く、慣れない外国語に戸惑うが、英語も喋れる店員さんのおかげで事なきを得た。
客も観光客を中心に、賑わっているが、特に待つことなく座れた。いいタイミングだったのかもしれない。
前菜はキヌアのサラダ。日本でもスーパーフードとしておなじみとなった感があるが、インカの昔からあったとかなかったとか。私は初挑戦。ふむ。オリーブオイルと塩、少しのビネガーというシンプルな味付けながら、誠にバランスが考慮された見事な一品。細かく切ったリンゴを加えて食感と甘みを足していることにも感心させられる。なるほど、こうやって調理すればいいのか。
もうこの時点でテンション上がっていた私だが、続いてメインだ。
必殺の、店員さんに「あなたは何が好き?」でそれにした、ラザニア。ま、これ完全にイタリアンですけどねww種類が多いとき、普通におススメ聞くと「全部じゃ。だから売っとんねん」って感じになる可能性があるので、個人の好みを聞いてみると角も立たないし、相手の顔も立つという、誠にサラリーマン的理屈だが、これで外れたためしはない。
案の定、口に運んだ瞬間に幸せを噛みしめた。ああ、今日食ったもの全部うまい……。チーズ、ナス、トマト……説明が野暮ってもんだ。世界三大料理はフランスかトルコ抜いてイタリア入れるべきだろ。
店名にもなったラタトゥイユももちろんうまい。店員マジ有能。っていうか、他のも食いたいぜ!!
こうしてえらく幸せな気分で店を出る。ここは是非お勧めしたいところだ。
さて、とか言いつつこの日の夜に街を出るので、バスチケットを買わねば。「Oltursa」のサイトで買えなかったため、まぁバスターミナルでもいいが、なくなると困るので、どこかで買えればいいのだが……とツアー会社を訪ねてみる。気になるのはどの程度マージンがのっているか。クスコまではネットでは72ソルだった。
一軒目、ここではもうOltursaは瓜生キレているから、とCruz del Sulか、他の安い所はどうかと勧められた。
しかし、20時ごろ出て6時に着くから、実質寝るだけだし、そこまで豪華じゃなくてもいいんだよなぁ。かといって安いといろんな年に止まるから出入り激しいし、客層も考えると盗難が……
ということで、取りあえずここはやめておいた。
アルマス広場から少し離れた2軒目で聞いたら、Oltursaあると言われた。えっ?あんの?
画面見せてもらったらまぁまぁガラガラ。おいおい、さっきの店……。
他の会社のも示しつつ、丁寧に対応してくれた。ってちょっと待て、Oltrusaが62ソルだと!?
ど、どういうことだ?直前だから安くなったのか?いや、しかしそんなことあるんだろうか……。
断る必要もないのでここで購入。ナスカから乗った時は直前でも定価。まぁ、あれは会社の窓口で買ったからと言われればそうなのかもしれないが、一体どういう仕組みなんだろうか。とりあえずネットで調べて、その額めどにツアー会社で聞いてみる、が正解なのかもしれない。意外とツアー会社ごとに金額違うかも、と今回思いました。
ちな、アルマス広場北東の角の所です。
さて憂いも断てたので、メルカド覗いてブラブラ時間を潰す。ちょっとお腹の調子が乱れたのでホテルに戻って出直すと、昨日のFさんに声をかけられた。今日の晩去ることを告げると、「また戻ってきなよ。酒でも飲もう」と言われた。あれは社交辞令だと思っていたんだが、どうも本気だった様だ。BBQ用の窯もあるからね!とのこと。クソ、昨日のうちに約束しとけばよかったなww
彼から高山病対策に薬を買っておけ、これまで特にそういうことがなかったならコカキャンディーだけでも持っていけ、と言われた。何でも、頭痛くなったら舐めれば効果があるらしい。
アルマス広場に面したスーパーで、2.7ソルとかで買えた。そういえば物売りのおばちゃんが偶に売っていたが、そういう効果があったのか。
っちょっと緩めのお腹のためにコーヒーは控えたかったが、カフェ行きたいな……そうだ!と昨日の「Chaqchao」へ。
ホットチョコラテ8ソル。生クリームの有り無しが選べるが、チョコレート部分はピュアチョコのため、ビター。せっかくのチョコレートファクトリーなんだから、飲まない手はないよね。ピュアチョコのため。苦味と香りが直に楽しめ、それを冷えた生クリームで中和する。甘いチョコレートに慣れていると、こういうのは新鮮だ。というか、クリームなしの場合ってどうなるんだろう?苦いのか?気になるなぁ……
っていうか、今日もケーキ旨そうだな!夕飯のこと考えてやめとくけど!
時間もいい感じになったので夕食へ。
お馴染みの通りで5ソルの夕食。スープと魚のフライ。少し冷たいが、ジューシーな仕上がりで、思ったよりうまい。何の魚かは不明。
宿に戻って荷物をまとめる。朝いたカフェでコーヒーを買ったため、また増えた荷物!
更にバス乗ってから腹痛悪化したら最悪なので、ここで用を足していたら結構いい時間になってしまった!宿のお母さんにバス停の場所を聞いたら、結局いつもの辺であった。
バナナパンケーキを中心に、いい宿であった。キレイだし、一人で使えたし。
なかなか目的のが来なくてヤキモキする中、聞きまくっていた私を不憫に思ってか、地元のお母さんも加わって、バスを教えてくれた。ありがたい!
さて、20時発だがなんだかんだで10分前に最寄りのバス停へ。この時点でめっちゃ焦ってます!チェックインした時点で時間過ぎているが、更にターミナル使用料(使ってねぇよ!)3ソルの支払いを別途並んで行い、荷物を預けて乗車。バタバタだった……
車内のトイレに寄っていたら出発。本当に滑り込みでしたね。皆さんは余裕もって、1時間前には宿出ましょう。
20時発ということで、知らなかったのだが軽食が出た。
鶏肉とジャガイモを煮たもの。本当に軽い内容だったので、夕飯食べたこと自体は間違いではないだろう。
隣にペルーガールがいて、自由に動けないので、もうさっさと諦めて眠りについたのだった……。
明日はついに例のアレへの起点の古都である。照井さん登場的な感じで、ナスカ・ショックを振り切るぜ!
古代の夢が、我を呼ぶ!