第三十二話 サインはV/激闘は爪痕深く
ホイアン二日目は、ハイライトともいえる、ミーソン聖域の遺跡である。
古代チャンパ王国の宗教遺跡にして、ユネスコに登録された世界遺跡である。
朝8時ごろバスで出発し、揺られること小一時間で到着。つっても、首を痛めるような荒れた道はなかった。さすが観光し……世界遺産。道の整備からして違う。
ホイアンの街から見ると、川の上流に位置しており、案の定、今回はほかのバスも含め、ツアー参加者も多い。
入り口でバスを降りてゲートを通過し、再度バスに乗車して駐車場へ。何か手続きがあるのだろう。さすが世界遺産。
密林を抜けて歩くこと数分、おお!見えてきたではないか!
超古代だし、ティガとか、ネクサス辺りの雰囲気も感じるよね!
大小数個の遺跡群からなるミーソン遺跡は、シヴァを最高神とした神話体系を称えたもの。シヴァは嵐を司る神でもあり、昨年大型台風を退けたのも彼の力かもね、と楽しげに語るガイド。
先日のハロン湾のストームはどういうわけだ。
困ったときだけそういうこと言うのは良くないですね。確かヴェーダ神話だったような。記憶は怪しい。
こちらは聖なる泉を湛える神殿で、万病に効き、不老不死やらなにやらの効能があったといわれる。聖なる泉といえばクウガだね。
残念ながら、今は枯れ果てて、雨水が溜まるのみである。
こちらは別の遺跡群。
「そうなんです。ここ、ミーソン遺跡は、今からおよそ1,000年ほど前の遺跡とも言われています。しかしながら、経年劣化を差し引いても、明らかにボロボロになりすぎているんです。
ここでクエッションです。ミーソン遺跡がこうなってしまったのは、なぜでしょうか?」
号泣していないほうの野々村君には、スーパー仁君をかけてもらいたい。
遺跡をよく見ると、土台の方はかなり黒く、汚れているが、上の方はまだ新しかったりする。
これらは実は修復されたものなのである。それも、わずか45年ほど前に。
そう、ベトナム戦争である。
アメリカ軍による爆撃で遺跡は焼かれ、破壊されてしまったのだ。
えっ?何してんの?
20世紀頭にはフランス人のおっさんがすでに遺跡を見つけていたわけだし、曲がりなりにも世界一位の先進国だろうが。どんな理由あっても空気読めよ。
台座部分の画像だが、これなんかがわかり易い。かなり色が違う。
獅子と……あとわからん、なんかの神だろ、多分。
前述のクウガであるが、作中の人間の祖先「リント」は心をきれいな水に例えていたという。
「聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士、雷と共に出で、太陽は闇に葬られん」
これは後半のキーワードであるが、あたかもこの遺跡の惨状を、嘆いているかのようである。
2時間ほどの見学の後、バスで再びホイアンへ向かう。
途中、町が下流にあることを利用して、移動が船に切り替わった。
また船かよ。だから雨が降ってたのか。
乗りすぎて感動もあまりないが、やがて海に通じるということもあり、川幅は広い。
途中、木工彫刻の工房で降りて、作業のさまを見学。ちゃっかり見揚げ物を売り込まれた。
再度乗船して街につき、昼食後に解散となった。
ヌードルだが、小盛でちっとも足りないため、パインミーを購入。肉、野菜を豊富に挟み込み、ソースも複数種かけられた、ボリュームのある逸品だった。
まだ15時過ぎだが、ひとまず宿に戻り、ダラダラする。
夕食時に再び街へ。食べていない名物があったのだ。
その名も、テッヘオロックコンバンチャンである。
ライスペーパーに野菜と肉を巻き、タレでいただく、中部地方の伝統料理である。
呼び込みの兄ちゃんに「バーベキューパーティーいかが?」と聞かれたが、こっちは一人だぞ、パーティーって、少しは気を遣えんのか、と、とりあえず数軒先の屋台に。
ほんとに本当に道でゲリラでやってます、みたいな店。
サンチュで巻いた焼き肉をさらにライスペーパーで巻いた感じ。肉豚だけど。
野菜も香り強い、つーかその辺で積んできた草じゃね?みたいなビジュアルのもあったけどね。
タレは見た目には全く同じ2種類があり、片方はゴマ風味が強く、片方は醤油っぽかった。しかし最後まで見分けがつかなかった。
少々物足りなかったので、別屋台でバナナせんべいとでもいおうか、
揚げたバナナのスイーツを購入。ホクホクで思った以上にボリューミー。自然な甘さでしつこくなくて、実にちょうどよかった。
明日は夕方からHo Chi Minh市へ、24時間のバス移動である。
し、死ねる……!
次回は地獄のバス移動レポートDEATHね。