第二百八十八話 たったひとつのEのために / バカは休み休み行け
出立90~1日目(通算340~1日目)エクアドル16~7日目 ガラパゴス6~7日目 サンタクルス島5日目~イサベラ島1~2日目
宿の朝食は6時からと聞いていたが、まるでやっていなそう。職務怠慢だな、と思いながらフェリーの時間なのでチェックアウト。
7時に出るヤツだが、6時半にはチェックインとなっていた。ちょっと遅れて行ってみたが、荷物検査があるようで、それで早めに、ってことかーと納得。やはりその場で買えそうな様子はないので、前日までに、ということなのだろう。
ここでも果物とかは没収ートらしいので、使い切ってから船に乗りましょう。
初回のツアーと同じように、ボートで船まで運ばれる。これ別会計っておかしくないか?0.5ドル。
荷物は前の荷室に押し込まれ、結構大人数で詰め込まれ、出発。
この日は曇りで大しけ。めっちゃ船が揺れる!もう笑えるレベルで揺れる!いやー、目の前の天井からぶら下がる黒い袋を見た時から嫌な予感がしていたが、こういうことかww
こうなってくると、朝食を食わなかったのは幸いした。そういうことね、神様。
船の後ろの方は吹き込む波でエラいことになっており、途中で防風用の布を降ろしていたが、その間もえらい揺れる。俺、絶対この船で働けない……。
案の定、袋を所望する人間が多数出る。そんな中、気を紛らわそうとしている内に、私自身も舟を漕ぎだしていた……
うつらうつらするたびに波に起こされていたが、島から離れたら多少はマシになったんじゃないかしら。徐々に収まって島に。
ここでも乗り継ぎのボートに1ドル取られる。おのれ……20ドル渡したらえらいコインの量になった。財布が鈍器になってしまった。
桟橋ではアシカの赤ちゃんがお出迎え。
と思ったら、上陸と同時に10ドルの請求。ああ、そういえば、イサベラ島は入島料が別途いるんだっけか。何かドンドン取られていくな。コインで払ったよ、もちろん!
2時間と聞いていたが、時計を見ると10時。結構かかったなぁ。荒れてなければ早いんだろうか。
宿は……結構遠いな。コイン払いとかしている間になんかカミオンみたいな奴で皆行ってしまったので、歩くが、あれは金が要るのかよくわからない。まぁ、ボートですらいるんだからいるんだろうな。
宿までの道すがら街を見るが、これは本当に田舎というか、発展していないというか、プエルト・アヨラの観光化した街とは似ても似つかないぞ!?
加えて宿が高かったことも考えると、物価も高いんだろうなぁ。更に田舎だものなぁ。食事事情がますます危機に……
割り切って、街へ。
いやーなにもない。
取りあえずビーチに出てみようかな、と展望台みたいなところへ。出たなウミイグアナ!確かに、これはわざわざ見に行くまでもないな!子どもイグアナの群れもあったな。
海は取り立てて、というかさっきも見ていたので、足元に目を移してみると蟹じゃい(檜山)!黒いな。例の奴と同じよう種なのか、別の種なのか、角度が角度だけに不明。たぶん違う。
教会があった。ガラパゴス感を出してくる外観。
中もキリストの足元にゾウガメとか、やはり特色出してくる。
腹減りがマックス!マックス!マックス!だったので、方々探したが、取りあえず最安は5ドル。これは、更に厳しい戦いだな。
スープと、こちらがメイン。魚と言ったらこれだった。おい、ここ島だろうが、獲って来いよ、って感じだが、やはり魚の市場がないというのは本当らしいな。
気を取り直して、この島はペンギンが見られるというんだから、それを見ねばな!とツアー会社に向かったら「今はシーズンではないので、見られない」
なんてこった!
一番の目的が潰えてしまった!まぁ、一番の目的なら時期調べとけって感じだが、もう切符も買ってあるし、5日か……。ちょっと疲れ溜まってるから、のんびり過ごそうかな。
街歩きを再開したところで、子どもたちと男性に囲まれた。どうやら英語の授業で、質疑応答して、それを動画に撮りたいらしい。いいけど、私の英語力……と思ったら、子どもたちの方がない!発音がスペイン語だからごちゃ混ぜになってわからんものも!
堪らず先生が助け舟を出して、Take2。ええっ?もう一回やるの?
と思ったら、何と同じ内容の質疑で5人立て続けにやることになった。なんか新鮮味でも出したくなるレベルだが、これでいいんだろうか。
それにしても、こういう実践的な授業はイイよね。日本でもやれば……って、外国人そんなに歩いてないか。
ちょっと和んだ私は、もう1つの目的地「Giant Tortoise Breeding Center」つまりゾウガメ繁殖センターへ向かう。
ちょっと距離があるので自転車で行く人も多いようだが、歩行者のみの通路があり、ここが面白そう。
いきなりウミイグアナの歓迎。えっ?ウミイグアナはもういい?泳いでる動画とか撮ったんだけど……まぁ、そうだよなぁ。
見たことない鳥が次々に。
と思ったらフラミンゴやんけ!
スゲーなー野生とか初めて見たわ。
更に進んでいくと、今度は林ゾーンに。
何か動いた気がしてよく見たら、蟹じゃい(檜山)!穴が巣なんだろうな。シオマネキみたいに、大きい方の鋏を振っている。意味があるんでしょうか。
到着!
ここではイサベラ島固有種を飼育してるようだ。
説明によると、卵から孵った雛はしばらく土の中で飲まず食わずで育ち、そこから外界に出て自分で育っていくが、ここで守るものは何もないので、保護が必要、ということらしい。
外来種を厳しく規制している理由が、生物ごとに紹介されていて、わかりやすい。
職員なのか違うのか、ガイドのおじさんがいて、いろいろ説明していた。
網の中のケージで小さいカメは保護しているとか。
サイズが大小いるのは同じ。月齢ごとに保護し、交配して成長したら戻す。しかし、ゾウガメの寿命は人間よりもはるかに長いため、巣立ちまで一人の人間が見ることはないんだろうな。
恐らく最大サイズのこいつは、体重280kgで、80歳くらいらしい。さらに倍くらいは生きるというが、まだデカくなるのだろうか??
大きいので、ダイムゲンと名付けよう。亀夫でもいいが。
と思っていたら小さいのにライド!ああ、大圧殺か!?
その場にいた女性がガイドさんに「喧嘩?」と聞いたら、「いや、多分魅力的な女性なんだよ」とのこと。ああ。そっちか。っていうか、80歳でもまだバリバリなのね。
ちなみにゾウガメは、オスの方が体が大きく、しっぽが長い。そして甲羅が下の面まで覆ってる感じになっているらしい。勉強になるね。
こうしてゾウガメをたっぷり堪能した私は街に戻ったが、多くの商店が店仕舞い。なに?土曜日だからか?
慌てて食材を買い込む。自炊できなければ命とりだ!!
しかしまだ16時台だぞ?
3kg2.1ドルと、比較的安い米を購入し、いざ、鍋で焚く。
「コメの調理は初めて見るよ」というカナダ人に、わしも鍋で焚くのは初めてジャーというダジャレin my heartをかましつつ、いざ調理!
うん、ちょっと焦げたね!疑心暗鬼になって火を通し過ぎたが、おこげがうまい。遠い日に食べたおばあちゃんの焼きおにぎりを思い出す……まだ死んでないけどな、ばあちゃん。
名前似てるねーって言ってた同じ部屋のハリーが早く寝たので、私もそれに倣う。寝るのもハリーだな、って……。
部屋にはWi-fi届かないし、そもそも遅いので、早めに起きてアップロード作業をしていたが、8時過ぎには結構皆出かけて行ったので、9時を回って出掛けてみる。
本当に田舎というか、何もないなぁ。そして道端にゴミ結構落ちていて、意識も低い。キューバを思い出させる。
日曜日ということで、頼りにしていたパン屋もやっておらず、朝飯難民となっていたが、屋台がやっていたので入る。
これで5ドル。スープはないが、大きめの豚肉揚げたのが4個くらいゴロゴロ入っていたので、結構お得かも。硬いけど、食い応えありで嫌いじゃない。地元民がジャンジャン来る店だ。
ツアー会社を数軒回ってみて、火山ツアー行こうと思っていたが、イケイケの田舎のオヤジみたいな人のいるところで、47ドルが最安のところ、「明日なら25ドルでいいぜ」というので、乗っかることにした。
ちなみに当日残り僅かな人数のツアー参加「Last Minitu」だと、結構お得になると思われる(本当のところはわからない)ので、飛び入りもありかもしれない。
何だか初めてソロでお得な気がした。二人の方が、宿の部屋もツインとか取れて、この島じゃ安いしね…。
さて、店も開いてないなぁ、ちょっと疲れたしとブラブラ歩いていたが、よく考えたらまだ10時過ぎ。早く起きて、重めの朝食摂ったから昼過ぎのような気がしていたが、ちょっと寝て来るか、と一度宿に戻る
そういえばこの宿、「Free Orange」という意味不明な制度がある。ビタミン不足が解消できるので、これだけは確実にいい制度だ。
13時過ぎにもぞもぞと起きだして、お散歩でもするか、と軽い気持ちで海岸線へ。
この海岸線の道、サイクリングやハイキングのコースがあり、Maps.me上でも観光ポイントがいくつかある。
軽い気持ちで歩き出したが、引くに引けなくなり、最後まで行くことになった。
海岸の反対方向に溜池。何か所もあり、鳥がいたりいなかったり、生態系保護についての看板があったり。沼みたいなところに「魚やカキがいるので……」とあったが、本当だろうか、という感じ。
同様にビーチも結構あり、天候もあって人もいないが、奥に進むほど穴場になっていき、道をウミイグアナの大群が占拠していたりする。
もうリクイグアナレベルでデカくなった奴も散見される。ぐでーっと動かないが、近寄ると小さい奴は逃げようとする。
そういや、しっぽのない奴もいたが、トカゲみたいなことするんだろうか。
あとは、タイヤでやられたであろう、ペチャンコの小さなウミイグアナも。「イグアナ飛び出し注意」みたいな標識もあるが、子どものサイズだと分からないな。大圧殺食らったみたいになっていた。
天然にできたという「Organic Pool」では、家族連れが。日曜日ということもあり、レジャー客にたまに遭遇する。
透明度が高く、魚が上から観察できる。水は冷たいが、晴れていたら気持ちがいいだろうな。
穴。この辺がむき出しの地形で、溶岩が固まったみたいに見えているが、そこに穴。取り立てて何かいそうな気配はなかった。
マングローブトンネル。この辺は赤、白、黒の各種が茂っているとか。海水と真水の境目に生えているんとか。
ハイ、来ました、今日のゾウガメ。野生かな。「ゾウガメに触るな」みたいな標識があったので、くるかなーと探していたら、いましたね。
イサベラ島南部はゾウガメの生息地としても有名で、先日の繁殖センターの様に保護にも力を入れている。
ダーウィン・フィンチ。もう前に撮ったかもわからんが、鮮やかな奴。エサ食うのに夢中になっていて、「あれ、いたの?」みたいなリアクションして、慌てて離れて行った。かわいい奴め。
最終目的地付近にある、通称「涙の壁」。アメリカ軍がこの辺に人を敷いていたときに使用されていたとかで、捕虜がどうとか書かれていた。いきなりの人工物の登場にびっくりしたぞ。
上から。最初は古代遺跡かと思ってワクワクしたが、1946~59年に作られた、とかあったので、最近だね。
ここを登って結構普通の山道みたいなところを行くと。
出ました、絶景ポイント。遠くに見えるのが、ホテルのある街「Puerto Villamil」。えー、結構来たなー。距離にして7.3kmとか。
頂上には途中で抜いたり抜かれたりしていた老夫婦がいて(すべての脇道に入ったからね)、彼らも歩いてきたようだから、ハイキングとしても悪くないだろう。最後の山道を考えると、サンダルで来るところじゃなかったが。
あと、ここの手前にあった山も似たような景色が見られるため、そっち登る意味あったんかいな、と若干思わないでもなかった。
帰り道にもゾウガメ。同じ個体もいるだろうが、5回くらい見かけたので、見どころの減る後半も飽きない。
街に戻る頃には結構暮れなずんでいたが、あの老夫婦は大丈夫だっただろうか。
夕飯は昨日と絵面が似た感じになったので、省略。
最早ほぼペーストの梅漬けで久しぶりに日本テイストを味わっていたら、ハリーが「日本から持ってきた?マジかよ……」とのリアクション。
……あれ、そういえば、これって持ち込んでOKだったのか?
……とりあえず、種も持ち帰って、あとは全て胃の中に納めておこう。
さて、休もうと思っていたのになんだかんだで合計20km以上歩いてしまったが、明日は火山ツアーで歩くぞ!って大丈夫かよ!
命の神秘が、我を呼ぶ!
第二百八十七話 たったひとつのEのために / ガブリンチョ!食らいつく海
出立89日目(通算339日目)エクアドル15日目 ガラパゴス5日目 サンタクルス島5日目
朝食を済ませ、本日は半日のみのツアー「Bay Tour」に出掛ける。
旅行社の前から案内の人に従って、港へ。
そこから小型船に乗って出発だ。
このツアーはサンタクルス島の港を巡るもので、陸路では行けない場所を見て回る。お値段35ドルと、他のツアーに比べて格段に安いのも魅力。
そして私以外全員スペイン語OKだったため、私だけのために英語で繰り返される。ちょっと申し訳ないww
まず訪れた岩場にはアシカたちが。
泳いでるねー。曇っていて波が荒いが、それでも悠然と泳いでいる。
しばらく見て一度目の上陸へ。
桟橋に寝転ぶアシカを、ガイドのおっちゃんが追い払う。
桟橋の下を悠然と泳ぐアシカ。
更に蟹じゃい(檜山)!何だ、こんな近くで見られるじゃん。こういうのが今後他の島に行ってもあるんだろうな。
ガイドの解説中、足元の桟橋から顔を出すアシカ。かわいい。
渓谷とため池。エメラルドグリーンが美しい。映画『ウルトラマン物語』でタロウが修行していた谷を思い出す。
こちらのため池には鮫の群れ。
彼らは昼の間ここで休み、夜になると狩りに出掛けて行く。
タコや魚を食べているのだという。この間海底で見たアレだろうか。
ここから更に歩く。今は乾期のため色もこんなだが、雨期には青々と草木が生い茂るのだという。
ウミイグアナ。顔が白くなっているのは、鼻息吹くときに出る塩とからしい。まぁ、泳いでるからな、塩くらい吹くわな。
何食わぬ顔で突然現れるこいつらも、そろそろ慣れてきた。ツアー会社に「イグナア見たい」と言ったら、「そんなのどこにでもいるぞ」と返された数日前が懐かしい。
海に戻ったらシュノーケリングの時間だ。今日はウェットスーツ無し!寒いだろ、と思ったが、ジードだ!と飛び込む。うむ、前回よりも水は冷たくない。
浅瀬の辺を泳いだが、普段人が立ち入らないだけあり、魚が豊富にいる。日本付近ではやはり見かけない魚がたくさん……ってすみませんね、水中用のカメラないんで。
更に今回はウミガメが海藻食っている様を1mくらいの至近距離で目撃。潮の流れで下手したら接触しそうになるのを、何とかホバリングして観察。いやースゲー。思ったよりガツガツ行くのな。
その後、一緒に少し泳いでさようなら。
シュノーケリングは息苦しくないが、徐々に寒さが忍び寄ってきたので、見るものも十分見られたし、ちょっと早めに船に上がる。
しばらくして全員上がり、出発。
「あれ撮っておけ!」と言われた鳥。カツオドリか?足見ないと分からんな。
再び上陸して目指した先にあったのはこちらの空間。泳げるようになっている様だが、シュノーケリング道具返しちゃったし、さっき泳いだし、何もいなそうだし、ちょっと泳いで終了。ちなみに、真水ではなかった。
最後にコーラとクラッカーをちょっともらって、ツアーは終了。このくらいだと船酔いもなくてちょうどいい。
陸に上がった私は次の島へのフェリーの切符を買う。当日では遅いらしい。ちなみに、旅行会社通しで買う形になる。もうついでに他の日程のも買ったが、往復だと安くなるにはなるが、同じ船でなければならず、これが合わなかったためにディスカウントはわずかだった。1回30ドルで、3回分で合計85ドル。
まぁ、INとOUTの空港変えたから、1回分のフェリー代はかからないわけだが。
そして今日も向かう、チャールズ・ダーウィン研究所。
今日のゾウガメは、首を伸ばしているこちら。
どうも虫の居所が悪かったのか、一頭が回り込んで噛み付いた!鞍型とドーム型で種類が違うからなのかなーとか思っていたら、「多分あれはメスで、ヒステリーね」とおばちゃん。
根拠ねーwwとその場にいた家族と一緒に思わず笑ってしまった。
縄張り?よくわからんなぁ。
市場には見知らぬ鳥が。今日も激しい魚争奪戦が、アシカとペリカンで繰り広げられる。
そして大量にランゴスタを買い込んでいく中国人。さすが富裕層は違うなー。
富裕と違う私は、余った食材でこちら。
マグロの生姜煮と余り野菜のパスタ。更にマグロを漬けにして保存していたのだが、問題なく食べられそうだったので、そちらもいただいた。
何だかんだで食い尽したな、マグロ。
次の島には魚のメルカドないらしく、厳しい戦いになるらしいので、ここからはすごく絵が地味になるだろうww
命の神秘が、我を呼ぶ!
第二百八十六話 たったひとつのEのために / 地を這う獣
出立88日目(通算338日目)エクアドル14日目 ガラパゴス4日目 サンタクルス島4日目
「大好きなんです。ヒデさんのことが」からの畳みかける感じが何度見ても笑うよね(ガラパゴス進化した島民の言葉で、もうひよっこも終わりかーひよっこロス絶対発生するわー、の意味)。
おはようございます!昨日はスゴイ光景がたくさん見られましたね!今日はどんな感じなんでしょうか?早速、彼の様子を見てみましょう。
「はぁ、はぁ、はぁ……やめとけばよかった!宿でダラダラすればよかった!」
おや?何だか大変そうですね。ここは山道の様ですが……早速、今日朝から見直してみましょう。
朝食をダラダラと済ませた私は、ダラダラとYoutubeなんかを見ていたわけだが、そろそろ動くか、と11時過ぎに宿を出た。向かったのはレンタサイクルの店。
数日前に同じ宿だったドイツガールが、自転車で内陸の方を見た、というので、それに倣うことにしたのだ。
行けるところを自転車屋のオヤジさんに聞いてみると、昨日ゾウガメを見たところもコースにある様だ。まぁ、昨日見たからな、そこはスルーで、お、なんか鳥がたくさん見られそうなところがあるじゃないか。
半日で10ドル。
「17時に返してね。もちろん、その前だったらいつでもいいけどね」
Hahhahha―!!
ということで、16km離れた「Cerro Mesa」を目指して、チャリを扱ぐ。
チャリに乗るとダイレンジャーのオープニング歌いたくなるよね。
プエルト・アヨラの町中のメイン通りに関しては、自転車専用レーンが設けられている。最初はそれに従って北上していけばいいわけだが、5kmもいかないうちからものすごい息が切れ、汗が滴る。
ブァカなっ!!この私が、たったこれだけで息切れなどっ!!ありえんっ!!と壇黎斗神丸出しになり、もう本当、何度も諦めたくなった。
もしかすると、昨日のシュノーケリングで、想像以上に足に負担がかかっていたのかしら?などと思いながら、何度も休憩し、途中から舗装がなくなると、道は急こう配になり、最早降りて引いて歩く始末!時間はドンドン過ぎていく。ああ、なんてこった!
余裕ぶっこいていたが、辿り着けても帰れないんじゃないか?
ということで、冒頭に戻るわけである。
明るさを装う根暗には、根性というポジティブなものはない。というか嫌!
おまけに途中でまた吠えて走ってくる犬に出会う始末。南米人共!犬は鎖に繋いどけぇえええええっ!!
下り坂にも助けられつつ、ついに目的地へ。スゲー傾斜の急な山だが、なんとか気合で押して登り切った!シャカリキスポーツ、クリアー!!
と思ったらこれは!
ゾウガメさんじゃないですかっ!
ど、どう見ても人の気配がないし、野生か?いや、でも一応軟化の施設だよな、ここ。
接近。さすがに人を警戒するが、これにて今日のゾウガメは達成。
いやーいいご褒美だったなぁ、と階段を上ると、うぉっ!?
めっちゃいい眺め!
サンタクルス島を一望できるじゃないかっ!
へー、島の大半はなんか木というより草で覆われてる感じなのか?平たい平面が続いている様だ。そしてその先に船か。
大パノラマに加え、遮るものがない故にビュンビュン吹く風に音も支配され、加えて誰一人というか人の気配すらない、この世に一人残されたような神秘的な感覚。
ブレーキを多用しながら降り、今度はもう一つの観光スポット?と思しきポイントへ。
途中にちょっと遠いけどまたゾウガメ。自然な姿で観察できるのは、来てよかったといえるかもしれない。
今度は谷。ヒャー、スゲーなー。この地形は……とかブラタモリなら始まるところだが、そんな知識はない。まぁ、火山がどうとかあるんだろうな。
脇道を入ると、初見の鳥が。足赤いね。ハトより二回りくらい小さい。
他にも尾の長い黒い鳥がいたが、こっちは警戒心が強くて、まぁ、全然写真撮れないの。仕方ないね。
この道は観光用の遊歩道で、しばらく行くと元の道に戻ると思ったのだが、GPSを見たら、アレ?違うじゃん?
仕方ないので戻って探してみると…
えっ?これ?これは……ないな!人が最近入った形跡もないし、やめておこう!
帰ろうとしつつ途中で道を確認していたら、レストラン?らしきところからおっちゃんが出てきた。
ここは入場料3ドルで、展望台とこの先に行けるよ、という。どうやら今来たところと思ったらしい。そういえば、入り口にもう使われていなそうな料金所っぽい建物があったような……
もう見終わっていたので、悪いと思ったが、そのまま帰った。ごめんな、おっちゃん!取りあえず今度教会見かけたらおっちゃんのために祈っとくわ!
自転車屋で渡された地図には、別ルートで戻った場合に「El Cascajo」という村に寄れるとなっている。
行きの道は追ってくる犬も居たし、ついでだから行ってみるか!
と進んでいくと、未舗装の上、考えられんような荒いダウンヒル!下手にブレーキしたら転んで死ぬんじゃねぇかってくらいだ。道の途中でうずくまっていた、子犬だか豚が、慌てて駆け出していく。
「はっはっは―!逃げろ逃げろっ!」なんて気持ちは全く湧く余裕もなく、申し訳ない気持ちとちょっとの恐怖と、楽できてよかったーという思いが混然一体となって下っていく。人生下り坂最高。本当にそうだろうか?
冷や汗もちょっとかきつつ、無事着いた村。何もないぞ?Maps.me上の記号を頼りに、村から一度プエルト・アヨラ方向に行ったら、ハイジのブランコ的な看板が。
取りあえず見に行ってみたが、案の定、人の気配がなく、なんか獣の影が見える。
まぁ、皆海の方に行っちゃうし、ここは滅多に人も来ないだろうから、廃れるのも無理ないか……ということで、以降の何となく観光客向けっぽい施設もスルーして、ガンガン戻る。というか、来た時の道に戻ってもスゲー楽なんだが……ひょっとして、これ傾斜ついてるのか?通りで漕ぐのがツラかったわけだ!
そして今日もチャールズ・ダーウィン研究所に寄る。朝食卓で寄ってくるダーウィン・フィンチを楽しそうに撮っていた青年に会い、少々話す。気持ちはわかるよ。今日は私、餌付けしてたし。
目の前で草食むゾウガメ!
帰りにマグロを買って、いざ帰ろうと思ったら、鳥の糞が降って来た!何てこった!
3ドルちょろまかした罰を、神が下したんだろうな。ハトじゃなかったけど。
自転車を返し、食材を買い込んで宿へ。
はい、今日はアボカドマグロにもしてみましたー。
「日本人って生で食うんだねー」の視線をまた浴びつつ、やっぱりうまいな、マグロは。昼食ってないのにいつもより食えなかったけど。
さて、明日はこの島最後の日だ。といっても派手な動きはしない予定。やはり5日も滞在すると余裕があっていいね。
命の神秘が、我を呼ぶ!
第二百八十五話 たったひとつのEのために / ナチュラル・ダイバーシティ
出立87日目(通算337日目)エクアドル13日目 ガラパゴス3日目 サンタクルス島3日目
ツアーへの参加のため、7:45には旅行会社へ向かった。
ここでウェットスーツを試着して、そこから車で移動になる。
初日に空港からサンタクルス島に渡って来た港にやってきて、そこから船に。目指すは火山島「Daphne Major」だ。
今回、4軒ほどツアー会社を巡って検討したが、ここを提案してくれたのは1社だけだったので、取りあえずここに。
昼食やら諸々込みで100ドル。安くはないが、どのツアーも100ドル~が相場なので、取りあえず見たいものを決めてから相談するとよい。
今回決めた旅行会社は、説明してくれた女性が、見られる生物を写真や映像交えて、かなり丁寧だったことで決めた部分があるが、無数の旅行会社がひしめき合っているので、肌の合うところはどこかしらあるだろう。
話を戻そう。
小型のボートで客は6名。
コロンビアの老夫婦とドイツ人女子2人、UKガールと私だ。朝は冷え込んだが、海風の当たる仕様ではないため、ダウンは大げさだったかなぁ、と思っているうちに現地へ到着。
2000年前に活動していたとか言うもので、現在は恐らく休んでいる。といっても人は住んでいないため、文字通りの動物の楽園だ。
船は島に寄り、我々も帆先へ移動。
真っ先に見えてくるのは蟹じゃい(檜山)!
とにかく波打ち際に大量に居る蟹。茶色~赤~黄色と、歳を重ねるごとに色が淡くなっていくらしい。まぁ、デカいのは黄色いから、そりゃそうなんだが。
カモメかな。雛もいる。デカいけど。
これも。蟹食うのかな。
ハイ、出ましたよ、名物アオアシカツオドリ。マジで青いな。ペンキで塗ったみたいじゃねぇか。お土産物のモチーフにもなるくらいの有名鳥だ。
ガイドが叫び、指さした方向にはこちら。大変わかりにくいかもだが、マンタである。
船上からかなりの数を見かけた。水しぶきの上がり方やひれなどなのか、かなり遠くからも見つけるガイドと船員。さすがプロだ。うっすらとはいえ確認できる辺り、水の透明度も流石と言わざるを得ない。
そしてここからがメインのスキューバダイビングだ。船に立って見ていたのもあって若干気持ち悪いので、さっさと海に入りたい!ダイブ!
なお、ここからは私ではなく、ガイドさんの写真を使用。また、私が見たものと必ずしも同一ではない。当たり前だが。というより、映像がほとんどだったので、容量の関係でアップできなそうなので、文字大半です、さーせん(日本に戻って可能だったら上げますね)。
ふおーっ!入ってそうそう足元にウミガメ来たーっ!
ビビッて海面から潜っていないが、それでも十分にわかる近さと透明度。この日は海の状態も良かったらしいが、それにしても!
悠々と泳ぐ姿に癒される。魚群も見られる。そしてものすごく水が冷たい!
ウェットスーツはこれ、サイズ合ってるのか?こんなもんなのか?半袖の奴じゃなくて長袖のが良かった!とかいろいろ頭を巡る。
こうして一本目は終了。少し移動してまたダイブ!今度もウミガメキター!もう泳いでいても探すのが楽しくなる。だが寒い。
更にもう一回!今度は近くにマンタを確認してからのINだ。
うぉおおおおっ!マンタキターっ!
小さいの追いかけてたらガイドさんに肩叩かれ、振り向いたらデカいのが!しかも丁度真上に出ることができた私。興奮しっ放し!コバンザメが上にもついとるやんけ!しかしデカいな!
ガイドさんは接近して下にも回り込む。スゲーな。映像も撮っていたが、容量の関係でアップできませんな、さーせん。
↑ 凍えながらも泳ぐ私
しかし寒い!体が震える!そして船酔いと波酔いで気持ち悪い!だがこの景色は最高に気持ちいい!
こうして次のポイントまでの移動時、ガタガタ震えながら出されたグレープフルーツを齧っていたが、見事にリバース。いや、海の仲間におすそ分けといおうか。ダディの辛味噌が頭に流れる。
無事生まれ変わった私は、小さな海鳥たちの屯する岩場で再びダイブイン!
ここもすごい!いわばということもあり、魚の大群が舞い踊る。
見たこともないメッキみたいな魚や、小魚の群れ、そな中に混じって泳ぐ爽快さ。
そしてあっという間に潮に流される!
一度船に上げてもらったが、もうゴーグルつけ直すことが困難なレベルでガタガタ体が震える。後やっぱり気持ち悪い。潜っていない老夫人が気遣ってくれたが、ここでやめたら意味がない!もう一度行くぜ!
今度は鮫キター!
岩の下にいるのを、ガイドさんが撮影して引っ張り出してくる。うわー、スゲーなー。
相変わらず魚もすごいし。これだけ見られれば、言うことないな。
見られなかったアシカの勇姿!
こうして最後のシュノーケリングを終えた私は、船上でガタガタと震えまくっていた。何度か死を垣間見たが、というか目の前の景色がもうこれ天国じゃねぇかみたいな、寒さと気持ちよさと悪さの波状攻撃という訳の分からん気分だったわけだが、よくよく考えると、こんないいものを見られたんだから、運が良かった。
あまりにも青い顔してたんだろうな。コートまで掛けられた。
しかし他の人間たちはそこまで寒くなさそうだ。細いUKガールも私程ではなさそうだし。民族の差か。他はまぁ、アレだ。やはりアザラシとかが生き延びるためのアレと同じだろう。
震えていたため、海鳥たちの島の写真撮れず。残念。
昼飯として供された、セビチェとライスも、ほとんど食えない。というかこの酸味が効いた味が、さっき出したものを彷彿とさせてだな……。
船はサンタクルス島のビーチに到着。陸路で行けないため、当然観光地化していないので、とても静かなビーチ。濡れている砂浜より先に入ってはいけない、というルールも。
まぁ、他の船の奴らはちょっと行ってたけどな。
陸に上がれば元気が戻るもので、ここで小一時間の滞在がある。
岩場の蟹。こいつらが思った以上に早い。飛び跳ねたりするし、日本のよりも相当素早いんじゃないかしら。
それもそのはずなのか、こいつらの巣と思われる砂場の穴付近には、無残な姿の蟹の死骸が転がっている。ああ、襲われたんだな。おそらく鳥に。だって鳥くらいしかいないから。
のんびり歩いていると、ペリカンさんが魚を狙う場面に遭遇。
確かに前日にチャールズ・ダーウィンで見たような魚が泳いでいたからな。この透明度だと、発見もたやすいだろう。食えてなさそうだったが。
いやーい景色。何ていうんでしょうか、この漂うジャワカレー感。
「大人の辛さ、ジャワカレー」ってつい口をついてましたからね。カレー食いたいなぁ。
帰り際に穴から出る蟹発見。荒くてすまんな。めっちゃ警戒心強くて、少しでも動いたら引っ込むんや……。
帰りは2組に分かれたわけだが、UKガールと我々の車は全然来ない。20分くらい待ってガイドさんらと乗り込む。
途中で「Santa Rosa」という村に立ち寄り、ビールの差し入れ。ありがたい!
さらに牧場に。バンガローもある様だが、ここでいいものを見せてくれた。
ハイ、ゾウガメ。ここに連れてきた、ということは野生というのでもないのだろうが。整備されているために一年中フレッシュな草が食えるから、ここにいる様な事を言っていた。
牧場だからって、食うわけじゃありません。
亀の甲羅の模様は年輪と同じ仕組みなんだって。そういうところは似てくるんだねぇ。
さらに接近して写真を撮ってくれた。ビール持って撮った人間は、果たして何人いるだろうか。バカにするのもいい加減にしてほしい。
それにしても、今日のゾウガメというコーナーが出来そうなくらい毎日ゾウガメ見てるな、私。ガラパゴス感あって最高だね。
こうして待った甲斐ありという感じでツアーは終了。先に行った人らは、見られたんだろうか?
夕飯は昨日のマグロと買ってきた野菜でシチュー風パスタ。自炊する人が今日は少ないな。
さて、ちょっと疲れたので、明日はのんびりしようかな。
命の神秘が、我を呼ぶ!