第三百三十一話 モーター・A・ダイアリー / 空く間は再び
出立165~66日目(通算415~6日目) アルゼンチン12~13日目 エルカラファテ3日目~エルチャルテン1~2日目
朝食に起きていくと、同じ部屋の連中の中で、1人だけ起きていた様だ。「うるさくなかった?よく眠れた?」と気にしていた。イイ奴だな。
眠りについた彼らとは裏腹に、こちらは行動開始。昼過ぎには次の街への移動になるので、荷物をまとめてチェックアウト。アルヘンティーノ湖の方まで散策に出掛ける。
途中でお目当てのものを見つけた。
エルカラファテの実(多分これ)。
これを食べると再びパタゴニアに帰って来られる、という言い伝えがあるんだとか。まぁぶっちゃけ物価高いからまた来たいかと言われるとどうかなーって感じだが、話のタネに。
うむ、若い実だけ酸っぱいのかと思って濃い色のも食ったが酸っぱい。そういや、これに砂糖ぶち込みまくってジャムにするのが常道なんだっけ。じゃあこんなもんだな。
そこから犬とかランナーとかとすれ違いながら湖を目指す。何もない道だ。風が強すぎて帽子飛びそうになり、手で持って歩く。
途中で馬が。そういえば、なんか牧場で馬に乗る的なアクティビティがあったような気がする。
そうして地図上の際までやって来たわけだが、うむ、遠いな、湖。結局空港からの途中が一番きれいに見えたぜ。
宿に戻って荷物を背負ってターミナルへ。途中でバックパックの肩ひもの固定部が壊れるトラブル発生。前回の修復が甘かったか。しかしいろいろなものにガタが来ているな。
バス停にはAちゃんの姿が。朝の便から変更できるかなーとか言っていたが、できたようだ。
バスは定刻過ぎに出発。3時間程度の道のりだ。アルゼンチンのバスは基本スペックは高いが、ペルーみたいなオモシロ要素がないのがつまらない。お昼に持って来ていたサンドイッチを食べると、あっという間に眠りに落ちていた。
そして目が覚めればエルチャルテンの街の手前。観光客はここのインフォメーションセンターで説明を受けなければならない。と言っても、とても大切な情報だ。
エルチャルテンに来た人間のほとんどが、「フィッツロイ」と呼ばれる山に纏わるハイキングというか、山登りまではいかないが、って感じのにトライアル!する。
ここではそのコースと国立公園内の注意事項の説明、更に天候の話をしてくれる。
残念ながら翌日は雨だろう、とのこと。うーむ、翌朝にトライして休み、次の日に街に行こうと思っていたが、いきなり予定が狂った。おそらく次の日ならいい感じだろう、ということで、それを信じることにした。
再度バスに乗り、近くのターミナルまで移動する。ここで翌々日のバスを予約する。
2会社ほど窓口が空いていたが、1つは1日おきの運行で便がなかった。少し安いんだが。
そしてもう一つは毎日運航。2,020ペソ+ターミナル利用料20ペソ(現金のみ)だ。2社とも20:00と21:50で夜出発。これなら2泊でも行けるだろう。
移動距離を考えると、ご飯も付いてるし、やはりカラファテ~チャルテンが高いことが分かる。ちなみにチャルテンからカラファテは500ペソらしい。
バックパックを車輪モードにして歩き出す。
入り口に看板。
本来なら後ろに見えるようだが、小雨がぱらつき、フィッツロイの姿は全く見えそうもない。こりゃ明日も確かにダメかもな。
例によってMaps.meのホテルの位置が間違っている&GPSの調子が悪いために時間が掛かったが、何とかホテルへ。肝心な時に役に立たない、橘さんとは逆な奴だ。
この宿でまたAちゃんに会う。ま、前日同じ宿だねーって話してたので知っていたが、君18歳だったのか。外国人の歳はマジでわからない。
さて、ドミ部屋に行くと、日本人のTさんがいた。
お目当てはフィッツロイで変わらないが、早朝出る私とは違い、彼は前日に途中のキャンプ場に入るとのことだった。
大変狭い&Wi-fiの遅いこの街ではやることも少ないが、取りあえず近くのスーパーへ。
うむ、予想通り高いが、品ぞろえは思ったよりいい。安いワインは買えたので、夕飯の調理開始だ。
ホステルは観光客、それも他国からの客が多い様で、英語が飛び交っている。これまでの場所とは少し様子が違うな。
こんな見た目だが、スープパスタというか、タジャリン。スープの入る器がこれしかない&カトラリーがなぜか見当たらなかったので、お箸でいただくスタイルに。この形だとつい音を立ててしまうので、注意が必要だww
Tさんと情報交換をする。これからキューバに向かわれるとかで、知っている限りの話をした。もうあれも4~5カ月前かぁ、と思うと感慨深い。意外と覚えてるもんだなぁとかね。
今の季節はどうなってるんだろう、キューバ。旅行者は行った期間の見た範囲の事しか知らないんだよな、と改めて思った。
結局話が弾んでワインを一本、1人で開けてしまうのだった……。ここも夜がなかなか来ないな。
翌朝。6時ごろ外を見たら、雨がぱらついている。今日はやはりだめだったのだな。
その後雨は強くなっていった。他のとこまで歩いてみようと思ったが、これも無理そうだ。
朝食はスープを作って、日本から持ってきたお湯を入れるだけの山菜おこわに。2年前の旅行に際して、大学時代の後輩からもらったものだが、なんだかんだ今まで使わなかった。荷物を減らしたいことも理由の一つだ。
この途中でTさんは旅立った。この雨の中でキャンプとは、なかなかに修羅の道だ。ただ、彼も飛行機のチケットを取ってしまっている以上、時間に余裕がないのだ。状況は一緒。
しかし本当に雨が強くなる一方。ホテルのラウンジでみなダラダラするくらいしかすることがない。何て不毛なんだ。この時間を利用して、エルチャルテンについて説明しようか。
エルチャルテンはエルカラファテから220kmに位置する、フィッツロイ山への入り口の街だ。主なトレッキングは3つのコースがあり、
- フィッツロイを近場で見るもの(片道10km)
- 湖越しにフィッツロイやセロトーレを見るもの(片道9km)
- ロスコンドーレスという丘に登るもの(距離忘れたが、標高1000m越えの山道)
ってところだ。もちろん①が大体の人の目的で、早朝に登るのは朝日に照らされたフィッツロイを見るためだ。晴れて入れば本日は②でもいいかなーと思ったが、もうやめよう。
ここでもトレッキング以外にいくつかのアクティビティが用意されているが、はたして需要はあるんだろうか。まぁ、雨降ってなくても山隠れてたら見に行かないだろうし、ネットも遅いとなれば手を出す人もいるかもしれないな。
なお、エルカラファテからフィッツロイを見に行くツアーみたいなのも出ている模様。値段忘れたが、仮にこれを見た方がいく頃にはさらに上がっているだろう、カラファテなので。
あ、大事なことを忘れていた。このフィッツロイトレッキングが人気な理由の一つに、国立公園への入場料がいらない、ということがある。氷河は500ペソも取られたのにねー。太っ腹だぜ、フィッツロイ。
お昼過ぎたので昼食へ。
近くのエンパナーダ屋さん、その名も「チェ・エンパナーダ」
……ま、アルゼンチン出身だからな。ゲバラとエンパナーダをこう……無理ないかなぁっ!?
かなり種類があるが、セルドピカンテ(スパイシーミート)を選択。30ペソ。
その場で温めてくれるのが売りだが、なんか冷たかった。味はイイだけに残念!
午後は以降の街の調べものなど。帰国までの予定が詰まってきたので、やりくりが忙しい所だ。ネットも遅いし。
雨が上がった。このまま晴れてくれ!
明日は日付変わった辺で出発のため、夕飯を早めにとって早めに寝る。
夕飯は日本から持ってきたHoteiの「焼き鳥(とりたま)」の缶詰めとスープにご飯だ。
この缶詰はドラマ「めしばなデカ立花」でも取り上げられた一品で、「俺は更に一周して塩味だ」みたいな、味でのマウンティング合戦が印象的だったな。初めて食べるけど。
さて、前述の通り、調べるほど朝、っていうか深夜出た方がいい感じになって来たフィッツロイ見学。これはキャンプする気持ちもわかるというもの。しかし、俺は深夜に行ってやる!
果たして無事に晴れて山を見ることができるのか。そもそも辿り着けるのか?どうなる第332話!?
輝く自然が、我を呼ぶ!