第三百三十九話 Jへの帰還 / 地球は我が家さ
出立178日(通算478日) スペイン2日目~中国~韓国~日本
皆様ごきげんよう!
随分とお久しぶり!になってしまったが、まぁちょっとしたトラブルがあったからなわけで、その実態をおおざっぱに振り返ろう。
ところはスペイン、マドリード。朝早くに宿を出て、来た道を戻るように空港へ。
ああ、朝食は適当に食えスタイルでした。
日の出が随分と遅く、これが日の沈まない帝国かと思いながらであった。
チケット発券の際に荷物を預ける。ここで、本来はチリ~中国まで荷物を預けっぱなしにしているハズだったのを無理に出してもらっていたため、再度預けるのに少し手間取ったが、何とかそのまま預けることができた。これが彼の姿を見た最後になった。
中国まではチリ~スペイン間と同じ時間が掛かる。懐かしい中国の地。思えば、ここからの飛行機が遅れやがったせいで、アメリカに1日ステイすることになった。あのことまだ忘れてねぇからな!
とか思いながら荷物を待っている。が、待てど暮らせど出てこない。
おいおいおいおい!これはまさか……
イベリア航空は中国にカウンターがないため、提携の航空会社で荷物のことを尋ねる。
「積み込んだ記録がないですね」
ええっ……
取り急ぎ問い合わせての手続きを行う。日本に戻ったらもう一度空港で確認するように言われた。ものすごく嫌な予感だ。だって積み込んだ記録がないなんて!
途方に暮れながら、しかし次の便の時間が迫っているので仕方なく搭乗手続きに移動する。今回は中国は悪くない!悪くないが、どうしても、またここでトラブルか!と思ってしまう。
国内便と国際便の案内板。 なんだろう、「こころ」の先生並みのものすごい葛藤を感じる。そうだね、そこはそうするしかないね。
韓国へはあっという間。まぁ、当然ですね。
ここでも次の便を待つわけだが、何だろう。文字以外ほぼ日本。空港しか見てないんであれだが…否、空港だからか。ほとんど一緒感。やっぱ隣国だからな。
かくして半年ぶりに日本についたわけだが、心は全く晴れない。
失せ物カウンターに届け出を出す。ほぼ最初からの手続きになるが、日本語が通じるだけでありがたい。イベリア航空の人ではなかったが、係のお姉さんは「8~9割戻ってきますから!」と励ましてくれた。
もうお分かりだろう。私はその1~2割だ。
戻ってきたら自宅に送ってくれることになり、何だ荷物減ってラッキーと前向きに考えていた。ここからのやり取りは航空会社の担当にバトンタッチ。
電話とメールを通じて、外見や中身の詳細な情報をやり取りし、帰りを待つが、その後1か月以上音沙汰がない。
ああ、アレだな。南米で散々スペインをディスってたから、最後にしっぺ返しかましてきやがったか。とんだクリスマスプレゼントだよ!っていうか裏サンタ的な?なんで盗られてんの?誰かの手に渡ったの?それで誰か幸せになった?俺がサンタだった?おのれ!恐るべし、スペイン帝国!
こうなれば中身の補償問題になり、航空会社からは中身とその詳細な金額をまとめてリストにしてくれ、と言われた。
こうなってくると旅の間の詳細を家計簿にしていたことが活きて来る。すっごーいでしょ?最高でしょ?天っ才でしょ?
旅の前に持って行った金額は類似品の金額から推定し、合計約11万円を計上。
私の地元に当該銀行のATMが無いもので、つい最近ようやく記帳できた。やれやれ、帰国から半年経っていやがる。
その額約4.5万円!おいぃいいいいいいいっ!!!!半分以下かいぃいいいいっ!!!!
クソ真面目にきちんと金額出したのになんですか、それは!まぁ、お土産代3万ちょっとが全部戻って来たと思えばいいが!確かにあとは二束三文的なボロボロなもんばっかだったかもしれないが!なんでお前らにその価値を決められねばならんのだ!!??算定させておいてなんだが!
「いやーよかったですね。最後に一稼ぎできるじゃないですか」なんて励ましてくれた強者もいたが、クソ真面目に計上したのがバカだったのか?もっとこう、コロンビアでエメラルド買いまくったとかいえばよかったのか?
お土産。これ持って友人にどさ回りしつつ、これ見よがしに土産話しようと思っていたのに、その計画がパーだ!「帰国したら遊びに行くねー」とか言っといてもう半年経っちゃったよ!手ぶらじゃ行けない!もういっそ手ブラで…何でもない。
そんな訳で皆さん、今となっては全てが闇の中だから言いますが、皆さんへのお土産もあったんです。お持ちできなくて残念です!
中南米はまさしく日本の正反対に位置する。そこには様々な出会いと冒険があった。見たことのあるものやない景色も、文化も、料理も、それからほんの少しロマンスの神様のいたずらも。
そして結局は「ああやっぱり、人間だもんな」という共通項が溢れていた。やっぱり笑顔が最強だしね。どこの国の人間だからといって、変に線を引く必要はない。目の前の人間と向き合えばいいのだ。
地球の裏側まで行って「地球は我が家さ」を実感したのだった。
アレ、待てよ。ってことは私の荷物も我が家にあるってことか。ということは皆さんの手元にお土産が渡っているも同義!なぁ~んだ、ちゃんとお土産無事に届けてたんだな!
さて、バックパックもなくなっちゃったし、これは神様がもうやめておけと言っているってことなんだろう。仕方がない。そう言われると反抗したくなってくるぜ!!
はてさて、第4部はあるのかないのか、確かなことはわからない。だが、冒険は常に目の前に広がっている。日常のちょっとした隙間にも奴らは忍び込んでくる。
だから皆さん、いつでもその心にキラキラと輝くときめきを、忘れないでください。胸の中の宝石を信じて生き続ける限り、ダイヤモンドは砕けない!待て、第4部!