第三百三十三話 モーター・A・ダイアリー / リアルと理想と言ったもん勝ち
出立168~9日目(通算418~9日目) アルゼンチン15~6日目 サンカルロス・デ・バリローチェ1~2日目
2階の最前列ということで、眺めもいい中での目覚めだ。
朝食代わりに甘いお菓子とコーヒー。コーヒーはティーパック式。初めて見たわ。
さてこの道、ルート40と言ってアメリカのルート66と並ぶ、超有名な道路だそうな。
パタゴニアにはこの標識を模したお土産がたくさんあったが、見ている限り取り立てて面白い景色があるわけでもなく、開けた土地を延々と走っている感じで飽きて来る。
あと、窓ガラスヒビ入ってるんだよね。
ついでに言うと最前列では画面が見られないため、流れている映画もよくわからない。まぁいいんだけど。
何度か休憩があり、そのたびに外へ。Wifiの使えるところがあった。Tさんからは「送ってもらうとお手数なので、そのバッテリーは差し上げます」と来ていた。うむ、スゲー重いので、送るのならそれでもかまわなかったが、ともあれ、これでウルトラコンバーターを手に入れた様なものなので、長距離移動にはもってこいだ。相変わらず、充電できる設備はないし。そして早速この日使いましたとさ。
お昼には軽食が。
似た様なラインナップだ。どうでもいいが、このお菓子、種類替えてくれないかな!?チョコパイの中のクリームがドルチェ(ドゥルセ?)・デ・レチェになった感じで、おいしいけどめっちゃ甘くて、日に何度も食べるもんじゃない気がする、デブ養成スーパーフードだ。
そしてバスはあれよあれよという間に遅れて行き、21時前着と言っていたのが、23時ごろ着。おいっ!
いや、おかしいと思ったんだよ。数年前には30時間近くかかってたのに、どこに省略できる要素あるんだと思ってたら案の定だよ。つーかもっと早く出んかい!
さて、翌日出発のバスを買おうと思っていたが、当然窓口は全て閉まっている。明日か。
セントロまで3km、予約したホテルまで2.3kmほど。
普段なら歩くが、この時間に未知の土地をというのはいくら何でもよくない。タクシーか……あ、バスがあった。SUBEカードを使う様で、他の人に倣ってタッチ、乗車。
……ん?確か中に1ペソも入ってないよな?
しかしその後の人の流れを見ても、手続きに瑕疵があったようには見えない。理由は翌日わかるのだが、ともあれこの時間にもバスがあったこと、SUBEが使えることが分かった。ヨーロッパでもこの手の電子カードはその都市しか使えない、みたいなことが多かったが、こいつはSuicaとかIcocaみたいに国内結構なところで使えるんじゃないかな。だとすれば、買って損はなさそうだ。
こうして23時過ぎに宿へ。無事チェックインし、シャワーを浴びて、キッチンがまだ使えたので、持ち越した食材で夕食を。
日曜日だし、時間的にほとんどの店が閉まっているので、食材と缶詰を残しておいて正解だったぜ。
朝食付きの宿なのだが、えらい充実していた。パタゴニアに片足突っ込んでいるとはいえ、これまでのところより安いし、いい感じだ。ゆで卵にオレンジ、パウンドケーキ付き。パウンドケーキは前日に厳つい髭面の兄ちゃんがオーブンで焼いていたものだ。そう考えると可愛いな。
これを食して早速ターミナルにチケットを取りに行く。
次なる街はメンドーサ。しかし、流石に当日のチケットはない。ただ一人、「乗り換えありなら」と提案してくれた姉ちゃんがいて、ここで購入。1,880ペソくらい。直通で安い所は他にもあったが、残り日数と次の街でしたいことが多いことから、強行突撃案を採用。
ただ、通常13時発→翌朝8時着のところ、同じバスでNeuquenという街まで行き、そこで4時間待って翌日11:45着なので、無駄な時間がある方法なのだ。まぁ仕方ない。
そしてこの街の観光に要せる時間が1時間くらいしかない。慌てて宿に戻ってチェックアウトし、次の街の宿を取ったり情報を手早く集めたりで、街へ繰り出す。
ナウエル・ウアピ湖に面していて、奥には山々が見える。いい景色だ。
サンカルロス・デ・バリローチェは前述の通りパタゴニア地方に属し、標高2000~3000m級の山々に囲まれた小さな町。19世紀の終わりにスイス人が多く移住したため、木造のシャーレ式の建物が多く並ぶ。景観と相まって「南米のスイス」と呼ばれるゆえんだ。
ブエノス・アイレスはパリだったし、何かと欧米感を出してくるな、アルゼンチン。
冬はスキー場、それ以外にもこの湖は国立公園になっていて、アウトドアスポーツが楽しめるようだ。
カテドラル。久しぶりの名前だが、これも様式がどことなく向こうの感じを漂わせている。
中も何というか、品がいい。南米の中でもアルゼンチンは比較的そんな感じだったが、それと比べても品がいい。
なんかスイスっぽいな、これも。地味にキリストアイテム。
広場の入り口。これまでとは確かに雰囲気が違う。
中の建物や
観光バスも。
季節柄、広場中心にはクリスマスツリーが。
おっしゃれー。こう見ると確かにスイス感がある。行ったことないけど(伊達さん)。
お土産市場。手作りの品もあるようで、ここが結構面白い。
妖精?グッズの店。アルゼンチンの土産は垢抜けすぎていて癖がなく、どうも面白みに欠けたラインナップだったのだが、スイスの様式が入っているのだろうか、ここは見ていて結構面白い。
メインの通り。確かにスキー場の街並みみたいな感じで統一感があり、ゴミゴミしてなくていい雰囲気だ。ブエノスアイレスより全然いいだろ。
そしてこの街の名物として忘れていけないのがチョコレート。
南米がカカオ豆作っているのはエクアドルから見てきていたが、ここでも例に漏れず、名物化。かなり種類があって、量り売りで好きなものを選べる。
いくつも店があるのだが、ここのお姉さんが試食させてくれた。つってもここまでの旅で日本のチョコレートメーカーの優秀さを嫌というほど実感していたので、どうせ大したことないんだろうなーパクっ。うっまっ!!
思わず目を見開いて呟き、姉ちゃんの方見るレベル。な、なんやこれ!めっちゃうまいやんけ!
そうか!これまでの所と大きく違うのは、欧米の、スイス式のチョコレート加工技術がきちんと備わっているというところだ。イグアス居住区でラーメンがうまいのと同じ状況。素材と技術が揃えば、うまくならないわけがないのだ。
そういうわけで、仮面ライダーグミのCMのキッズみたいな流れを演じてしまったが、お買い上げ。1kg430ペソの所で、50ペソ分。満足顔で店を出る。
ちなみに、かなり価格の違いがあり、超デカい店を覗いたら1kg840ペソで、手の込んだチョコレートが並んでいた。味も違うかもしれないが、これで十分。
お土産にもいいだろうけど、まだちょっと暑いところ通るから、今回はやめておこう。ま、アジアや南米諸国では食えないレベルだが、ぶっちゃけデパート行けば近しいレベルのもの食えるしね。日本の製菓技術スゲーは、やっぱ。
他にもこんな感じの飾りチョコレートが並んでいた。もう完全にクリスマスだよなー。
あとはチーズフォンデュとかアイスもおいしいというが、時間の制限と、店も見つからなかったので諦める。長時間移動でお腹壊してたら嫌だから、ってのもあるが、要はスイス名物探して食えばOKなんだろうな、この街は。
帰りに軽食用にエンパナーダを購入し、大慌てで荷物を取ってターミナルへ。
充分だったかわからないが、満足するレベルで見ることができた。物価も高いというけれど、スーパー行けていないので不明。雰囲気が通常の南米とは違うので、喧騒に疲れたら来てみるのもいいのかもしれない。
さて、バスは30分遅れで出発。横のおっさんのがボロボロこぼしたパンくずで席が汚れているが、肝心のおっさんは私が座ったら移動しやがった。ふざけやがって。
6時間ほどの旅。画面では映画を流していて、英語の作品にスペイン語字幕なので、これまでより格段にいいのだが、なんか人間の嫌な部分や心理の動きを描いた作品が2本続き、ゲンナリ。長旅でダラダラ流すもんじゃないだろ、と思ったら、今度はジャッキー・チェンの映画。あーやっぱいいわ、ジャッキー。スゲー。こういう時はこういうのだよな。
丁度見終えたくらいでバスは到着。「Neuquen」のバスターミナルはバリローチェのそれよりも大きく、会社も多い。周りへのキーになっている街だった様だ。メンドーサ行のバスを扱っている会社も多いようだ。あの窓口の姉ちゃん以外は提案してこなかったが、ここまで来れば他の会社のも手配できたのかもしれない。知らなければできないが。
しかしWifiは有料だし、ここでも時間を潰さなければいけない。バス内よりもパソコン出したくない雰囲気あるので、やることがない。
ここにSUBEカードの状況調べられるマシンがあったので読み取ってみたら、「-16,78」と出た。なるほど、次使うまでにこの分含めてチャージすればいいよ、という救済措置だったのか。ともあれ、このおかげで助かったわけだ。窓口の閉まった前日では、チャージもできなかったし。
ターミナルを歩き回ったりで時間潰していたが、窓口で聞いたら「1時間遅れてる」とか言う始末。うーむ、歯痒い。バスの移動時間も「~に無事到着」と文字では少ないが、この時間潰すの本当にしんどい。アルゼンチン広いからしょうがないけどね。
近くのアルゼンチン人と話しながら待ち、1時間半遅れでバス着。0:45か。軽食買っておいてよかったよ、本当。
本来の席はカップルで座っていたので譲り、彼氏の座る方だった席へ。これが良かった。隣の人は途中で降りたので、2席丸々使えて、体勢を好きに変えられた。
とはいえ、流石に2日連続で25時間+19時間(予定、別途待ち時間5時間半)というのはよくなかったな。もう2度とやらない。終わるけど。
とはいえ、着いてしまえば3泊予定だ。もう時間をつぶす手立てがない!早く着け!
魅惑の浪漫が、我を呼ぶ!