新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第三百三十話 モーター・A・ダイアリー / 氷の嘲笑

出立163~64日目(通算413~4日目) アルゼンチン10~11日目 ウシュアイア3日目~エルカラファテ1~2日目

 

 宿を出る時間的に朝食は諦めた。あの甘いクロワッサン、おいしかったんだけどなぁ。

 

さて、ギリギリまで粘ったせいでちょっと慌てて移動。道路手前の海岸を突っ切ったら30分くらいになったのでまぁ、良し!草っぱら突っ切ったからか、野ウサギが跳んでいるのを見かけた。そういえば、行かなかった国立公園には生息してるんだっけか。なら居てもおかしくないな。

 

結局飛行機は若干遅れたが、1時間半もないフライトなので大した影響はない。エルカラファテまでの500kmくらいの距離がこれだけで着くんだから、人類の英知たるや、大したものだ。

 

空港から街までは距離があるため、「VES」という会社のシャトルバスを利用。

160ペソでホテルまで送ってくれる。公共交通機関がないっぽいから、おそらく一番の安上がりだ。

 

さて、ホテルで無事チェックイン。気温は依然低いものの、流石にウシュアイアより暖かく、昼は半袖で行ける場合もある、って感じだ。

荷物を置いたら出掛けよう。

 

エルカラファテは湖に囲まれた小さな町で、付近にあるいくつものスポットの存在する、パタゴニアのハイライト的な街だ。あ、パタゴニアってこのアルゼンチンとチリの南部の地方全体をさしていて、南米を旅する人々の憧れの地だ。

ここまでの記事をお読みいただいたみなさんはうっすら気付いているかもしれないが、旅に出る前は全く知らなかった&途中でも「パタゴニア良かったですよー」「ああ、やっぱそうなんですねー(それどこにあるんや?何ができるんや?)」状態だったので、やっぱり思い入れは少ないんですけどね。

 

そんな訳でやって来たエルカラファテの街で私が狙うのは国立公園内にある「Glaciar Perito Moreno」すなわち、ペリト・モレノ氷河である。ここをトレッキングしたりクルーズで見たりがこの辺りのフェイバリットなレジャーだ。

この申し込みのためにツアー会社に向かう。

「ミニトレッキングは一人3,600ペソ+国立公園入場料500ペソです。」そうすると、4,100ペソだから6.5倍して……27,000円くらいかー。この辺値上がりしてるから仕方ないな……ってなるかボケっ!

 

1年前の記事では2,400ペソ+入場料だし、数年前なんか640ペソってのもあった。いくらなんでもインフレし過ぎだろっ!ペンギンクルーズで悩んでたのがアホらしくなるクズっぷり!

ミニトレッキングは氷河に渡って1.5時間トレッキングし、氷河の氷でウィスキーオンザロックを呑んで最後に展望台から氷河を眺めるというもの。オンザロックしたいと思っていたし、氷河の上でギグナス氷河ごっこでもするかと思ってたし、言うて2万円くらいまでなら背伸びも考えたわけだが、3万近く……。

 

最悪だ……。まさかここまでコケにされてたなんて。

「観光客共、どうせ一生に一度なんだろ?これくらい出せるだろ?」という魂胆が透けて見える。マスタークの様に「悪いな」と思ってる様子が微塵もない。そしてどの店もすべて均一料金。

 

目の前の姉ちゃんの笑顔で仕方ないな、とか思いかけていたが、冷静に考えると氷河に登らないといけない理由ないし、その金あったらマッカランの10年何本買えるんだよ、って感じだし、聖闘士星矢世代じゃないし、ていうかアイスランドで氷河堪能したから触れ合う距離とかじゃなくていいし!と酸っぱいブドウ理論爆裂で、さっさと切る。これは、眺めに行けばいいな。

 

ついでに翌々日のバスチケットも買おうとバスターミナルへ。

……アレ?Maps.meにあったとこ、廃屋になってる……よく見ると東の外れに新しいバスターミナルが出来ていた。おい、ホテルから遠くなってんじゃねぇか!せっかくターミナルに近そうな安いとこにしたのに、意味ナイアガラ!

 

まぁ仕方ないので新ターミナルへ。これは、出発日が怖いな。

エルカラファテの街は周辺観光のためか、レストランも土産物屋も多い。値段もそれなりだ。

スーパーのものの価格も……おい、ウシュアイアより高いぞ?なんで最果てより高いんだよ。

そうか。T君みたいに、パタゴニアハイライトのここだけくるって観光客も多いんだな。だからここまでの強気な設定。舐め腐ってやがるぜ!

 

次の街、エルチャルテンまでのバスは600ペソ+ターミナル使用料10ペソ。これも数年前より上がっているが、ミニトレッキングに比べればかわいいもんだ。移動時間3時間くらいと考えると、これもボッているのだけれど。

 

そして氷河への往復バスも同じ価格。うん、1/6だからね、文句はないww

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 帰り道、インフォメーションセンター?の所に結構大型の鳥類を発見。な、なんだコイツラ!?地面を掘って餌調達してるんだろうか。飼われているのか、まったく謎。

 

こうして街を戻り、スーパーで買い物。

次の街「エルチャルテン」は物価がさらに高い&物もそんなにないらしいので、ここで買いだめ。おいおい、これより高く何のか、狂ってやがる……。

エルカラファテ、街の雰囲気自体はいいんだけどね。

 

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よくわからんモニュメントや公園なんかもあるし、おしゃれなお店多いし。全く利用してないけど。

 

宿に戻って夕食の用意。オーナーさんの妻子が調理中だったようで、ちょっと絡む。なんか小さい女の子とばっかり絡んでるな、俺。変態おじさんかよ。

 

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言うても肉もワインもあるから妥協しない。米炊いてみたが、やっぱり日本風の米の後だと見劣りするなー食いづらいし。

 

寛いで食っていたら、周りの椅子がどんどん持っていかれる。どうやらフランス人の集団がパーティ?し始めたようだ。今回の旅、要所要所でフランス人が攻めて来る。ドミもいつの間にかフランス人だらけだったし。

 

翌朝、7時から朝食が食べられるので、1人モサモサ。他に起きて来る人はいない。カラファテさんも22時過ぎても明るいので、訳わかんないのかね。

 

ペリト・モレノ行のバスは9時にターミナル発。その前に出ようと思っていたのだが、前日にオーナーさんが「ここの前通からそのタイミングで拾ってくれないか聞いてみるわ」と電話してくれた。ダメだと分かると、悪いと思ったのか「じゃあ車で送ってくよ」と言ってくれていたのだ。何ていい人だ!ちょっと遠くなっちゃったけど、いい宿だな!

 

8時半にオーナーさんが車で到着。

奥さんと娘さんも乗っている。どうやら、お子さんを送っていくついでに乗っけて行ってくれるようだ。前日も話したが、お子さんがかわいいんだな、これが。

奥さんに「ミニトレッキング高くないっすかね」って言ったら「すごいいいツアーなんだけどね。毎シーズン値段めっちゃ上がってるの」とのお答え。それにしたって1.5倍はやりすぎだろ、って感じだ。

 

無事ターミナルに着いてお礼を言って降りて行ったわけだが、その後に同じ会社のミニバンが到着していた。何かトランスポート手段があるのかもしれない。窓口で聞けばよかったな。

 

車で来たので待ち時間はそこそこあったが、ドンドン人が来て埋まっていった。どうやら見に行くだけでOK派もかなりいるようだ。というかあんな無茶な料金設定、早く破綻しろよって感じだ。

 

バスは定刻過ぎに出発。

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途中で街の北部にあるエメラルドのアルヘンティーノ湖も見えていい感じ(遠いけど)。あ、また野ウサギだ!スゲーな、パタゴニア

 

うつらうつらとしていたら国立公園入口に着いたようだ。ここで500ペソお支払い。国民や南米民は安くて済むようだ。

マップももらって眺めていたら、隣の席のニュージーランドの女の子・Aちゃんが話しかけてきた。ブエノスアイレスで英語教師をしていて、帰国前に観光に来たらしい。バスの終着まで話し込んで、何となく一緒に見て回る流れになった。ミラクルやんけ!

 

見学のために対岸に設置されたバルコニーはいくつかのコースがあり、所々にビューポイントが設定されている。ミニトレッキングツアーだと1時間ほどの滞在の様だが、バスのみだとカラファテ9時発~10時半着で、帰りは16時発とかなり時間があるので、いくつものコースを回れる。シャトルバスで短縮もできるが、時間もあるのでブルーのコースを歩いて、氷河にドンドン近づいていくというベーシックな道のりを辿ることにした。

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そして見えてくる氷河!まだ一角なのにデカい!

 

ペリト・モレノ氷河は全長約35km、面積は200km²前後にもなる大氷河で、南米第2位の大きさだ。また2位かよって感じだが、1位はすぐ近くにあるウプサラ氷河なのでセーフ(何がだ)。

豊富な降雪と気温の高さから流れが速く、1日に40~200cm進んでいるとか。

この氷河を含む国立公園は1937年に国立公園に、81年にユネスコ世界遺産に登録された。公園内には47もの氷河が存在しているらしい。

 

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段々見えて来て、こちらのテンションも爆上がりだ。

時折崩落が起きて水しぶきが上がる。遠くからは小さな塊が落ちたな、くらいにしか見えないのだが、時間差で聞こえる音は雷の様。距離もあって実はデカい塊が落ちてるんだな。

全体が見えてきた。高い所は70mはあるので、そら小さくてもm級の塊が落ちてる可能性あるんだな。

曇りなのでイマイチ崩落が少ない気もする。

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手前には花も咲いていて、激寒な現状とのちぐはぐさに訳わからんことに。そう、こんなデカい氷の前なので、当然寒い。

ドンドン移動していく間に晴れてきたが、うっかり見えないタイミングで超轟音が聞こえた。どうやらデカいのが落ちたらしい。クッソ悔しいwww

 

その後も「アレ落ちそうじゃね?」「多分私たちが移動したら落ちるね」みたいな自虐が生まれる程度の状況になってしまった。まぁまるでみられなかったわけじゃないんだけどね、悔しい!

 

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それにしてもデカくてキレイ。近場は迫力があるし、

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登れば遠く山の方まで見渡せる。これを1時間で済ますのはもったいない気がするな。

青く見えるのは透明度が高く、可視光線の青のみを反射しているからだとか。可視領域の広い鳥類には別の色で見えていたりするんだろうか。イーグルの目を持つ風切大和さんの感想を聞きたい。

 

しばらく待っていたが、Aちゃんも疲れてきたようで、ランチ休憩にデカいバルコニーに移動。

 

そこにいた写真スタッフが、私を見て「ジョニー・デップ!」と言ってきた。ハットとロンゲと髭。要素を拾えばそうかもしれんが、いくら何でも嫌がらせレベルの発言だ。「どこにいるの?」と返したが、彼が去った後にAちゃんがそっと「I wish……」と呟いた。おい!いやわかるけど!

 

2人いると記念撮影もはかどる。

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ほら皆さん、ジョニー・デップですよ。ね?どこが?でしょ?キレたいのはこっちの方だ!!

 

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更に進んでいくと別の側面が見えて来る。こっちは結構反っているな。日も出てきたので「落ちろっ!落ちろっ!」と念を送るが、願いは届かず。

目に見えて疲労したAちゃんからの提案で引き上げる。一人なら時間いっぱいまで粘ったろうが、他人と行動するというのはこういうことだ。つーか他の人と観光したのって、ツアー除いたらいつ以来だ?思い出せないレベルだぞ、おい。

 

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80周年モニュメントと。なんだかんだ、この青いとこ全部氷ってのがすごい。


その後シャトルバス待っている間も崩落の音は聞こえなかったから、この日は不作だったのだろう。致し方なし。

全体的に満足できる1日だった。氷河トレッキングは一生に一度かもしれないが、ニュージーランドガールとのデートもこの先一生ないだろうからなぁ。楽しかった。

 

バスは定刻で出発したようだ。寝ていたらバスを移るように言われ、寝ぼけて訳が分からないまま小さい方に移ったが、宿の近くでおろしてくれたので、結果的によし!Aちゃんにお別れできなかったけどな。仕方ない。

 

今日もステーキとワインだ。至って静か。ドミはフランス人でいっぱいになったが、彼らは食堂を利用しなかったようだ。22時過ぎに大挙して出て行ったから、夜の街に繰り出したのかもしれない。お高いものだと思うけど、こちらが寝ていると分かると声を潜め、声が大きくなれば「しーっ」と誰かが注意していたので、基本的には常識もあってイイ奴らなのだろう。早朝に帰って来て寝るときはちょっとうるさかったけどねww

 

さて、明日はエルチャルテン。パタゴニアのもう一つのハイライト。そして過酷な行脚が待っている。

 

もしも今回で旅が終わるってんなら、こいつが本当に最後のクライマックスだ……

 

そして街全体でネットが遅いらしいので、更新は次の街まで持ち越しだろうなぁ。

 

 

輝く自然が、我を呼ぶ!