新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第三百二十九話 モーター・A・ダイアリー / 最果ての生きサマー

出立161~62日目(通算411~12日目) アルゼンチン8~9日目 ウシュアイア1~2日目

  

早朝に乗り込んだ飛行機は、当然のようにうつらうつらとしていたが、隣に乗った小学校低学年くらいの女の子とそのお母さんが、「出発するから起きて」とか「スナック配られるから起きて」と、親切にしてくれる。ニコニコと話しかけてくれる女の子が特にかわいい。言ってることわかんないけど。

 

バスだとえらい時間かかるであろう距離も、飛行機なら3時間半とあっという間だ。アルゼンチンの物価の高騰具合のヤバさを考えれば、飛行機を使うのも手だろう。

 

f:id:haruki0091:20171214065438j:plainお、ついに見えてきたぞ!さすがに山々は雪に覆われてますな。

 

さて、そういうわけでコーラで目を覚ましつつ、目標のウシュアイアへ早朝に到着。

3kmも行かないところにホテルを取ったので、歩いて向かう。件の女の子は最後まで笑顔でお別れをした。

 

チェックインには時間があったので荷物を預けて取りあえずの充電をし、街へ出てみることにした。ホテルからは地味に距離があるのが難点だ。

 

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おお、山々も見える。これが最南端の景色か。

ウシュアイアは南極圏まで1250kmに位置する、南極に最も近い「世界最南端の都市」である。

1520年に大西洋側を南下していたマゼランが、崖の上に先住民のものと思われる火を見つけ、「ティエラ・デル・フエゴ=火の大地」と名付けた。ウシュアイアのあるこの大きな島は、そこから「フエゴ島」と名付けられている。これが西洋に知られた最初の出来事だ。

その後、19世紀前半には宣教師たちが、後半にはゴールドラッシュに伴って多くの人口が流入した。20世紀前半には流刑地として、多くの囚人たちが送り込まれ、街づくりや鉄道建設作業を行った過去もある様だ。

 

残り日数少ないし、行かないことも考えたのだが、ブログタイトル的に行かないわけにはいかない。

 

海抜は低くても南極が目の前なので、当然寒い。ブエノスアイレスは半袖でも暑かったのに。風が強いときなんて最悪だ。

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そういう時は渡り鳥達もこんなありさま。意外に近づいても大丈夫。

 

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こちらはセント・クリストファー号。ただの廃船らしいが、モニュメント的に残してるのだとか。利用してるのは鳥くらいのもんだろう。

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町中から見える景色がやはり独特。何となく伝わる、最南端感。

 

しかしこの日は日曜日で、どこもお休みだらけ!くそ!

ちなみにウシュアイアはフリーポートのため、免税店がたくさんあるらしい。だからと言って何か安いのか不明。

 

と思っていたが、夕飯の買い物に寄ったスーパーは思ったより全然安い。ホテル代に比べて、他の都市くらいの値段に収まっている。これならいける!

 

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宿の近くの写真。晴れてきたが、何となく曇っているほうが最果て感があるなぁ、と勝手なことを思う。

 

寝不足のため、諸々のツアーは明日に回して、今日は夕飯にしよう。

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ということで焼いたステーキとワイン。もうこの国入ってからこればっかだな。でもステーキは今までで一番うまかった!いい部位だったんだろう。

なんせスペイン語だから、どこかいまいちよくわからないのだよ、買うとき。

 

ホテルの雰囲気が妙に良く、見知らぬ人がライターを貸してくれたり、ワインオープナーを貸してくれたり、調理中に「ボナペティ?」と言ってきたりした。「Yes!」と答えたが、意味わからないから近くのアメリカ人にこそっと聞いたが、それでもよくわからなかった。腹減ってて、食欲がどうとか……もういいや。ともかく、最果ての地では心が温かくなるんだろう。

 

ちなみに、南極に近いからなのか、全然日が沈まない。22時過ぎても外が明るい。練る頃には一応暗くなったかな、と思ったが、翌朝朝日で目を覚まして時計を見ても4時。時間感覚狂うわ!

 

朝食は結構充実していた。さて、携帯も充電して街へツアーに行く。前日に午後からのもあることを確認していたので、ゆったりと出発したわけだ。

ここウシュアイアでは、街にそれほどみるものがなく、郊外に国立公園や氷河なんかもある。

当初は国立公園をのんびり散歩するか、と思っていたのだが、最南端の動物を見に行った方がいいだろう、色々と、ということで、ビーグル街道クルーズに予定を変更だ。

港に行けばツアーデスクがいくつもあり、本当に様々なプランがある。

ガラパゴスのリベンジ、今度こそペンギンを見ようと、そのオプショナルツアーを探していた。しかし風が強いため、小さい船は出ないかも&酔ったら嫌なので、お手頃な大型船をチョイス。それでも1,720ペソ。た、高い!しかしガラパゴスのダイビングツアーとかと大体一緒かちょっと安いと考えれば、問題ない。

ペンギンありだと陸路を行って小型船に乗り換える、午前からのツアーもあったので、お好みに合わせて、といったところだろう。

 

さて、後顧の憂いも断ったところで市内の見たかったものを見に行こう。

 

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「Museo del Fin del Mundo」すなわち「世界の果て博物館」である。もう名前からして行かねばなるまい!

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先住民族や発見~今に至る歴史や文化を紹介。

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更に鳥類に対するこだわりがすごく、剥製がアホみたいにある。画像は、この後見に行く辺りにいるの。他にもアンデスコンドルとかフクロウとかもいたが、これ本当にこの辺にいるんですかね。

 

7年前の歩き方では30ペソになっていたが、なんと無料。高騰し続けるパタゴニア地方で、まさかの無償化に衝撃ですわ。ここから「世界最南端スタンプ」を押した手紙を出すこともできるらしい。出す相手いないけどね。じき帰るし。そしてこのスタンプはパスポートにも押してもらえる。何か南米入ってからスタンプブックみたいになってきたな、パスポート。

 

ちなみにこの博物館、もう1つ建物があって、そこは行政機関の歴史みたいな感じであまり面白くなかった。っていうかスペイン語しかなかった。

 

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道の途中でシティツアーで使うっぽい機関車型バスを発見。

市内には見学できる元監獄もあり、そのモチーフは所々で見かけることがある。だるくていかなかったが。

そして「世界の果て号」という機関車も走っているらしい。当然、お高いものだろう。 

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セント・クリストファー号の前でお手製サンドイッチのランチ。そうはいってもレストランは高いので、こうなるわけだが、風が激強い。気温はそこまでなのにね!寒いわ!

つっても夏でこれだから、冬は……考えたくないなぁ。 

 

装備に一抹の不安を覚えた私は宿に戻って強化し、再出発。この際にうっかりチケットを置いてきてしまったため、余計な距離を歩いて時間ギリギリ&ヘトヘト。あまつさえ何故か犬に吠えまくられる特典付き。テンション激落ち君なんですけど。

 

私が到着直後に船は出港。

ビーグル水道はこのフエゴ島と、ナバリノ島、オステ島を隔てる海峡であり、太平洋と大西洋を繋ぐ水路であり、アルゼンチンとチリの国境でもある。チャールズ・ダーウィンの乗っていた船の名を取った様だ。

ここにはいくつも岩礁や小島があり、そこに生息する動物を見に行く、というのが、このツアーの概要だ。

この大型船は売店付きで、大型なので早い。小型をグングン抜いていく。しかし他のツアーでは食べ物飲み物付き(ペンギンは行かない)とかもあったので、悩ましい。時間長かったため、終盤お腹空いてきて、こっちにも付けてくれよ!とか思ったりした。

 

いかん、愚痴は置いといて、早速海鳥だらけの「Isla de Los Pajaros」が見えてきたぞ!

 

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って思ったよりいるー!!

主に5種の「Cormoranes(ウミウ)」の繁殖地になっているというのだが、どれがどれやら、よくわからないくらい入り乱れている。世界の果て博物館で見た剥製も、これらのもの。ちょっとペンギンぽい奴もいる。

 

なお、船は1階と2階、それぞれ外に出られるデッキがあるが、人数もそこそこなので頑張らなければ見られない。しかしまぁ、右側と左側、それぞれ寄せてくれるので、「全然見られなかった」ってことはなさそうだ。

そして大きさ的に、どうしても小型船の方が近づけるようだ。こればっかりは仕方ない。

 

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遠くウシュアイアの街が見える。

 

更にしばらく行くと、今度は「Isla de Los Loos」に。「Lobos」がすなわちアシカ―正確に言うと「オタリア」を表している。

 

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ああ、こんな感じです。

南米大陸にしかいない(&パタゴニアに集中)アシカ科オタリアオタリアという一属一種の動物で、オス1頭にメス10頭ほどでハーレムを築くらしい。アシカやオットセイと何が違うねんって感じだが。足が正位置なので、歩くの上手。そしてみたらわかると思うが、左のめっちゃデカいのがオス。こいつは確かに「シーライオン」の二つ名が納得できる感じですな。

 

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別の所に別のハーレム。ぱっと見では子どもはわからない。ガラパゴスでアシカは散々見たので懐かしい感じもしたが、別の動物なんだね、わからんけど。

 

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そのすぐ近くには「Faro les Eclaireurs」。太陽エネルギーで発電している灯台で、ウシュアイアのシンボル的にお土産でも使われるモチーフだ。映画「ブエノスアイレス」にも登場したとか。その映画知らん。「世界最南端スタンプ」の絵柄もこれだ。

 

ここまではビーグル水道クルーズの基本のため近いが、ここからペンギンの生息地は1時間半ほどかかる。偶に外に出つつ、寒いので基本中。寝たりして過ごす。

途中でチリ側の「Puerto Williams」という街が見えて来る。ウシュアイアより南にあるため、厳密にはこちらが最南端なのだが、ともに主張は譲っていないようだ。

 

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そしてついにやって来たペンギン島。期待高まる中、船は岸に…突っ込んだっ!?

そ、そうか、上陸もできるようになってんのね。ちょっと驚いたが、出遅れて横側だった私の位置、実はスゲーいい場所だった様だ。

 

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ペンギンめっちゃ近くで見られる!ツアー申込時「m(メーター)レベルの近さで見られる」と言われていたが、確かにそうだ!

種類的にはマゼランペンギン。体長70cmくらいで、海岸の砂浜に穴を掘り、群れで暮らしているらしい。とにかくよちよちかわいい。

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泳ぐ姿も見られる。頭を出している間はアヒル的なゆっくり差だが、潜るとマジで速い。ああ、こいつら鳥だわって感じをガンガン出して、さっと陸に上がった瞬間よちよち。かわいい。考えてみれば、当たり前だが野生のペンギン初めて見たわ。

 

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接近。日が出てきた。昆布齧ったり、こちらに興味津々だったりでもう可愛くて大興奮。うむ、申し込むまでは金額に悩んだが、これは……来てよかったな!

 

船は無情にも出発。手を振ってお別れする。ありがとう、ペンギン!最終盤に来てここまでテンション上がるとは思わなかったぜ!

 

帰りは「Isla Gable」の反対側を通っていくのだが、その中で面白い状態の木を発見。

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風が強すぎてこうなっちゃったんだろうな。

 

こうして15時半スタートのツアーは21時半過ぎに港に戻る。こう書くと、ホテルから離れている故、帰るのが心配になるが、前述の通り、曇っていてもまだ明るく、小学生が外で遊んでいたりする。

宿に戻って夕食の準備にかかろうとしたら、キッチンは大渋滞。ううむ、どうもみんな同じ状況の様だが、外明るいから訳わからなくなってるんじゃなかろうか。当然、今日もステーキだ。

 

さて、明日は再び飛行機で移動。時間ないのと、チリ入ると手続き面倒なのと、バスとホテル合わせたら結局飛行機代くらい行きそうだからである。足元がぐらつくときにはもう、飛べ!飛べ!飛べ!飛べ!

 

きっと最南端のここ以降は安くなるでしょう!

 

あの頃の僕は、この後に待ち受ける過酷な運命を、想像すらしていなかった。

 

 

輝く自然が、我を呼ぶ!