第三百二十七話 セブン・P / 粋よ!落ちよ!
出立156~57日目(通算406~7日目) パラグアイ8~9日目 イグアス居住区4~5日目 ブラジル1日目 フォスドイグアス1日目
5時前に目覚ましが鳴り、ダラダラと準備する。5時半過ぎに宿を出て、来るときにバスを降りたところまで出る。
本日はイグアスの滝のブラジル側へ向かう。
当初はアルゼンチン側に荷物ごと移動する予定だったが、園田さんから「ブラジル側の方が全体見られるし、安い」と言われて、軽装で出発。
なお、本来はビザが必要なブラジルだが、イグアスの滝をちらっと見て帰ってくるだけならうるさく言わない、という感じの様だ。ビザ代高いからねぇ。
そんなわけでローカルバスを拾って(10,000グアラニー)、「シウダ・デル・エステ」の街までやって来た私。
今度はブラジル側、フォスド・イグアスへ向かうバスを探すわけだが、ここで致命的ミス!
ブラジル側の通貨・レアルに両替しないままバスに乗ってしまったのだ。まぁ、何とかなるしょ!今夜は焼肉っしょ!まさかマスターがマスタークだったなんて……知ってた。
さて、エステの街のセントロ近くにあるバス停で降りたら、両替後、大通りまで出てバスを拾うわけだ。このバスは9,000グアラニーか5.25レアル。まぁこの時点で気付けって感じだが、距離的にはわずかなこの区間も、国境を超えるのに混み合っているのか、小1時間かかった。
さらに近距離バスターミナルでバスを降り、ここからはレアルが必要。仕方ないので「グアラニーしかないんだけど」と窓口のおっさんに行ったら、多めに払うことで何とかしてくれた。多めっつっても数十円だからね。正式には3.5レアル。
ここから120番のバスでイグアスの滝を目指す。値段の割にここも時間が掛かる。距離あるわけだが。そしてめっちゃ混む。出発時点で始発なのだが混んでいるし、どんどん乗り込んでくるしでもう大変。
そして気付く。ブラジル美人多いな、おい。
いや、イグアスの辺だけしか見ていないので、確かなことは言えないが、何となくリオのカーニバルのイメージで褐色の人が多いのかと思っていたが、メスチソ系というか、肌が白い加えて背の高い人が多い。ふくよかすぎる人も割合的には減った気がする。うーむ、経済的な豊かさが体型に影響する理論もあることだし、有り得るのだが、しかしイメージというのは当てにならんな。
とにかく美人が多いのはいいことだ!
さて、空港前を通って何やかんや国立公園前に到着。10時ちょっと前か。最初のバスに乗ったのが6時前だから、えらい掛かったな。
ブラジル側のイグアスの滝の入場料は63.3レアル。グアラニー払いもできて、122,600グアラニーだったかな。つまり大体2,500円くらい。なお、おつりはレアルだったので、実質両替完了。
ここから2階建ての大型バスに乗って、遊歩道まで向かう。風が気持ちいい……いや、ちょっと強いかな!
途中2か所停車するが、各種あるツアー参加者が降りるためのものらしい。
さて、到着までにざっとイグアスの滝について解説しよう。
全長4km、落差80mの間に大小約300の滝が段を形成して連なる、世界最大の大瀑布だ。
1億2000万年前には既に存在したとされ、先住民族の間では聖地として崇められていた。
16世紀中ごろ、冒険家アルヴァール・ニヌス卿が偶然に発見し、西洋に知られるところとなった。1986年にユネスコの世界遺産に登録され、ブラジル側17万ヘクタール、アルゼンチン側22万5000ヘクタールが国立公園となっている。昔はパラグアイの領土だったのかもなぁ。
そうこうしている間に遊歩道前へ。ここから歩いて進むわけだ。
でいきなり来たぞ全景!で、デカい。思わず笑ってしまうサイズ感だ!虹がナチュラルにかかっていて、これだけ離れていても時たま飛沫が飛んでくる。さすが世界最大。
よく見るとボートが確認できるだろう。滝の中をびしょびしょになりながら進むラフティングツアーもある様だ。楽しそうだなぁ。旅の序盤だったら一人でも行っただろうが。
でもこう、びしょびしょの美女っていいよね、語感的にも。
遊歩道は木々に覆われているが、時折ビューポイント的に滝がのぞく。これがすごい。
これは聖地にするよなぁ。段々迫力のある方に近づいていくわけだが、当然飛沫が増えてくる。
これは……近づいても向こう側見えねぇんじゃねぇか?
途中でハナグマに遭遇。「エサを与えないで」という注意書きが多く、噛まれたっぽいケガの写真も載っている。実際、食べ物入りの袋を持つ人間にはすり寄ったり袋に手を伸ばしたりするので、結構トラブルもあったんだろうなぁ。
かわいいからって油断しちゃダメだぞ!
迫力ではアルゼンチン側に劣るとされるブラジル側だが、展望橋で滝の中央部分を見に行ける。しかしここがえらく濡れるので、バスターミナルをはじめ、ここでもカッパが売っているほど。当然、私は持参しているので買わない。勝利の法則は決まっているのだよ!
これが見かけ以上に激しかった!直接降り注いでるわけではない、あくまで飛沫なのだが、あっという間に全身ずぶ濡れ。隙間すらある私のiPhoneちゃんには致命傷になりそうで、一撃必殺で写真を撮らなければ終わりそう!まぁまぁ、びしょびしょの美女もいるけどな!
そうして撮ったのがこんな感じ。この向こうにアルゼンチン側のハイライト「悪魔の喉笛」があるはずだが、もう全然見えない。
確か今の時期は雨期で水かさがあり、大迫力のハイシーズンのはずだが、そうじゃなければ向こうが見えるんだろうか。
端から戻ってエレベーターか階段で上に登ると、また違う景色が見えるとか。
うむ。こうなっていたのか。左奥に悪魔の喉笛があるらしい。アルゼンチン側からならこれが触れられるほど間近で見られるというから、迫力は段違いだろう。全体が見られるブラジル側と、迫力のアルゼンチン側。どちらを見てもいいかもしれない。私はもういいです。いうても滝なんでね。なんかこう、すごいんだけどすることないんだよな。ツアーも楽しそうだけど、絶対携帯死ぬし。
ここで持って来ていたお弁当を食べる。これがまたおにぎりとから揚げと卵焼きに漬物ってんだからもう訳が分からない。
お土産物屋さんもあるので覗いていくが、ハナグマとか鳥とかがデザイン。ま、滝を落とし込んだバッグも少しあったが、確かにどう調理していいか難しい観光資源だよね。
バスでもと来た入り口まで戻る。大体2時間もあれば見て回れるだろう。
なお、時間があれば入り口ら辺にバードパークみたいなのがあるので、これを見るのもよさそうだ。なんか眠いしもういいかなーってなっていかなかったけど。行く予定だったんだけどなー。ここら辺一帯の生態系も結構面白い様なので、興味があればぜひ。
5年前の情報で15ドルだから、今はもう少し上がっているかも。
さて、12時ごろ出たバスは順調に逆に道をたどり、シウダ・デル・エステの街に戻る。
来た時とは逆の、向かい側の道路から出るのかなーと思って探していたら、地元のおっちゃんが助け舟を出してくれ、「あのバスだ」と教えてくれた。パラグアイ人、結構いい奴が多いな。
このバスだけ妙にわかりづらかったが、どうやら○○kmごとに停車するバスが違うらしい。つまりペンション園田に戻るには「km41」を探せばOKだ。自分の乗った奴は30とセットだった。
さて、途中で客拾ったりしながらバスは順調に戻り、園田に戻ったのは14時過ぎ。うーむ、早すぎたか。夕方にはバスがなくなると聞いていてビビっていたが、確かにバードパーク見てくる余裕はあっただろう。眠くてヤだったけど。
園田の横の売店、経営は一緒だが、ここのエンパナーダもうまいというので購入。
2,500グアラニーだったか。チーズとかひき肉が入っていて、確かにうまい。っていうか、やっぱ国ごとにちょっと中身違うんだな、エンパナーダ。
ついでに瓶コーラとプリンを買っておやつにしたとか。いやー、安いからいろいろ買っちゃうww
あとは有り余る時間を使ってネコや犬と戯れる。
子猫が指舐めてくるところとかかわいくて悶絶するわ。
この日は前日の夜の残りを夕飯に。NHKも見られるため、羽生さんスゲーなーとか言いながら食べる。1日経ってもうまいな。
翌日は移動日。
既にブエノスアイレス息のチケットは園田さんにお願いしていた。移動場所が減ったので気が楽だ。納豆を買ってきて朝食にし、荷物をまとめる、バスは午後だからゆとりがある。
昼飯どうしようかなーがてらチケットどうなったかなーと奥さんに確認しに行ったら「アレ?今日行くんだっけ?」
……ん?
アレ、おかしいぞこれ。旦那さんからは朝LINEで「今日の見送りできないけど~」みたいなメッセージ来てるんだけど?混乱する私だったが、奥さんが慌てて手配。宿の前まで迎えに来るのは間に合わなかったが、30km地点まで出ればOKということで、慌てて送り出される。これがまた別のトラブルの呼ぶのであったww
ローカルバスはいつ来るかわからない、ということで、1時間前に宿を出たが、間違いに気づいたのは乗ったころだった。
「……よく考えたら、さっき払った金額、少ない!」い、いかん!世話になっておいて恩を仇で返している!しかし戻っている時間があるかもわからない!ど、どうしよう!?
これは……持ち越そう!
テンパっていた私は「30km地点!」と伝えるところを「40km地点」と言ってしまい、「それならお前、すぐそこだけど」と車内の笑いを生み出してしまった。恥ずかしい。
しかしめっちゃいろいろ質問してくるスタッフら。スペイン語だからまたわかるようなわからんような、ってところだ。
降り立つと「ガソリンスタンドの前辺りに居ればいい」と教えてくれ、バックパックも背負わせてくれる。イイ奴だ!
奥さんも確かガソスタがどうとか言ってたな……。
どうやらバスのスタッフらしい人が串焼き屋の屋台で食っていたらしく、私を呼んでチケットをチェックし、ガソスタがどうという話になったのだが、串やのおっちゃんが、「暑いからここに居ろ」と屋根の下の席に座らせてくれた。居座るつもりがなかった&弁当を園田さんとこで何となく買っていたので(早く出て来るならいらなかったな)、串をその前に断っていたのだが、快く迎えてくれた上、質問される。
どうもパラグアイ人、日本人に興味津々だ。まぁ居住区あるくらいだからな。
客が来るたびに質問され、さらに通りかかったバスから手を振られ(お前に振ってるぞ、とおっちゃんが教えてくれた)、ちょっとしたスター気分。
しかし、待てどバスは来ない。そのうち雨まで降りだしてきた!おっちゃんは軽く店仕舞いに準備。いや、さすがに悪いからと1本購入。
5,000グアラニー。炭火焼の塩味で、普通にうまい。弁当なければ数本いってたね。先端はキャッサバで、実は数日前に園田さんの横でタジャリン食った時も付いていたので、パラグアイの定番付け合わせである様だ。
ここの客もこれも串焼きもバクバク食っていたが、串も投げ捨てていたりしたし、おっちゃんはどうやって計算していたのか、謎の残る食い散らかし方であった。
そうこうしている内に雨は止み、おっちゃんは店仕舞い。
私はガソスタ前で待つが、予定時刻を1時間過ぎてもまだ来ない。少しイライラしたが、いや、冷静に考えると、これまで妙に時間通りだっただけで、インドとかあの辺の遅れっぷり考えたら逆にまだまだじゃね?と気付いて思いとどまる。でも17時まで待ってこなかったら戻ろう。支払い額不足してたし。
とか思っていたら16時前に到着。妙に冷房の効いた車内。セーター持っていて正解だったな。
車内は結構快適。コンセントもモニターもないけどね。
腹も特に減らなかったので弁当手つかずのまま、夕飯に回して18時半過ぎにいただく。
とんかつと厚揚げっぽい豆腐系のおかず。なんかアレ、日本帰ってから食いたいものがどんどん減っている。
バスはやがて国境へ。そういや国跨ぐんだったな。現地人はIDを、私はパスポートを持っていかれる。アジアのどっかもこの方式だったな。簡単だな―パラグアイ。でも確か、アルゼンチンって大変だったよなぁ。と思っていたら、乗務員が何か配り出した。
夕飯出んのかよ!ってかこのタイミングで?いや、確かに待ち時間だけども!
うーむ、日本人に囲まれた緩い生活をしていたせいで諸々の確認を怠ていたからいろいろ予想外だ。つ~か何時に着くんだろう、このバス。
当然さっき食べたのでお腹いっぱいだが、「おばあちゃんが言っていた。男がやっちゃいけないことが二つある。食べ物を粗末にすることと、女の子を泣かすことだ」
畜生、食ったらー!とすっかり腹いっぱいになって片づけられ、コーラを飲み干した辺りでパスポートが戻ってくる。
国境越え―。混み合っていてなかなか進まない。
そしてアルゼンチン側のイミグレはやっぱり荷物を全部持って向かうことに。妙に時間が掛かるのと、スラスラ流れていくラインに並べないのが謎。あっちはアルゼンチン人用なんだろうか。
何やかんや1時間くらいかかったか。もうあとは寝るだけだが、水を配ってくれる親切なバス。おい、結構いいバスだったんじゃないか?400,000グアラニーだったな。うん、高いけど、アルゼンチン国内分考えれば普通か?
さて、翌日は「南米のパリ」であり「ケチャップ強盗っていうか強盗のメッカ」である。まったり気分からの脱却が必要だ!なんか色々思わされる展開だったが!ってか怖すぎる!
ま、実際もう宿なわけだが、この恐怖感が悲劇を呼び込むのだった……
光と闇の街が、我を呼ぶ!