新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第三百二十六話 セブン・P / アナザー・ジャパン

出立154~55日目(通算404~5日目) パラグアイ6~7日目 イグアス居住区3~4日目

 

 

iPhoneちゃんが即シャットダウンするようになったけどアップデートしたら事なきを得たでござる(グアラニー語で『みなさんこんにちは』の意味)。

 

いやー、もうヤバいんだよなー。あとひと月、何とかもってほしい所だ。

 

さて、この日は前の日より少し早く農協へ。

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こんな田舎道が広がるのだが、ここは石畳がある分、車も通りやすい。赤土丸出しの所もあるし。

お目当ては、納豆。一人では見つからなかったが、お店の人に聞いたら引っ張り出してくれた。早速宿に戻り、といで浸けておいたお米を焚く。ガラパゴスのお米ともこれでおさらばだ。

 

f:id:haruki0091:20171205053117j:plain丼飯と納豆。アレですよね、皆さんからしたらわびしい食事的に映るでしょうけど、青い鳥は実は身近にいた的な、普段当たり前だと思っているものも手が届かなくなると価値のあるものになるんですよ。自分の配偶者や家族を大切にしてください。

 

1個5,400グアラニーの納豆は、完全に納豆だった。スゲーな、おい。

 

この日は本当に予定がなく、あとはダラダラとするしかない。もうお昼寝とかもしちゃう。誰かが言っていたが、この宿はまるで田舎のおばあちゃん問いに遊びに来たような感覚になる。おばあちゃん居ないおばあちゃん家だから、だれっ放しだし。

 

お昼になったので、土日の昼だけやっている、別のラーメン屋に足を延ばしてみる。

ラーメン竹下の店内も日本の様。

昨日の祭りについてあれこれ話しているのを聞くと、完全に地元の飲み屋に来たような感覚になる。昼からビール飲んでるし。

 

で、ここで餃子としょうゆラーメンを注文。

 

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まずは餃子、8,000グアラニー。これがかなりうまい。

「ここの餃子は日本もってってもかなりレベル高い方だと思うんだよ!安いし」とおっちゃんたちの声も聞こえてきたが、160円って日高屋とかのレベルだが、それには余裕で勝っているだろう。皮のもちもちとパリパリ加減と言い、具のジューシーさと言い、文句ない。あと5皿はいける。

 

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そしてこちらはラーメン、20,000グアラニー。先日の所よりも王道って感じのビジュアルだが、味も王道。いい具合にこってりもさっぱりもしているし、スゲー旨い。あと1杯いけたな。大盛りにすればよかった。

 

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そしてついでにこちらの小豆バーも購入。3,000グアラニー。手作りとあったが、それでも固いのは一緒なんだな。小豆のせいなのか。

物価差し引いても海外で高くなりがちな日本食。それがこのクオリティで620円くらいとは、いやはや恐れ入った。

 

午後も引き続きダラダラしていたが、18時過ぎに奥さんが。

実はペンション園田は「ウェルカムおにぎり」と称して、おにぎりと味噌汁をご馳走してくれるのだが、ラーメン屋とお祭りで先延ばしになっていた。それを今日持って来てくれたのだ。

「ちょっとブラジルまで息子迎えに行ってくるから出掛けるわね、ごめんね」と言われ、思わず吹き出してしまった。えっ、何その「ちょっと隣町まで行ってくる」的なブラジルの使い方は!?さすが国境近く。群馬県民よりブラジルが身近だ。f:id:haruki0091:20171206042148j:plain

ごめんねに含まれていたのか、私が一人だったからなのか、おにぎりではなくご飯と味噌汁と肉じゃがと漬物だった。って完全に日本食じゃねぇかっ!?スゲーラッキー。

うまい具合に炊けてもパサつく南米米と違い、しっかりと粘つく日本風の米。スゲー久しぶりだ。なんだこれ。あとで聞いたら日本の昨年の何がしかの賞を取った米だという。

うーむ、予想以上に日本を堪能しているな、私。

 

量が多かったので翌朝にも食べ、のんびりしていると、園田さんが。

「いやー忙しくて構えなくて悪かったねー。良ければ車出すよ」というお言葉。

そう、なんかここに泊まった人のブログとかではどこかに連れて行ってもらった的な話があったのだが、1人だからかなーとか思っていたのだ。お祭りはあったし、JICAの人らも来ていたし、ついでに別途来た観光客の案内もしていたそうな。勤勉だなぁ、園田さん。

 

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車に乗って出かけたのは大豆畑。パラグアイでは年間1200万トンくらい生産しているらしく、日本の約3倍。日本からの移民が醤油・みそ等を作るために始めたのが、今では国単位になったとか。

ちなみになじみのない赤土だが、パッと見の印象に反してかなり肥沃な土地らしく、ガンガン育つらしい。鉄分と玄武岩で構成されているとかだったかな。

畑の向こうには湖が広がっている。入り組んだ地形にあるので全容は見えないが、琵琶湖と同じくらいのサイズがあるんだとか。

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ここから園田さんが館長を務める移民資料館へ。もとはJICAの施設として別の所にあったのを、園田さんがここに持ってきたとか。

 

さて、ここでイグアス居住区の歴史についてお話を聞いた。

 

パラグアイは1537年にスペインの植民地とされたが、元はグアラニー族の暮らす国であり、今も国民の大半がそうで、2%くらいをメスチソの人々が占める。1811年に独立。もとはもう少し大きな国だった様だが、1864年に勃発した三国戦争により、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイに領土の多くと、国民の60%を失う結果となった。

当時のパラグアイの国策は戦時中の日本と同じ考え方だったようで、「勝利か死か」という姿勢で戦争に突入していったのだ。

 

この戦争によって、日本の1.1倍程度の国土にわずか20万人の国民となったパラグアイだったが、戦後日本がそうであったように、国を建て直すには人の力がいる。そこで始めたのが、積極的に移民を受け入れることだった。

これによってパラグアイ各地にオランダやロシア、ドイツといった様々な国の居住区が生まれ、日本もそれに倣う。おりしも太平洋戦争の前年から受け入れが始まった移民だったが、パラグアイが連合国側になったことで移民の受け入れはストップ。ただ、日本移民の勤勉さや社会への貢献から、この間も差別などはなかったようだ。

 

そして戦後。焼け出された日本人たちは職にあぶれ、特に北国等の厳しい環境にあった人々が、一年中作物の作成ができるこの地への移民を勧誘され、ここに南米への移民が大々的に開始される。10年間で8万人の移民の受け入れをパラグアイと協議していたのだが、日本はそれから数年で高度経済成長に突入し、国内でも人手が必要になった。こうして移民もその数を減らしていくことになったのだ。

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実際にはパラグアイも原生林を国が買い取っていた状況で、開墾が必要であり、そんなに簡単ではなかったようだが、もっとやばい状況の国もあり、「だまされた」ということで国を相手取った訴訟なんかも起きた。

北朝鮮への移民も確かあったように思うが、苦しい状況で「より良い楽園がある」と聞かされて旅立った人々は当時多かったのだろう。運よくパラグアイで成功した方も多いというが、それを分けたのは運だったのだろうか。

 

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実際移民が減ったことで、分譲予定だった土地を買い取って大規模な大豆農園にして一財産築いた人もいるのだからわからない。ちなみに、今年の初めに移民された方もいると聞く。たしかに、住みやすそうな土地であると思う。

 

「そういうわけだから、日本を建て直すには人手が必要。君も結婚して種をばらまきなさい」というありがたい言葉を賜った。何て説得力があるんだ!

初日にはのほほんとされた方だなーと思っていたが、ここで話をされる時の園田さんの目には力があった。昨年は眞子さんも訪れたというが、大学教授とかいろんな人が来るらしい。タイのパーイにいたケンさんもそうだが、何か人を引き付ける魅力を持った人というのはいるもので、海外に来てまで日本人に会いに行くというのは、実はすごく意味のあることなのだと思う。

ま、もっとあけすけな話も聞いたがww、自分の金で自分勝手にバックパッカーをやっている人間だが、その世界を見てきたことは何がしか役に立たせるべき責任があるという話には、考えさせられるところがある。そうだね、帰ったら就活しないとね。

 

腹も減ったしということで、宿に戻る。宿の隣はレストランで、パラグアイ飯が食べられるというのでお願いした。

 

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タジャリンだろうね。12,000グアラニー。チーズの様なこってり感があってうまい。

ここまで「なに日本食ばっか食ってんねん。そんな興味ない言うてたやん。日本食ならウチで見れんねん」と思ってた皆様、僕もそう思います。納豆のくだりでいろいろ書きましたけど、それ旅行中のお前も現状楽しめや、って言えますからね。違うんです。単純に地元飯食えるところわかんなかったんです。それくらい日本塗れの街。

 

さて、ペンション園田には初日にも書いたが犬がいる。

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4頭の秋田犬で、っていうか秋田犬ってこんなデカいっけ?ってくらいのサイズ。

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そして猫。

鼠が出るからともらってきたが、まだまだ小さいのでイマイチという。犬との体格差がやばい。

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この三毛猫が膝にのってくるのだが、撫でていると噛もうとするので、どうしたいのかわからない。そして猫が甘えていると犬も寄ってくるという状況で、動物好きにはたまらない。

 

伝え聞いたところによると、民宿小林も今は人がいない様で、例年より人が減っている様だ。昨年はブラジルワールドカップの期間中ビザ代掛からないからということでブラジル行く際に寄る人が多かったというが、それを差し引いても少ないらしい。どうしたバックパッカー!あんなにいっぱいいたのになんで俺今希少種やねん!

 

さて、もう1つのサービスがここにはある。

お願いすれば、「パラグアイ式焼肉」が5ドルほどでお願いできるのだ。まぁ客の増える見込みもなさそうなので、お願いする。

 

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こういう窯があるのがすごい。ここで牛の塊とチョリソを焼き、別途サラダとおにぎりを奥さんが提供してくれる。その圧倒的ボリュームたるや、5ドルとは思えない。

実際かなりのサービス価格で、どちらかといえば赤字。それでも「楽しんでほしい」という園田さんのホスピタリティの現れだ。おい皆、早く来てくれ!

あ、犬と猫は大丈夫です!あげられないので!っていうかかわいいな、お前ら。

 

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この肉が抜群にうまい。赤身の残る状態で、塩とレモンを絞ったのみなのに、滅茶苦茶うまい。蒸し焼きにできる窯の構造もあるのだとか。うう、幸せ……。夢中で食ったので写真は以上ですww

 

ついでに超簡単に隅に火をつける方法も教えてもらったので、今後BBQでもやる機会があったら、これ見よがしに披露して名声を得ようかな。

 

ワインも1本空けて腹パンパン。苦しいくらいだが、それでも余ったので、それは明日に回す。

 

さて、翌日は朝早くから遠出。個人的には当初予定していた最後の山場となる観光だ。

うーん、こうやって終わっていくんだねぇ。

 

残り20日を切った冒険の旅、どうなる第327話!?

 

輝く自然が、我を呼ぶ!