新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第三百十四話 Pのボレロ / だから行くのだ レインボーマウンテン

出立131日目(通算381日目)ペルー27日目 クスコ7日目

 

 

早朝3時に起きた私は、支度を整えて宿を出る。

前日に言っておいたからだろうか、スナックとジュースを朝食代わりに持たせてくれた。マジいい宿ww

 

言われた時間から10分ほど遅れたが、すぐに気づき、車に乗せられた。坂道を遠回りして、移動用のバンへ。わかっていたが、他の参加者を集める関係でここからが長い。眠るまではできないものの、目を閉じて待つ。何だかんだで街を出たのは1時間後くらい。おそらく、高い参加費の人ほど後回しなのだろうな。

 

ここから2時間ちょっと移動。朝食の会場へ。

ここではパンとパンケーキ(バナナon)が振る舞われる。子犬と中型犬がいて、これと戯れたり、2匹が戯れるのを見たりが主な娯楽だった。ここに大きな地図があるため、コースの説明がある。更に1時間半ほど行ってから、ハイキング開始だ。

「レインボーマウンテン」と呼ばれるスポットに、2時間半かけて行き、30分ほど見て、帰って来ると、こういうわけだ。

 

ここからは急にガタガタの舗装がイマイチの道になる。ついでに山道なので、まぁまぁグルグルだ。しかし、さほど酔う気配もなかった。

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車窓から。斜面がすでにおもしろい。アルパカが普通にいる! 

 

スタート地点には多くのバンが止まっており、飲み物や食べ物を売る山の民たち(ケチュアかな?)が多くいる。ここでステッキとメンバーを見分けるジレ?が配られ、いよいよスタートだ。

出発ゲートまではみんな一緒に、それ以降は各々のペースで。

 

f:id:haruki0091:20171111114125j:plainなお、歩くのが苦手な人にはこんな感じで馬に乗っていくこともできる。片道65、往復90ソルだったかな。コロンビア人のふくよかな女性が乗馬。帰りのバンで昼食が控えているにもかかわらずお菓子を食べている姿を見ているため、大変に思うところがあるわけだが。

 

ツアー料金にエントランスフィーは含まれているところで申し込んだが、そうでない人は払って出発だ。ケチュア語で行こう!の意味の「ハク!チームインカス!」で出発。あ、我々のチーム名インカスっていう、インカ帝国の皇帝の名前です。

 

レインボーマウンテンへの登山道は、スタート地点ですでに4700m、ゴール地点は実に5000mの超高地になる。もう現時点で富士山より高いのだ。あーあ、富士山……。

出発前には高山病に効くアロマエッセンスを全員が使い、何かあればガイドが対応できるセットを有しているとか。大変頼もしい。しかし、頼ることはできない。

 

レインボーマウンテンは、その向こうにもう一か所、スポットがあり、「レッドバレー」と呼ばれるそこは、さらに25分歩いたところにある。これにも行きたいのだが、と伝えると、

「いい感じ出歩ければ行ける。じゃあ1:45で行って、見て帰ってくるんだ」

申し込み時には「レッドバレーも行けるか」確認して、申込用紙にもその旨書いてあったが、レストランでの説明の時には行く話はなかった。つまり、行けるもんなら行ってみろ状態だったわけだ。

上等じゃねぇか!ブラックホールが、吹き荒れるぜっ!

 

さて、危惧していた高山病や呼吸が苦しいという問題は、平地では感じられなかった。アレキパ経由で高地に順応させていたことが功を奏したのだろう。道はなだらかな上り坂に時折急斜面、平地というのが織り交ざっている。

標高は高いが、日が出ていると暖かく感じられ、青空の元のハイキングは大変に気持ちがいい。軽快に歩いていると、ドンドンチームメイトがいなくなり、つまり、あとは描写がいらないな。

 

f:id:haruki0091:20171111114232j:plainレインボーマウンテンがメインながら、途中の風景も楽しい。

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ケチュアたちは行って帰ってを繰り返している様で、すれ違う度に乗るか聞いてくる。これで商売成り立ってるんだろうなぁ。

平地にはジュースや食べ物を売る姿も見られた。

 

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いよいよレインボーマウンテンにご対面だ。これは振り返った様子。平地にも地味にレインボー感が見て取れる。

 

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はい出たー!

後にガイドが説明してくれたが、かつてこの辺りは海の底にあり、そこに成分ごとに堆積した層が出来ていた。それが地殻変動で隆起して、このような形になったようだ。

この山はぶつかったプレート同士の力が均衡していたためにきれいに見えるようになったのだとか。それにしてもすごいよね。何かの虫に寄生されたカタツムリを思い出す(お前だけだ)

 

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横から。大体90度倒れて隆起したことがわかるだろう。これ最初に見つけた時は、これが観光資源になると気づいてそこから道を整備したんだろうか……とか考えてしまう。

 

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当然チームメイトはいないので、他の人に撮ってもらった写真。杖がね、暇な平地ではダイレンロッドに見立てて振り回してましたからね。小学生かよっ!でもこれのおかげで結構助かったんじゃないかしら?暇つぶしもできたし。

 

さて、ここから更に下って登るレッドバレー。レインボーマウンテンの写真の右側の方に見えている奴だ。これに向かう。

 

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途中、氷河と思しき山が。さすが5000m級だ。というか、あっちの方が標高高いんだろうなぁ……何mあるんだろう……

 

ここまで来てしまえば、たいして苦労は変わらない。あっという間に到着。入り口で5ソルを支払って入場。

 

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おお!確かに赤い!

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先程のレインボーマウンテンの説明から察すると、これは鉄とかの影響だろうな。

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緑色の部分は、近寄ってみるにコケの様だ。これのおかげで火星っぽさが半減しているわけだが、それはそれで異世界感がすごい。またはテラフォーミング始まった火星。

 

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丘の下に降りているツアー客がいたので、真似して降りてみた。これはこれでいい景色。

しかし彼らは別のコースの様で、いつの間にか姿を消していた。時間的に30分は見たし、そろそろ戻らないとな、と思ったわけだが、斜面がワカチナを思い出させる砂加減で、まさかの今回一番の難所に!自業自得!

 

レインボーマウンテンに戻ると、ガイドらを発見。スペイン語の説明の後に、英語で山の成り立ちを教えてくれた。

ちなみに、山の正式名称は「ヴィニンクンカ」といい、ボリビアの首という意味になるとか。ここもインカトレイルの一部らしい。

 

ここからは下りだ。一人で参加したデンマークガールが話しかけてくれたので、彼女と少し話す。しかし若い娘がいると、みんなこぞって彼女に話しかけるよね。まぁ、アメリカオヤジとオーストラリアボーイくらいだったか。こういうところの積極性は見習うべきなのかもしれんが。

 

しかし歩くペースがずれて行き、結局一人になってしまった……。

 

レッドバレーから戻ってガイドの元に行った際、高山病的症状はないか聞かれ、その後に

「レッドバレー行った?」

「最高だった!」

「この展望台(写真を撮った、レインボー向かいの山ね。結構地味に高さある)は?」

「登った」

「マジで?」

レインボーマウンテンに到着した時点で、出発から1時間しか経ってなかったからね。

時計見る限り、全員2時間で到着はしていたことになる。

「お前ならインカトレッキング(クスコからマチュピチュまで、3泊4日で歩くやつ)2泊3日で行けるよ!」

というお褒めの言葉をいただいたわけだが、さっきのデンマークガールの一件からも、単に誰かと歩くことが出来なくなっているだけじゃないかな、いろんな意味で。

まぁ、これまでタクシー代をケチってきたことが功を奏したわけだが、なんか、ライフが削られている!

 

しかしそう思うと、今回の南米の旅は、マチュピチュやらのインカの聖地を巡るために体を整えていった、個人的インカトレイルだったんじゃないだろうか?

おお、なんか意味がある気がしてきたぞ!

 

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帰り道は同じコースだが、ガイドがしてくれた地層の話の後だと、先程見た景色も違って見える。

運転手と一緒になり、彼と拙いスペイン語で話す。さすがは慣れているだけあって、足取りが早い。マチュピチュの話になったが、彼はワイナピチュにも上ったことがあるらしい。いいなぁ。

 

等と言っていたら遠くで雷の音が。うっすらと先の方に雨降ってそうな雲が見えた。雲自体はレインボーマウンテンに着いた辺りから出ていて、気温は一気に下がっていたが、だいぶ悪化してきた様だ。

スペイン語の説明を聞いた面々が先を行っていたこともあり、彼らのために車を開けようと、運転手はグングン進む。私は帰りは少しのんびり行こうとペースを弱めていたが、これがいけなかった。

途中から何かが体に当たりだした。これは……小さい雹?などと思っていたら勢いが増す!痛ぇ!痛ぇっす!ハットで顔を隠していたが、よく見ると濡れだしていた。なんてこった!

慌ててカッパを出して着て、顔を守るためにサングラス。持ってきて良かった!と思っていたが、手だけはどうしようもなく、凍るように冷えながら歩く。

うーむ、流石5000m。全く予想だにできない天候だ!

 

途中で休憩を挟みつつ、何とか入り口まで。この辺まで来ると、ほとんど止んでいたが、来た道を振り換えれば、そちらにはまだ雲がある。デンマークガールたちは大丈夫だろうか。

 

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山の様子。カラーがすっかり白に変わっていた。

ひょっとするとこの辺りの神様が、「レインボー?ほな一色足したるわ~」と気を利かせてくれたんじゃないかと思うんだが、いやー気性が荒いねww

 

その後、全員無事に車に戻り、出発。

途中、通りかかったアルパカや羊の群れ。ケチュアの飼っているものだろう。

 

朝食の会場まで戻る道すがら、1人吐いた(やっぱ悪路だったんだな)が無事に戻り、ここで昼食。デンマークガールを中心に、話が回る。彼女は隣に座っていたが、寿司が好きだと言い、「でもうまく作れない」と言っていた。まぁ、どうせカリフォルニアロールだろうが、どのみち米の問題だろう。

 

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一応ビュッフェスタイルということだが、選べるもの全部のせてこれ。少ないよー!高いツアーならもうちょい豊富なのかしら。

奥から、鶏肉とトウモロコシ状のペースト、謎の肉。謎の肉は豚かと思っていたが、コロンビア女性が給仕に聞いてくれたおかげでアルパカと判明。何てこった!食べようと思ってはいたが、知らない間に食べていたのはちょっともったいなかったぜ!

味は脂肪がゼラチン質で豚っぽかった。ので、豚でいいです。

やっぱりクイもそうだが、なぜ牛・豚・鶏が広く世界中に広まっているのか、よく理解できた。

 

さて、ここからまた2時間ほど車に揺られ、解散。何だかんだコミュニケーション取れて楽しかった。一緒に登ったらもっと楽しかったかもしれないが、男は一人で行くものさ!

 

宿に戻ると日本人が増えていたが、もうちょっとコミュ能力使い切ったので、話しかけてきたコリアンボーイとだけ話していた。しかしどうも彼も、日本人たちも、翌朝に電車でマチュピチュに行くらしい。時間がないからというのが主な理由のようだ。今日のデンマークガールはトレッキングすると言っていたし、意外に多様なんだな。

 

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夕飯に向かおうと思ったら広場は異様な熱気で、たくさんの人らがモニターの前に集まり、ユニフォームや帽子、応援用のたすきや観戦時の食べ物を売っていた。

店に向かう時も楽器や歌を駆使して練り歩く若者や、それに応えてクラクションを鳴らすタクシー、デコレーションまでした車が走っている。

日本代表戦の日など比べ物にならないレベルだ。

 

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最初の3.5ソルの所で食べたが、ここでやっていたテレビも試合開始まで2時間ほどあるのにずっとサッカー関係のニュースばっかり。つーか昨日からそんな感じだったぞ?どんだけだよ。

どうもワールドカップ出場がかかった試合だったらしい。

戻ったら宿の人も観戦していたので、のぞかせてもらった。

 

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そしてクスコ最後の夜、屋上で一杯。広場はいつも以上に騒がしく、今日は観光客も肩身が狭い感じだ。スキー場の宿経営の日本人の人がいて、盛り上がりっぷりに「明日早いのに眠れそうにないよー」とか言いながら、試合開始のリアクションを動画におさめて去っていった。

花火も上がってえらい騒ぎだが、これ、負けたら明日街荒れてないだろうな、とか疑いつつ、眠りについた。

 

さて、明日はとうとうペルー最後の街だ。

 

輝く自然が、我を呼ぶ!