新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第三百四話 Pのボレロ / 夢の廃墟

出立114日目(通算364日目)ペルー10日目 リマ3日目

 

 

朝食は近場で買ったパンで済ませ、下調べもしたし、さっそく出掛けよう。

 

今日向かうのは「パチャカマック神殿」である。

 

地球の歩き方にも載っている場所だが、7年前の情報ゆえなのか、ものすごくふわっとした行き方しか載っていない。ページ割いてる割には適当過ぎる!

 

そこでネットの力をお借りして、アクセス方法を確認。無事に辿り着いたので、そこにも触れて行こう。

 

まずはメトロビア(路線バス)の駅「Benavides」を目指す。

私は歩いていける範囲にあったので徒歩だ。まぁ、帰りにこの後乗るバスが最寄りの通りを走ってるっぽいの見た時は衝撃だったが(見かけなかったんだけどね、行きは)。

ここから街の東を走る高速道路「Av.Panamericana」を目指していくので、その方向に走るコンビーで、車体に「Benavides」とあるものに乗り、「Puenta Benavides」まで乗っていく旨、伝える。

実際のバス停は「URP」で、そこそこ人は降りる。ここまでで1ソル。

ここからこの高速道路に、橋を渡る手前から降りていくと、「Lurin」と書かれた札を振り回すおっさんたちがいるので、そのバスに乗ればOK。

「Museo de Pachacamac」まで乗る旨を伝えよう。ちゃんと声をかけないと、私みたいに少し行き過ぎるぞ!忘れてんじゃねえぞコラ!

ちなみに、行きは3ソル、帰りは2ソルだったが、違いはバスの新しさのみ。コンビーみたいのもあったが、そっちの価格は不明。大体30分前後で着くんじゃないかしら。GPS見てた方が確実なので、Maps.meで要所要所にピンを打っておこうね。

 

さて、そんな訳でペルー人以外はそういえば誰もいなかった車内だが、降りてみれば観光バスでやって来た観光客や、中学生の集団がいた。ツアーは7年前の情報で35ドルだから、今はもっと高いだろうな。まぁ他のとこも行くんだろうが、個人で行くより異様に高いな。

 

入場料は15ソル。なんと日本語のパンフレットもあり、驚いて声を上げたら、お姉さんニコニコ。ちょいちょい日本贔屓な国、ペルー。ますます好き。

 

さて、かなりありがたいことに、日本語の資料も手に入ったので、この遺跡の紹介をしよう。

 

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パチャカマックの始まりは紀元前200年ごろにペルー中央海岸帯のこの地に支配が開始されたことに始まる。紀元後に最初の文化=リマ文化が定着し、いくつかの支配を経て建造物が増えた後、この地を占領したインカ帝国によって「Pacha=天地、Camac=創造者」とを組み合わせて名付けられた。

かなり広大な遺跡だが、都市というよりも神殿とされているのは、この地がパチャカマック神の巡礼の地とされていたためだ。

さて、まずは博物館から行ってみよう。

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遺跡は大きく4つの時代のもので形成されているが、こちらの博物館ではその経緯や出土品が展示されている。

 

ツアー客もいるので、そのガイドの解説を盗み聞きしつつ、進んでいく。

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こちらがご神体で、てっぺんがパチャカマック神。

パチャカマック神は地震の神様で、その頭が揺れただけで天変地異が起こるとされる恐ろしい神だ。周辺諸国の部族長たちが神託を聞くために長い巡礼の旅をして集まったとされている。この巡礼の起源となったのがワリ帝国文化または中期ホライゾンの紀元後650年ごろとされ、それ以前は周辺諸国のみ、以降はアンデス各地からの巡礼者を迎えるようになる。

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こちらはワリ帝国ごろの壺。頭付き。

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こちらもワリ。体を丸めた死体に土を盛り、仕上げにこちらの仮面を顔として付け、雪だるまのような形で埋葬していた様だ(壺の形が近いので、何らかの意味合いがあるんだろうな、この文化には)。ところ変われば、である。

 

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リマ文化からの特徴だが、海の近くのため、魚モチーフのものが多い。

 

その後、1100~1470年ごろにはイチマがこの地を収め、日干し煉瓦の大きなピラミッドや鳥、魚を描いた美しい神殿を建設し、聖地としてのパチャカマックを築いていった。

 

では、遺跡を見て行こう。

 

遺跡は全長3kmに及ぶ見学通路があり、ここを歩いていくことになる。幸い曇りでそこまでシンドそうではない。

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入り口には最初期リマ文化の頃のもので、本棚状に並べられたレンガが特徴とされる建築様式だ。

 

ツアーだとここからバスで巡るので、体力に自信のない人にはお勧めだろう。

 

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そしてこちらはインカ帝国時代のママコナと呼ばれる施設。

15世紀にチムー王国を征服し、更に南下。ここも占拠するが、パチャカマック神の信仰は否定せず、ここにインカ式の神殿も建てて、ともに祀った。

インカの地方諸都市の方式に則り、こちらの施設は太陽の処女の館や僧侶の生活スペース、食糧庫なども兼ねていた様だ。用水路なども設けられており、都市としての機能も高められていたのだろう。

 

ここから周辺を回って見られるのは、インカの前、イチマ時代のピラミッド群だ。

17ものピラミッドが築かれているというが、わけても3つが大きく、形もよく残っている。

 

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ピラミッドその1。

 

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都市の真ん中を走る大通りは、高い城壁に囲まれていたという。

 

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ピラミッド手前から2,3。3の頂上に人影があったが、警備員の様だ。確かに警備にはもってこいだが、微妙に邪魔。

 

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タウリチュンピの館はインカ時代のもの。回廊を挟んで2つのパートに分かれている。この辺になると、もう人の姿が見えない。バスもそんなに走ってねぇ。

 

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まだ発掘調査の途中であり、休憩する調査員の姿も見られた。シカン文明発見に大きな役を果たした島田さんが、ここでもミイラを40体ほど発見したというから、日本語のパンフレットがあるのも頷ける。

 

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こちらはリマ時代のピラミッド。ピラミッド?って感じだが、2000年前くらいという時代を考えると、こんなもんだろう。確かこの辺りから例のご神体が発見されている。

 

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そしてインカの太陽の神殿。手前もそういった施設の名残の柱だったかな。

遺跡で一番デカいこともあって、中学生たちは他の建築物はショートカットしてここに来ていた様だ。急に人が多くなる。

 

f:id:haruki0091:20171026212300j:plain当時のピラミッドはシパン博物館よろしく、赤い外壁だったようで、その名残が散見される。

 

 

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そして遺跡全体も見渡せるのがここの醍醐味。霧がかかり始めてわかりづらいが、大小さまざまなピラミッドが並び、その奥には現在の集落が山の斜面に沿って存在。治安、悪そうだなぁ……。

 

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上空にはアンデスコンドルが舞っており、雰囲気を盛り立てる。

 

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反対側には海。魚モチーフがある所以。まぁ、霧で見えないけど。

ここは川と砂漠(?)と海に囲まれており、それ故に特別な意味合いもあったのだろう。

この向こうには大小の島が浮かんでおり、それにまつわる神話も有名だ。

 

この地で農耕や文化を広めていた神(Cuniraya)が、美しい乙女(Cavillaca)に恋をした。他の神も求婚する彼女は、これを袖にしたが、Cunirayaは鳥に化身し、彼女が口にする木の実に種を宿して妊娠させた。

生まれた子が這えるようになると、Cavillacaが父親の元に行く様促す。すると子どもはCunirayaの元へ。

袖にされたにもかかわらず、だまし討ちで子どもまではらまされてブチ切れたCavillacaは子を抱いて逃走。追跡を振り切って海に飛び込み、子ども共々岩に変わった。それが大小の島になった、というわけである。だいぶはしょったが。

 

いやぁ、ひでぇ話もあるもんだ。実質ストーカーからのレ○プですからね。子供まで生ませてニッコニコで「俺が父親やでー」って、それ神じゃなくて鬼畜だからね。

 

まぁ、人間的な神ともいえるが、色々人間に知識を与えているところが逆にタチ悪いというかなんというか……。

 

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こちらも太陽の神殿の一部。相変わらずきっちりと組まれた壁面に、建築技術の高さをうかがわせる。まぁ、比べるのもアレだが、最初の本棚みたいなのとは雲泥の差だ。

 

さて、うっすらお気づきの方もいらっしゃると思うが、ここがそんなしっかりした建築技術があったにもかかわらず、きちんと残っていないのは、もちろんスペインのせいである。

 

1563年に侵入した彼らは、金銀欲しさに襲撃と放火を行い、ここに1200年にも及ぶ遺跡の歴史は幕を閉じたのである。

スペインさぁ、ペルーにも謝ったぁ?お前らマジクズ過ぎんだろ。

 

こんな感じで終了。帰りも何とか同じルートで戻る。

お腹もすいたので、新市街周辺でレストランを探すが、大体10ソル。そう考えると、昨日のメルカドの食堂はやっぱり安かったんだな。カハマルカが謎すぎるが。

 

仕方ないので一つの店に入って注文。サンコチョと鶏肉のワイン煮に。

 

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いやスゲー量だな、おい!サンコチョは少し食べた後だが、米入りで実質おかゆ

これまでの食事よりボリュームがあるから、多少高くても頷ける。味もイイ感じに上品で、市場飯との違いを強調してくる。

 

前払いさせられたにもかかわらず、会計したか聞かれるという、予想通りの展開になったが、まぁいいや。

 

お土産物市場を冷やかして、食材の買い込みをし、宿で自炊。

 

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野菜ラーメン。袋めん1つが小さいので2つ使ったらえらい量になったでござる。

味を別々にしたが、かえって混ざってよかった。味噌は複数混ぜた方がうまい的な。

 

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食べていたらワンちゃん(オブディアス?トブディアス?)が物欲しげに太ももに顎を乗せて見つめて来る。

いやしかし、物が物だけに分けられないよ!

 

明日は最終日。残る観光を軽く行おうと思う。

 

古代の夢が、我を呼ぶ!