第三百二話 Pのボレロ / 命棲む星
出立110~1日目(通算360~1日目)ペルー6~7日目 カハマルカ3~4日目
トルコ人の彼は本日の夜の便で、チャチャポラヤとかいう街に向かうという。
ここは「北のマチュピチュ」と呼ばれる遺跡があり、ペルー政府が北部観光の目玉にしようとしているのだとか。
カハマルカからは12時間。チクラヨからなら9時間であり、しかもリマに向かうにはまたカハマルカに戻る必要がある。
カハマルカからリマまでは14時間かかるので、移動だけでも38時間だ。
これだけの時間の間に、いくつの生命が生まれ、消えていくのか、想像してみてほしい。
そして気付くはずだ。
そんなことしなくても面倒くさいと。
大変に興味があるが、ここは魔法の言葉で乗り切ろう。
「今後の課題とさせていただきます」
さて、気を取り直して、朝食は手作りにした。
カハマルカの街は乳製品が有名。もうチクラヨのキンコンの店以上に乳製品の店が並んでいる。そんなアンタ、違いあるのかと。もう露店で民族衣装のおばちゃんまで売っている始末なので、街中チーズとヨーグルトだらけだ。
そんな中、昨日の夕飯にもチーズを使ったが、これが朝食。
トマトと一緒にサンドイッチで、ヨーグルトはパイン味。もうドロドロでこれが血液だったら死んでるレベルの、っていうか飲むヨーグルトじゃないんだろうな、って感じ。
味は文句なく旨い。幸せだ。毎日飲みたい。まぁ、昨日買って速攻で飲んでたけどね。
大サイズで5ソル。チーズはピンキリで、使い切りだと2~5ソルくらいだろうか。
実際、翌朝の朝食までで5ソルのものは使い切っている。
さて、1泊追加した関係で部屋を移ることになり、そのドタバタやリマ行のバスチケット手配なんかをしている内に昼を回った。外に出てみよう。
「Iglecia Belen」は少し奥まったところにある教会だ。かなり大きいが、また中に入れず。
のんびりと歩き回り、串焼きを昨晩買った場所の近くの食堂へ。
スープは揚げたコーンを後入れする形。臓物のスープだ。好きだな、臓物。
メインはマスの半身。E君からマスは旨いと聞いていたが、フライなので鮮度とかはない。が、魚は久しぶりに食うとやっぱりうまいと感じる。そういえば、今年はサンマが不良だとか。
取り立ててすることはないので、買い物をして宿に戻る。
コーヒーを飲もうかと思ったが、ひと眠りしようということで屋台で売っていたフローズンドリンク、1.5ソルに。
先日食べた「ツナ」とあと忘れたが、聞いたことのない、果物。
酸味が強烈で、甘みが多いツナとの相性はベストマッチ!色もいいよね。
E君から、おばあさん回復した旨と、「あの観光地は行った?」という連絡が。
まめな奴だ、E君!そういや、ペルー人で珍しく「イケメンだな」と思えた数少ない奴だ。くそ、顔までイイ奴かよ!
それならと、宿の人に聞いて、翌日出発前にそこに行くツアーに参加することに。
夕飯にまた串焼きを買いに街へ出る。
全てではないが、教会もライトアップされて神々しい雰囲気に。
広場では「オズの魔法使い」と思われる、劇なのか、その準備なのかが行われていた。
魔女の格好をした激マブなお姉さんがくれたチラシによると、どうもお金を取って上演するものらしい。時間的にこの後か。しかし、ペルーで一番の美人だったな。思わずチラシ受け取っちゃうレベルだった。この国も、今のところ細身の人がそもそも珍しいし……
おっといけない。
ベレンも、昼見た時とは大きく違う。こういうのは夜のライトアップで神々しさが増すね。
週末だからか、ミサをやっていた。っていうか入れたぜ!ま、写真撮ってたら注意?されたけど。ねー、宗教行事はね、ルールわかりませんからねぇ。まぁ、言葉わからなかったんで、ダメだったのかもよくわからないんですけどね。中入れだったのかもしれないし。
カテドラル
ここでもこの奥で着ぐるみと司会のお姉さんがいて、息を切らしながらイベントを行っていた。週末だから、色々あるんだろうな。
丘の上の教会もいい感じだ。人の姿もあるので、登ってみよう。
展望台まではいけないが、教会までは登れた。夜景も教会中心に見ればいい感じ。カハマルカは治安がいいな。
こうして今日も一人で宴会をして、眠りについた。
翌朝、荷物をまとめて朝食をとる。移動先は別棟だったのだが、電子レンジがあり、試しにパンを珍したらチーズが溶けてめっちゃうまい。くそ、もっと早く気付くべきだった!
オーナーさんがやってきて、迎えが来たから早く行け、荷物はイイから!というので大慌てで向かいのバンへ。
まぁ、この後、結局他の参加者を待つことになるのだが……
セントラル付近で待ち合わせ、出発。他は全員ペルー人で、ガイドもスペイン語のみ。チクラヨのツアーも英語は高くなると聞いていたから、まぁ、いいね。どうせ観光客なんてほぼいないんだろうし、なかったよ、英語のツアーも。
本日向かうのは「Granja Porcon」。E君曰く、動物たくさん見られるしお勧めだよーとのこと。
地球の歩き方とかに乗っている、変わった地形が見られるところもよさそうだった(実際、トルコ人はそっちに昨日行ったみたい)が、ここは地元の人間の言葉に従おう。共に25ソルと良心的な値段で、移動の足代と入場料、ガイド込だ。
道々にカハマルカの解説をするガイドの爺さん。何となく、アタワルバとか、単語は拾えた程度だ。
そうこうするうちに最初の観光地?なのか、停車したのが石の彫刻が置かれたところ。
……うむ。まぁ、スゴイはスゴイな。別にここで見る必要はない気もするが。
お土産も売っていた。もちろん石の加工品。重いね。
再び走り出したバスは山道を抜け、目的地へ。
「Granja Porcon」は動物園的な面と、自転車やカヌーなどのアクティビティも楽しめる施設の様だ。E君はマスを釣ることもできると言っていたな。
入ってすぐに何か聞きに来たおっさんがいたが、おそらく、あれがアクティビティやるかの確認だったんだろうな。スペイン語わからないやつがいるとは思ってもいないだろう。
用も足してお土産コーナーも抜けると、早速動物たちのお出迎えだ。
鹿だろうな。
ペルー人たち、パンをちぎって与え出した。えっ?パン食うの?まぁ鹿せんべいもそんな様なもんか?わからん?
ただ餌付け文化は根付いているようで、以降の動物たちもパンを目当てにアミノ基話まで来るので、大変に見やすい。
リャマたち。民族衣装に身を包んだ女性が引いてきた。
何かここ、彼女の様な民族系の方が従業員の様で、こんな格好したご婦人が柵の杭を打っていたりする。制服なのかもしれないが、この辺りに住んでいる彼女らをまとめて雇用しているのかもしれない。
アンデスコンドル。
頭部の飾りがないから恐らくメス。のしのしと歩いてい舞うことはなく、少し寂しい。
狐だろうか、犬だろうか。やはりこういう系の動物は見ていて安心する。
エミューだ。
これもパンが目当てなのだろう。ガンガン近づいては啄む仕草をしてくる。やっぱり鳥類って恐竜だよなーと、足元なんか見ると思ってしまう。
他にも、見たことがない鳥がちらほら。考えてみれば、ガラパゴス以前はそこまで動物に興味を向けていなかったが、地域が大きく違えば生態系もだいぶ違うんだよな。離れれば離れるほどだ。
こちらは鷹。いやーやっぱりカッコいいな、鷹は。隣にアンデスアクイラもいて、遠くて写真映えしなかったが、一回り小さく、茶色の翅が特徴的だった。
ウサギ系の……名前忘れた。
もしかして、隣のアクイラはコイツら狩るんじゃねぇかな、と思うと、穴倉から少し顔出す程度なのも頷ける。
オトルガとか言われていたネコ科。豹にしては大きいし、ちょっと虎入ってる気もするし、よくわからん。
なんだろうな、この鳥。頭部がデカいからなのか、シルエットがかなり特徴的。ガラパゴスの動物も珍しいが、日本人からしたら南米にいるだけで十分珍しいよな、よく考えたら。
猿に
熊。熊ってデカいよね。私のいる県でもたまに出没するが、最近じゃあ「可哀想だから駆除するな」みたいな抗議があるんだってね。でもこれ、実際目にしたらそんなこと言えないよなぁ。
孔雀だ!本当に雄はキレイだなぁ。
しばらく離れていたら、歓声が聞こえたので戻ると、羽を広げている場面に遭遇、よっしゃラッキー!
しかしこの後、別の孔雀がまさかの柵の外を歩いているのを目撃(上の写真がそれ)。ええっと、いいのか?
バッファローは柵なし!跨がれるというワイルドなアトラクション!スゲーぜ、ペルー!
ライオンもこういう柵があるとはいえ、数十cmの距離で見たのは初めてだ。
雄は寝てるなぁ……
ダチョウだ。エミューデケーと思っていたが、ダチョウの方がやっぱりデカい。パン待ちで柵をつつく。この大きさだと迫力が違う。子どもがめっちゃ怯えている。
おかわりタイムって感じで、これまでの動物が再び並び、オウム類の極彩色なエンディング。
うーむ、楽しめた!
再びバンに乗り込み、街へ向かう。ウトウトしていればあっという間だ。
9時に迎え→14時前にセントロで解散。改めて動物って面白いと思わせてくれる、楽しい体験だった。
メルカドでお昼。初日の所が閉まっていたので、別の所へ。
気付いたらまたカブリートを頼んでいた!ここも5ソル。パンチはないが、安定した味。でも初日の婆さんのとこくらい勢いがほしいなぁ。
帰り道、土曜日だからなのか、単に祭りの日なのか、学校の前辺りでマリア様がどうとかいうイベント。皆立ち止まって参加し、犬は通れなくてウロウロ。
こんな砂絵アートらしきものも。
そういえば、道々に紙吹雪の残骸みたいなものが散らばっていたが、あれもそういうことなのかなぁ。
ちなみに、この間は当然通行止めだが、終わったら砂絵は放置。車が通るたびにカラフルな粉塵が舞っていた。
さて、本日の出発は18時半の夜行バスだ。
宿で時間を潰す。ここのオーナーさん、荷物を運んでくれ、厳重に管理して待ってくれていた。ありがたいことだ。家族経営の家にお邪魔している感じだったが、なんだかんだいいところだった。セントロには遠いけど、バス停には近いし。
出る前に先日買ったこちらのフルーツをいただく。
周りが綿状になっていて、この種周りをいただく感じ。粒々の種の食感が楽しく、ジェル状の部分がジューシーで控えめな甘さ。うまい。まとめ買いだから値段知らないが、また食べてもいい感じ。
オーナーさんに別れを告げて、バス会社のターミナルへ。
ペルーのバスは、バス会社ごとのターミナルから出るのがほとんどで、今回予約したところが他の会社よりも遠くにあるのだが、まぁ、ここからなら歩いていけない距離ではない。
さて、今回利用するのは「Cruz del Sur」という、地球の歩き方や他人様のブログでも取り上げられている、ペルーのバス業界きっての豪華なもので、そのサービスは「飛行機並み」と言われている。
実はペルーのバス移動、一昔前は強盗が出ることで有名だったとか。今はほとんど聞かないが、値段の安いところは途中で人を拾っていくため、リスクが上がるのだ。
そこ行くと今回の「Cruz del Sur」さんはノンストップで途中で人を乗せず、しかも乗車時に身分確認と荷物確認を徹底しているので、安全性が高いというわけだ。
ネット予約の方が安いというのでやってみて、この日は運よく安くなっていて80ソル。
当日窓口を見たら144ソルと書いてあったので、予約していった方がいい。
予約といえば、何故か母方のせいも入れる必要があり、チケットの名前が見たことない長さになっていた。ペルー人はこういう名前の付き方なんだろうな、きっと。
チェックイン時に予約確認書が必要だが、こんな時に限ってパソコンが不調で、見せられず。
おいおいどうすんだと思っていたが、幸いパスポートチェックで発見してくれた。良かった……
なんかよさげなバスだよね。
脇に立っているのがCAさん的な人で、彼女がいろいろサービスしてくれる。
席はこんな感じ。
フットレストもあり、かなり快適だ。モニターがあって映画も見られる。
更にブランケットと枕も配られるので、まさに飛行機!
バスは予定通り18時半に出発。日取りが良かったのかガラガラで、のびのび使える。
そして夕食のサービス!
予約時に食事の内容を選べるのが嬉しい。私はカルネ(牛肉)をチョイス。
見た目はこんな感じだが、味は抜群。中国の航空会社の飯とは雲泥の差だ。
ボリュームがアレだけど、バナナ持ち込んどいてよかった。
かくして、「中国の動物」という当たり障りのないものを見ながら、眠りにつくのだった……
明日はついにペルーの首都に入ることになる。
ここもそれなりのクライムシティというが、はてさてどうなることやら……
っていうか宿のWi-Fi遅くて更新が思うようにいかない……
古代の夢が、我を呼ぶ!