新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第二百九十七話 たったひとつのEのために / 光る大空 つながる大地

出立103日目(通算353日目)エクアドル29日目 クエンカ4日目

 

 

フランスガールを見送って朝食を済ませた私は、同じ轍を踏まぬよう、早めに宿を出た。

バスターミナルへの道すがら、パンを購入。帰りは昼を回るためだ。

 

さて、目的地「Ingapirca(インガピルカ)」遺跡までは、昨日見た限りでは「Canar社」のバスしかなさそうだ。それも、9時発もしくは12時発のみ、帰りは13時発もしくは15:45発。移動は大体2時間というから、後者だと完全に夜になる。

 

往復で7ドル。バスは時折山道を通るが、運転が荒いわけでもないので、車酔いはそこまで警戒しなくてもよさそうだ。2時間ちょっとで到着。

 

7年前の『地球の歩き方』情報だと、入場料は6ドルだったが、支払ったのは2ドル。

不思議に思っていたが、どうも博物館が稼働していないらしく、その分が引かれている様だ。

よっしゃラッキー!

 

入場料にはガイド代も含まれており、11:30~の英語コースに参加だ。

 

f:id:haruki0091:20171014105347j:plain

インガピルカは標高3,160mの高地にあり、2つの異なる時代の遺跡が発見されている。

紀元前1000年ごろのカニャーリ族のものと、15世紀中ごろのインカ帝国のものだ。

基本的にカニャーリの遺跡を土台としてインカの遺跡が建てられている様だ。

 

なお、インガピルカはクエチュア語で「インカの壁」を意味する。遺跡内の説明立て札にも、スペイン語、英語と並んでクエチュア語と思われる記載がある。

 

f:id:haruki0091:20171014104801j:plain

入って左側のこのゾーンは、カニャーリ族の遺跡。神殿を中心とした集落だった様だ。

f:id:haruki0091:20171014104834j:plain

基本的には土台のみが残っているが、こちらの右側には再現された当時の住居がある。

f:id:haruki0091:20171014104907j:plain

中でも屋根の素材にも使われているこちらの植物は、葉はその強靭な繊維のためにロープなどにも使われ、パイナップルの様な実はジュースとなっていた様だ。おそらく成長したら幹も使ってたんだろうな。

f:id:haruki0091:20171014104955j:plain

他にも、薬にも毒にもなる、通称「天使のトランペット」という植物も。

かつての人々も、これを使っていたとか。カラーバリエーションもあるんだって。

 

f:id:haruki0091:20171014105104j:plain
園内には何の脈略もなくリャマがいる。触っちゃダメだが、放し飼いだ。

 

f:id:haruki0091:20171014105141j:plain

こちらの石は台所用具だったらしい。そこまでわかっているのはスゴイ。

f:id:haruki0091:20171014105250j:plain

 そして月のカレンダー(左端)。

カニャーリ族は太陰暦を用いており、中央にあった神殿も、月の観測を主にしていた様だ。一穴が一晩を表し、水を入れていったとか。

 

ただ、後年には台所用具的に使われていた、と聞こえた気がする。特に右の奴ら。まぁ、知らない人間からしたらちょうどいいもんね。

 

f:id:haruki0091:20171014105347j:plain

そしてこちらのゾーンがインカ帝国のもの(再掲載)。

f:id:haruki0091:20171014105445j:plain

中央にある太陽の神殿。インカ帝国太陽暦だったため、対照的な組み合わせになったのは面白い。ブラックサンとシャドームーン的なね。用途は同じ様に、太陽の観測だ。

 

f:id:haruki0091:20171014105552j:plain

近くにはこの石群。住居の基礎に使われていたものらしいが、スペイン侵略後にはバラされ、別の用途に使われていたらしい。実はここの遺跡は20世紀に入ってから各国の合同チームによって発掘されたようで、それまではスペイン式の教会や学校の下にあったようだ。それらを取り壊し、ここまで見られる状態になったとか。

 

f:id:haruki0091:20171014105739j:plain

そして太陽の神殿の壁面。他の施設と基本的には同じ石だが、ここは磨き、他素材の浸食を免れたとかで、本来のカラーである緑というわけだ。

それにしても恐ろしくピタリと隙間なく組まれている。

職人が1個1個磨き上げたとかで、1個当たり1ヵ月、計5年ほど要したと考えられているらしい。

 

インカ帝国の首都はペルーのクスコだが、広大な支配地域の抑えの要として、そして太陽暦を広げる目的もあって、北部の拠点としてここは築かれたのだ。

『太陽の処女』と呼ばれる14~16歳ほどの女性たちや僧侶、行政長官らが生活をしていた様だ。

 

f:id:haruki0091:20171014105823j:plain

神殿の中央。実際はドーム状になっていた様だ。

アメリカオヤジの指さす方向、左の壁面に溝があるが、全部で4つあり、手前の入り口から入った太陽光が、一番左からインカにとって重要な6月1日、次の2つは春分の日秋分の日と……と言った形で差すようになっており、溝に祭られた黄金に当たって輝く、という仕組みになっていた様だ。

 

f:id:haruki0091:20171014105936j:plain

反対側も同様になっていて、サンライズとサンセット両方に対応していたとか。つまり真東と真西できっちりと築かれていることになる。大したものだ。

 

ツアーはここで終了。他にも2kmほどの周辺を巡る散策路があり、1周45分と合ったが、この時点で12時半。そうです。そんなことしていたらバスに乗れません。これはどういう計算なんだろうか。ツアーのタイミングもあるとはいえ、20分も待っていないわけだし、パスしろってことか、それとも遅くまでいさせて金を使わせようという考えなのか……

 

どのみちチケット購入済みなので、すぐに行けるとこだけ見ていこう。

 

f:id:haruki0091:20171014110050j:plain

こちらは「Cara del Inca」。インカの顔、という意味だ。いつぞやの皇帝の顔という説もあるが、自然にできたと聞いたような気もする。

草がちょうどまつげみたいになっているのはすごい。

 

f:id:haruki0091:20171014110302j:plain

ここには観光用のアルパカが。

まぁ、リャマもそうかもしれんが、土産物屋にはこれらの毛を使った品もあるので、そういうことだろう、きっと。

 

f:id:haruki0091:20171014110345j:plain

高台から、遺跡の全体図。こう見ると、太陽の神殿が真ん中から分かれているのもわかるだろう。

 

f:id:haruki0091:20171014110427j:plain

ここには王の沐浴場もある。多分これ。どう使うんだろう。地図上では「インカのジュース」になってるし……。

 

他にも散策路には太陽の模様の石と、ゾウガメを模した石があるとか。ま、ここまでで出発まであと5分だったので、もう無理だね。

 

インガピルカは遺跡を中心とした小さな町で、周りにちょっとしたお土産屋やレストランもある。カニャーリ族の伝統的な食べ物も楽しめるらしい。

 

こうして、遺跡を去るバスに慌ただしく乗り込んだが、来るとき一緒だったドイツガールや、ツアー一緒だったアメリカン、イタリアンカップルは乗っていない。

後のバスに乗るのか、それともこの辺のホテルに泊まるのかわからないが、全部見て何か食べるとしたら、それしかないだろうなぁ。

 

バス内でパンを食べてウトウトしている間に、スカスカだったバスは満員に。行きよりも時間がかかりながら、15時半過ぎにターミナルまで戻ってきた。

 

宿に戻って換装し、オシャレそうなカフェへ。

 

f:id:haruki0091:20171014110456j:plain

店の名前を冠したこちらのコーヒーは、甘く仕上げられている。Mサイズで1.86ドル。店オリジナルブレンドの豆も売っている様だ。ならドリップも出してくれよ!いや別にEspressoでもいいけどさ!

 

宿に戻ると、日本人のTさんが新たにいた。キトから直行9時間で来たという。

折角なので、連れたって夕食に出掛ける。

メルカドを覗くと、締める頃合いだった。18時半までの様だ。

数ブロック歩いたところで夕飯に。

 

f:id:haruki0091:20171014110555j:plain

鶏肉のコーラ煮、2ドル。

マヨ久しぶりだなー、とかそんなん。コーラで煮ると肉は柔らかくなるねぇ。

 

f:id:haruki0091:20171014110629j:plain

夜の街を軽く散策し、ビールを買って戻る。

既に3日目ともなると、店のおばちゃんの対応も早い。夜ということで鉄格子が下りていたが、顔を見るなり向こうからビールの大瓶を出してくれた。顔なじみができると、離れがたいなぁ……。

 

宿の食堂からは夜景が見える。そこで飲むビールは格別だ。

 

さて、明日は夜行バスでの移動だ。久しぶりだなぁ、夜。

しかも国境越えということで、余計にワクワクする。さぁ、次こそはこの旅のメインだ。

 

古代の夢が、我を呼ぶ!