第二百九十五話 たったひとつのEのために / ノリは時間で変わるもの
出立100~1日目(通算350~1日目)エクアドル26~7日目 ガラパゴス16日目 サンクリストバル島6日目~グアヤキル~クエンカ1~2日目
いつものスタートを切り、ちょっと街でガラパゴスコーヒーを買い、荷物を整えて宿を出る。
この旅一番の値段ということもあり、大変いい宿であった。
野菜分けてもらったり、便宜も図ってもらったしね。
最後に記念撮影。お世話になりました!
アシカを見てのんびり向かったら、カウンターが閉まっている。あれーまだってことかなー?とブラブラしていたら、係員のお姉さんが慌てたやって来た。
「この航空会社?」と慌てて手続きを始める。2時間前には宿を出て、1時間以上前には着いている。国内だし大丈夫だろう、と思っていたが、ここでピンときた。
ひょっとしてこのチケットの時間、エクアドル本国の時間=1時間早いで記載されているのか?
そうなると、出発まで20分切ってるね!それはやばいね!とバタバタ手続きをする。荷物も手持ちで飛行機まで持って行く。ようやっと席について一息。手元のペットボトルに水入ってるけど、それすらスルーって、よっぽど急いでたんだな。
そういや、『地球の歩き方』に「ツアー開始時間はエクアドル本国時間かもしれないから、注意」みたいに書いてあって、最初は用心してたっけな……油断したぜ。
皆さんも十分に注意してください。乗り逃したらシャレにならないので。
まさか最後の最後にバタつくとは。名残を惜しむのも巻き目になってしまった。アイスランド以来、久しぶりのタイトル通りの『世界の果て』っぽい旅路も、ひとまずおしまいだ。
軽食とジュースが出て、小一時間もするともう着陸態勢だ。予定より1時間半は早いな。この電子チケット、クソの役にも立たないじゃねえか!
しかしいい点もある。グアヤキルからさらにバスで移動予定だったのだが、到着が19時回る予定だったので、早まれば一気に楽になるはずだからだ。
宿も高いし治安悪いし、もうすることないしでとどまる理由もない。バスターミナルへは空港から歩いていけるので、なおさらだ。
若干バスターミナル内で迷子になりつつ(広くてチケット売り場わからなかったんや。1階にあるやで……)、14時発のクエンカ行きに。8.25ドル。
出発早々眠りに落ちる。物売りが大声でやってくるのも懐かしい。
市内より当然高いバスターミナル内の物価ですら、ガラパゴス後だとお安く感じるほどだ。
1度のトイレ休憩を挟み、4時間程度で到着。休憩後から山道に入ったが、酔う様な運転でなかったのが良かった。ただ、高度はグングン上がるので、高山病を恐れたが。ガラパゴスでリセットされてるから、不安だよね。
バス停からセントロまでは市バスを利用。
バス停が2か所あるが、北側の、時計塔の裏にある方から乗る。偉そうに言っているが、違う方に行って姉ちゃんに場所聞いたからね、皆は間違えないでね。私は18番に乗ったが、他にもあるはずだ。入り口で25センターボコインをぶち込んで乗車。
18時を回り、街は病の中に沈みつつあるが、クエンカはエクアドル有数の治安のいい街。バスを降りた後も危険そうな雰囲気はなく、宿に着いた。
同じ部屋に日本人の男性Hさんがおり、しかも同年代、大学が一緒ということがわかる。久しぶりに日本人と会ったなぁ。日本語喋れてよかった。
久しぶりといえば、街にビールを買いに出たが、500ml缶で1.25ドルって、久しぶりに安いなぁ。
夕食は前の宿で作って来たネギま炒めを温めて、ビールと。10日ぶりくらいのビールうめぇえええええええっ!!!
キッチンには同じ部屋の台湾の子がおり、その子と少し話す。そこへ吹奏楽が流れてきて、ベランダに出てみると
おっ、パレードやんけ!
どうやら消防関係のものらしく、ファイヤーマンたちが火を掲げて歩いている。勇壮な音楽もいい。
このホテル、安い割にセントロ近くなので、屋上からこれを見られたわけだ。ラッキー!しかし何のパレードなんだろうな。
部屋に戻り、出掛けていたHさんにパレードの話をしたら
「火の用心じゃね?」
「あんな派手にっすか?」
「じゃあ松明持ってたし、火を付けに行ったか」
「んなマッチポンプな……」
という話をしたとかしないとか。
翌朝。
ホテルはパンとスクランブルエッグ、バナナにコーヒーという、軽めの朝食が付く。Hさんと一緒させてもらった折、ベネズエラで買ったというコーヒーを、別途馳走になる。
入れる道具までお持ちのHさん。伊達に荷物は多くないのだ。
既に南米を回り、1月後には帰るという彼から、情報を仕入れる。
うーむ、また早めにしといた方がいいところがありそうだ。
さて、町歩きに出掛けよう。
クエンカはグアヤキル、キトに次ぐ、エクアドル第3の都市で、平均気温14℃、標高2,530mに位置する。
16世紀にスペインに侵略されて以来、カニャーリ族の街の雰囲気は消えたものの、住民の大半はインディヘナが占め、至る所に華やかな民族衣装に身を包んだ女性たちの姿を見かける。そして街並みも、16世紀の雰囲気を残し、1999年に世界遺産に登録されている。
石畳が特徴的で、車通りは多いものの、コロンビアのポパヤン程運転も荒くなく、空気もキレイな印象だ。
ガラパゴス後ということもあるだろうが、相当に都市として完成されている印象で、エクアドルの京都、といったイメージだろうか。
まずは街の中央にあるカテドラルへ。
1885年に建設された新しいものだ。
反対側から見ると分かるが、青いドームの乗った大理石造りの見事な建物。
中も荘厳な造りで、音楽も雰囲気たっぷりで、久しぶりのこういう文化文明に触れている感が心地いい。そう、ここからは人類の築き上げた英知=プレシャスを探す旅という実感が改めて湧いてくる。
接近。うーむ、いいね。派手ではあるものの、全体的に落ち着いており、神聖な気持ちになる。ステンドグラスにゾウガメもいないし。
ここの向かいにはかつてのカテドラルが博物館としてあり、1ドルで観覧できる。
正面には最後の晩餐の像。壁画も面白い。
こちらのカテドラルは1557年の建設で、当時の壁画も残っている。大体信長さんがウォーミングアップ始めて、弟を暗殺した頃だね。
ここに今のカテドラルの模型もあったが、それだとツインタワーの上にはさらに何かある。一体この差異は何なんだろうか。
こちらはサントドミンゴ教会。町中には至る所に教会が存在している。南米に入ってから、結構中に入れない率高い私は、当然、ここもダメだった。残念。
「Museo Manuel Agustin Landivar」は博物館にインカの遺跡が併設されている。
町中に突然こんな石組みの水路や建物跡が現われるんだから、驚きだ。
博物館自体は出土品が少し並んでいる程度だ。
実は何だかんだ回っているうちに、既に正午。腹も減って歩くのしんどいので、飯だ!
今日はこちらの店。なんと、「Almuerzos」が1.5ドルというのだ!こ、これはガラパゴスはもちろんのこと、キトやグアヤキルよりもえらく安い!どんなものが出て来るのか……
スープは牛肉だしで、コーンを入れるタイプ。既にいい感じのボリュームだ。もう1.5ならこれで終わりなんじゃないかと疑うレベル。
そしてメインキター!結構大きい鶏肉に山盛りライス。ジュースも自家製だ。軟骨も食べられるほど十分に煮込まれて柔らかい。これで本当に?ってレベルだ。間違いなくエクアドル最強レベルのコスパだ。
街の平均は2ドルだった。うーむ、見事だ、クエンカ。
ちなみにこの店だが、「San Bias」教会のある広場の北西の角を北に上がっていくとあるので、興味のある人は探してみよう。スープを飲み終わる頃には店は相席&満員の状態だったので、正午前の入店をお勧めしたい。
再び道を南下し、「Iglesia de Todos Santos」の前に。
実際の扉を用いたオタバロ族仮面の見事な壁画と教会。こういうアートの写真を集めている旅人もいたが、たまに面白いのがあると撮りたくなるよね。
西に進んで「Mercado 10 de Agosto Seguro」へ。
ここは市民の台所。野菜にフルーツ、肉、魚、米やらコーンやらと何でも揃う。2階には食堂もあり、ここも安値で提供している。1.25~2ドルでAlmuerzosがいけるし、他の料理も安いだろう。
「Church of San Francisco」。
またしても入れなかったが、見事な造形。これの前に大きな民芸品市場があると聞いていたが、なんか解体されている様な……・。
代わりなのか、目の前の通りにはプレハブの市場が建っている。
こちらの一際インスタ映えしそうな教会が、「Iglesia San Alfonso」。青い屋根と白い壁が美しい。お察しの通り、中には入れなかった。
こちらの向かいには歴史的っぽい役場が。これも雰囲気あるなぁ。
エクアドルはTシャツのセンスがいい、と以前書いた気がするが、もう少し欲しいなーと思って探してみたが、なんか、ポンチョとかはあるのにTシャツが見当たらない。
街の至る所にアパレルショップはあるが、完全に現地人用で、土産物系は少ない。これはちょっと意外だな。グアヤキル辺りがそうというのは比較的理解できるが、歴史的な建物の街=観光業で栄えそうなのに、ベーシックな土産物が置いていないなんて!
一応Tシャツを扱う店(Galapagosというところ)もあったが、お気に入りの柄がないとそこまでだし。うーむ、全体的に物価が安いから期待していたが、Tシャツを買うなら、他の街の方がいいかもしれない。
すっかり探索につかれたので、探し回っていた中からよさげなカフェへ。
確か「Nucallacta Cafe」ってところかな。セントロの東にある「Hermano Miguel」という通りの、セントロ以南にはよさげなカフェがいくつかあるが、ここは豆の販売もしているところだ。
こんな感じ。1.5ドル。店の雰囲気もいいが、味はまぁまぁかな。量は多いし、WiFiも飛んでるしね。エクアドルはやはりチョコレート中心に考えた方がいいかもしれない。
再度Tシャツ探したり、メルカドでフルーツ買ったりして、宿に戻り、18時ごろに再びメルカドへ。ここでまだ開いていた店で1.25ドルのAlmuerzosにチャレンジだ。
おああちゃんが一人でやっているっぽいところで、まずはスープ。
豆がいい感じに煮えて、ポタージュ状になっており、上のネギがアクセントに。うまい、うまいぞ婆さん!
メインはこちら。煮込まれた豆と肉だ。ボリューム的にはアレだが、味は満足いくものだ。ジュースは……風味の付いた砂糖水程度だったけどね。
もしかすると、全体的なボリュームとしてはメルカド以外の方がいいのかもしれない。まぁ、1店舗ずつの比較だからアレだけど。
あと、街の南部、「Iglesia de Todos Santos」の通りは、西に行くと何故かインド料理屋街がある。何で固まってるんだろう。ちょっと高いけどね。
宿に戻り、冷蔵庫にビールを入れていると、Hさんが現われ、スイカを勧められたのでいただく。おお、旨いじゃないか、エクアドルスイカ。
そこに、キッチンで調理する欧米人たちが。な、なぜだ。もうこの街なら確実に、自炊するより外で食った方が安いぞ?確かに、メルカド飯だとどうしても野菜等のビタミンが不足する。それで自炊に走ることもある。しかし……あっ!もしかして!
欧米人自体は割と街中で見かけるが、今日私が行ったような地元の人間もガンガンの店で、彼らを見ることはほとんどない。とすると、もっときれいな、観光客向けの店とかに行ってるんじゃないかな。んで、昼はそういうところで高かったから、夜は自炊して節約する私、キャハ!みたいな。
だいぶ悪意のある捉え方だが、メルカドの食堂とか薄暗いしね。ああいうのを「小汚い」と思う人がいても不思議じゃない。衛生的に……とか思うのも不思議じゃないかもしれない。これは日本人でもいるだろうが。
慣れというのは大切だが、感覚を鈍らせるものだということを改めて気づかされたのだった。
さ、そんなことより今日も晩酌♪
1Lの瓶が売ってたよ。これで1.75ドル。ガラパゴスだと、600mlで倍の値段。やはり違うね。本土では600mlは1.5ドルです。どういうことですかね、この値段は。
スナックも久しぶりだなぁ……
さて、明日はちょっと遠出しようと思う。
太古の夢が、我を呼ぶ!