第二百九十二話 たったひとつのEのために / 残す爪痕
出立96~7日目(通算346~7日目)エクアドル22~3日目 ガラパゴス12~3日目 サンクリストバル島2~3日目
買ってきたチョコパンとハーブティで朝食を済ませ、街に出る。
とはいえ、小さな町なので、昨日とさほど変わるところもないだろう。
しかし晴れている!海がキレイだ……。
まずはツアーでも探してみよう、と通りに入っていく。何とかいいものを見つけたが、日曜日のものなので、明日は暇になるのか……。まぁ、いいや、のんびり行こう!
たまに見かける街の名前看板の島版。子どもたちが屯。遠足かな?
と思ったらアシカ。
不用意に近づくと威嚇してくる。さすが地元っ子は距離感がわかっている様だ。
さて、歩いていけそうなところにいくつかポイントがある様なので、そこへ向かうことにする。距離的に、サンダルで大丈夫だな!
「Centro de Interpretaciones」という施設。ガラパゴス諸島の成り立ちを、地形~現在の保護活動に至るまで紹介した施設。
如何にして生物が同時に進化したか、如何にして人が入植したか、現在の経済状況は、という理科社会な内容が紹介されている。途中から流し読みになったのは言うまでもない。
ここから伸びる通路を更に進んで行くと、小高い丘に出る。
おお、いい眺め!水の透明度がここからでもわかる。
遠く「Puerto Baquerizo Moreno」の街も見える。
下りて行った先に海に降りられるスポットが。右隅にアシカがいる。ここで泳げばアシカと一緒もできるね。
アシカが「オウオウオウオウオウ……」って鳴いているの、最初は泳いでいる欧米人のゲップか何かに聞こえて、「汚ねえなぁあ」とか思っていたが、理由がわかって、「汚ねぇ鳴き声だ……」に変わった。
ちょっと登ったところにダーウィン像。座っているおっちゃんは、サンドイッチを食べていたので、倣って持ってきたパンをかじる。
ここからの眺めもいい。アシカやウミガメが泳いでいるのが見えた。しかし海の色が、ソーダゼリーみたいに透き通ってキレイだよなー。こんな色してるのにしょっぱいなんて理不尽だよな。ソーダゼリー味になればいいのに。
高台には機関砲が。エクアドル軍が持ち込んだ、だったかな。
そういえば前述の資料館に、太平洋戦争の影響でガラパゴスにも基地ができたってあったな。ちょっと責任を感じる一方、こんなとこに作んなよ、とアメリカに対しても思う。
ビーチに出た。ここはアシカたちの楽園でもあり、前日のシーライオンビーチにも増して奴らがいる。
「彼氏とアシカとビーチなう」に使っていいよ!
どうでもいいが、仲いいのか喧嘩しているのか不明。まぁ、雄?が私を追い払おうとしたところ考えると、雄雌なんだろうな。
赤ちゃんは可愛い!興味ありながらも少し怯えた様子で、懸命に前に進む。
こちらは波乗りアシカ。陸上でのトロさが嘘のようにカッケえぇえ!土日のお父さんと仕事中のお父さんくらいの違いがある。
木陰には土日のお父さん。まぁ、家族連れだが。
街に戻ってくる。
教会のステンドグラスも、ガラパゴス仕様だ。
宿に戻ったら、奥さんが調理中だった。
肉をさばくときはガンガン来るキャラメルちゃん。
私は優雅なティータイムを過ごしてから、夕飯の調理。奥さんが分けてくれた自家製野菜らで、サラダも付けられた。
前日のマグロはネギと炒めてネギま炒め。味噌汁出来れば完璧だったな!今回もキャラメルちゃんが来たが、今回は多少あげた。なお、その後前足をずっと私の太ももに乗せていた模様。
しかし、醤油って本当に偉大だよね……。
翌朝は、前日に買ったパンで朝食を済ませ、ダラダラしてから昼前に宿を出る。今日も快晴だ。
目当てのカフェはやっておらず、どうも土日は厳しそうなので、諦めて昨日とは反対方向に向かってみる。
空港の脇を通っていく、「Las Negritas」というところだ。5kmくらいの道のりがあり、だだっ広いアスファルトの道が、北海道の様に荒野に延びていく様は、自転車ならよかったかと考えさせられる。
採掘場がある。やはり特撮好きには外せない採掘場。いい感じだが、ここで火薬の使用は許可下りないだろうな。何の話だか。
とはいえ、地層的な面白さもありそうな断面だった。
到着。デカいウミイグアナが岩場に。まぁ誰もいないだろうかと思ったが、ツアーのスキューバ客みたいのがいた。確かにビーチにも接していて、アシカがたくさん。
こうたくさんいると、段々ウザくなってくるな。あの鳴き声もちょっと……などと勝手なことを思ったり。
相変わらず、水はきれい。右下にはアシカの赤ちゃん。1頭で泳いでいたが、魚でも捕ろうとしているのか、単に遊んでいるのか、グルグルと出たり入ったりしている。
そして地図上の情報を頼りに、ビーチの先に進んでいくが、ドンドンエッジの効いた岩場になっていく。アシカはいなくなり、ウミイグアナが大量に表れる。ちょっと茶色っぽいのが多い気がするなぁ。
これなんか、もう大戸島に現れたゴジラですよね。のしのし歩く様は迫力がある大きさ。
一応道しるべはあるが、道らしい道はなく、ビーチサンダルではケガするレベル。
ここがゴール地点からの景色。ひえー、高い。風が強くて波が荒く、ぼやぼやしてると風にあおられて真っ逆さま……なんてことになりそう。
帰りにビーチによって、ぼーっと海とアシカを眺める。水着は持ってきたが、何となく今日はイイや、って感じだ。うーむ、いかんな、完全に飽きてきた。こう、もっと熱心なあれがあればいいんだが、正直、アシカもいっぱいい過ぎて希少性がないというか、まぁ見に来いて何言ってんだって感じだが、なんか一通り見たかなーみたいな。
そんな何度も見なくてよくね?みたいなね。これはいけませんわ。
なんか新しい動物でもいないもんかなー、などと勝手なことを思っていたら、写真に撮れなかったが細い蛇がトカゲを追いかけている所と、
こちらのヤドカリを発見。近づいたら慌てて隠れたので、ひっくり返してみると、
おお、これは鉄壁の防御感!うまいこと出来てるなぁ。しばらくすると動き出したが、蟹に比べるとゆっくりだ。特性が違うんだね。
長期滞在の私に、神様からの粋なプレゼント、といったところだろうか。
街まで戻ってメルカドへ。
土曜日&14時過ぎていたこともあり、開いてる店は減っていたが、その中の一つで「Almuerzo」を。4.5ドル。
スープには肉と、この丸いのは衣のないコロッケみたいな感じのもの。
確か「エクアドルの伝統的な朝食メニュー」みたいな表記で、これが単品でいくつかとコーヒーが並んでいたのを見たことがある。それがスープに―残り物か?
メインは肉と豆。意外に柔らかくておいしい肉だった。食べてる時に子どもたちが話しかけてきた。名前を聞かれていると思って答えていたが、何度も来るので、よく聞くと「○○は英語では何て言うの?」と聞いていた様だ。
向上心があっていい質問だ。しかし生憎、その○○のスペイン語の方がよくわからないんだよ。ジャガイモくらいしかわからんかった。
近くにいたおっさんが「食ってる時に話しかけるのはやめなさい」的な事を言ってくれ、子どもたちは去っていった。このメルカド、一角に遊具スペースがあり、買い物中に子どもたちはそこで遊んでいる様だ。
宿に戻ると、御主人と奥方がテレビでエクアドル音楽の演奏を見ていて、誘われて一緒に眺める。心地よい音色と吹き込む風に、穏やかな午後の幸せな空気に包まれ、ウトウトと軽く寝てしまう。
はっと起きると、「部屋でお休み。付き合ってくれてありがとう」と奥さん。
お言葉に甘えよう。しかし、こういう家庭にお邪魔してる感、いいよね。キューバのオブさんの所を思い出す。
お昼寝して、ちょっと遅めの夕飯。
メルカドで魚買えなかったので、野菜のスープパスタに。昼が意外に重かったしね。
さて、明日は久しぶりのツアーだ。
これで最後。見に行かなきゃ見られない動物を見に行くぜ!
命の神秘が、我を呼ぶ!