第二百八十話 たったひとつのEのために / 空の手前に踊る影
出立81日目(通算331日目)エクアドル7日目 バーニョス2日目
バーニョスって、トイレって意味もあるから、正確に街の名前を言うと「Banos de Agua Santa」なんだよねー(バーニョスの言葉で、温泉で見る水着が取り立ててそそらない、の意味)。
宿では2ドルで朝食が頼める。
昨日フルーツをサービスしてもらったのもあり、お願いすることに。
パンとフルーツ、卵(調理方法は指定可能)とフルーツ(メニュー上は「サラダ」)が付くので、まぁ、いいんじゃないかな。後はパンケーキとヨーグルトかけたグラノーラを選べる。
宿の日本人Jさんは今日キトに戻るというし、他にもいた女の子も今日出るというので、ドミに一人になってしまった。閑散期なんだろうか。
さて、本日目指す場所は「La Casa del Arbol」というアスレチック施設だ。
市内に乗り場があり、Maps.meでも確認できる。
始発が11時ということもあり、スロースタートだ。時間前に既に停車していた。
距離的にはすぐなのだが、山道ということもあって1時間はいかないが、それなりにかかる。まぁ、1ドルだからそんなもんだね。
景色も結構いい。バスの座席は右でも左でも景色は悪くない。
アスレチック施設も1ドル。
見ての通り、たいして施設もないので、そりゃそうだろという感じなのだが、何故ここがそんなに有名なのかというと、この奥に見えるブランコゆえだ。
Jさん曰く、ここは混むのですぐに並ばないと、あっという間にバスの時間だとのことなので、すぐに並ぶ。
そして後ろに並んでいた、バスでは前の席だったアメリカンガールに写真をお願いする。
おお!
おお!
お分かりいただけただろうか。そう、ここは結構長めのロープで括られたうえ、アンデスの山々に向かって漕ぎだすことができる、日本人の間で通称「ハイジのブランコ」と呼ばれている状態を楽しめるのだ。
実際途中から地面がなくなり、山の斜面に。視界には近距離のものがなくなって、山と空と谷の中を舞う。ある意味恐い。
この写真はスタッフかと思いきやただの客だが、気合の入った漕ぎ方でスゲー高くまで押してくれる黒人の兄ちゃんの力によって、
そして一人で回っているっぽい(最終的に同郷の人間とつるんでいたが)アメリカンガールは、さすが、どうやって撮ってほしいかをわかっている。この彼女の力によって、実現したものである。
これはもうどんなフォトジェニックな店でアイス買って撮っても、そうそう適わないんじゃないでしょうか、インスタ女子のみなさん!掲載する写真の向きの都合で使ってますからね、何気に挑発し続けますよ、私は!
私の前に並んでいた欧米人男性が淡々と乗っていて、何だか盛り上がらず、引き換え女子はキャーキャー言っていて楽しそうだったので、声出す方向で行ってみたら、かなり良好なリアクションだったらしく、周りで見ている客たちも笑い始める始末。
「目見開いて!」とか声までかかるくらい、大笑いに歓声を上げていたおかげで、終わった後に表情筋が痛くなるレベル。でも絶対この方が楽しい。
他にもお馴染みのジップライン(でいいのか?)や、
ブランコをつるす小屋からの絶景も楽しめる。
奥の大きな山は「Tungurahua」という火山。煙出てるっぽいね。標高5016m。富士山マジ意味ねーな。
この火山のおかげで、麓は温泉町になることができたのだ。
こうしてアルプスの少女っぽい写真―まぁ実際はアンデスのおっさんですが―をゲットした私は、三十路オーバーでしかも一人という逆境にもめげずに全力で遊び倒し、小一時間で施設を出た。
狭いので混んでいなければあっという間だ。
バスは14時頃と聞いていたが、13時のがあるというのでそれに乗る。行きと同じおっちゃんの運転だ。ブランコ実はもう1個あって、それ漕いでた時に思ったんですが、結構三半規管に来るんだよね。遊園地でもバイキングだけダメなんです、私。酔うから。吐きそうになるから。
それが今、山道を走るバスによって思い出させられたのだった!なんてこった!
ちなみに近くにもう一つ、別の施設で巨大なブランコがあった。まぁ、この状況的にやらなくて本当に良かったけど。
街に戻った私は、まだ13時半過ぎということもあり、取り急ぎメルカドへ。
こんな感じで食堂が並ぶ。
この中の一つに入る。お馴染みの「Armuerzo」をたのむ。2.5ドル。
スープとおかずが選べ、頼んだことのないYaguariochoだかなんだかというスープにした。
出てきたのがこちら。牛ベースのスープだろうか、旨みの強いこってりスープで、牛のモツ類と、野菜、血が入っている。浮いている粒状のものが牛の血が固まったものだ。ソーセージに入れる国も多いが、コクをアップさせてくれて旨い。
おかずは牛肉にした。じっくり煮込んでいるからだろう。柔らかくてご飯が進む。
これは大満足だ。
さて、宿に帰ってレセプションの兄ちゃんに、片言のスペイン語でお勧めの温泉を聞きだすと、街の南西の外れにある「El Salado」がいいという。
一応バスの出る場所も教えてくれたが、2kmちょっとだったので歩いて行ってみる。
途中から上り坂になって若干後悔。まぁ、山の中なんで、過ごしやすい温度だし、温泉入るから多少の汗はいいんですがね。
途中で川を渡る。いい感じだが、野犬でも出てきたらと思うと、身が引き締まる。
バーニョスの街を遠くに望める。
思いがけず大変だったが、30分程度で到着。
ああ、いいね。
川に面していてロケーションもいいが、よく見ると川に入れるようになっている。いや、さすがに、入るか?単純な気温だけなら春くらいの気候だ。
入場料は3ドル。ここのいいところは、朝5時から20時までぶっ続けでやっている所だろう。
昨日のところは16時から18時はやっていないらしいし、他は16時で閉まると聞いた。個人的には夕方辺りからが入りたい頃だと思うんだが……。
川からの吹き曝しもあって、結構寒い。早々に浸かる。
お湯は手前の屋根の下のところは結構高いが、昨日程ではない。40~42度くらいか。個人的にはちょうどいい。
あとはぬるいところと水ばっかりだが、時間もあって年寄りと子どもが多い。エリアは自然に別れるというものだ。
この熱いところに入って、水で……と思ったが、お湯の温度が違うし、そもそも風が冷たいので、移動の間に冷える。そうなると、ぬるいお湯でお茶を濁すようになる。
まぁ、ここがちょうどいいぬるま湯加減で、ずーっと入りながら子どもの歓声や遊ぶ姿、現地人の言葉に耳を傾けたり瞑想したりしているのにちょうどいいんだな、これが。
一応川にも、暑いお湯の後で入ってみたが、修行レベル。勢い強いし、段差あるから、肩から滝に打たれてるみたいな。これ子どもが入ったら確実に下流に流されるわ!
こうしてたっぷり2時間は堪能して、施設を後にした。やっぱ温泉最高。あ、もちろんビバノンロックは歌いましたよ?
宿に戻る途中に買い出しをして、18時過ぎたが昨日のカフェに。
なんとなくそんな気もしたが、今日もドリップコーヒーは出せないという。仕方ない。
エクアドルはやっぱりカカオの国だよね!ということで、「チョコラテチャイ」なるものを頼む。
2.5ドル。
見た目昨日とほぼ変わらんが、後味に香るチャイの風味。懐かしい。インドのチャイ、うまかったなぁ。
宿には犬と猫がいる。猫がかなり大きい。両方ともめっちゃ撫でていたら、レセプション周りにいると求められるようになった。それはそれでメンドい。
ビールを見つめる猫。飲みたい私の気持ちを代弁しているようだ。
どうでもいいけど、小瓶(330mlくらい)1.1ドル、大瓶(750mlくらい)1.35ドルっておかしくないですか。
夕飯は食材の残りがあるので、シチューを作った。パンを買ってきたわけだが、翌日食べる分合わせて4つで0.7ドルだから、これは悪くない気がする。
やはり温泉はイイですな。皆さんもこの週末、ゆっくりお湯に浸かってはいかがですか?
明日は最終日だ。最後まで温泉を楽しみますよ!
聖なる泉が、我を呼ぶ!