第二百七十五話 たったひとつのEのために / サタデー・マーケット・フィーバー
出立76日目(通算326日目)エクアドル2日目 オタバロ2日目
朝食という程でもないが、フルーツとコーヒーはあると聞いていた。パイナップルとバナナだね。昨日の夜突然現れて、私のグミを食べて去っていた子どもは、どうやらスタッフの子だったらしい。
さて、オタバロは土曜市が有名で、時期的にちょうどいいので泊まっていたわけだが、同じ部屋にいた女性が7時前に出掛けていたが、既に市は始まっていたというので、準備整えて出掛ける。
オタバロの土曜市は、民族用品を扱う市として南米一の規模を誇る。何と街の1/3に店が立つというのだからその規模がわかってもらえるだろう。
まずは女性にも勧められた「動物市」を目指し、街の外れへ向かう。
道すがらですでに縛られた足を掴まれていたり、網に突っ込まれたりしている鶏や、トラックに乗せられている羊、牛を見かける。これはすごそうだ!
豚。デカい。
牛。子牛もいて可愛い。連れて行って大きくして……
馬と羊に
天竺鼠とウサギ。確か前者も「クイ」という名前で食用にされていた気がする。イピアレスの街で丸焼きにされているのを見たが、まぁ、毛がないとこうなるよなーって感じであった。
ひよこ状態から段階を分けて売られている鶏とか。こうやって飼育されて食用にされている限り、種は残り続けるだろうが、これは幸せなんだろうか……とか考えてしまう。
ひよっこ、あと一週ですね。
ここでしか売っていないもの?として、大量の太い紐。そうです。家畜を引っ張るためのものです。これが必要になるというのが面白い。
その傍らに座る女性の前にあるのは貝?いや……カタツムリか?
動いていないところを見ると、締められるとか茹でられるとかされているんだろうが、今はまだ勇気が足りないし、少しのきっかけが足りない。つーか、一人で食っても空しいだろうなぁ……
とにかく規模がデカいため、どう写真に収めたもんかと悩むところだが、どこまで行っても店がある。
ガソリン不足のため、屋台の店で飯を食うことにする。
ハイ、こちらの強力なビジュアルに引かれて。豚の丸焼きの肉をそぎ、昨日と同じコーンやポテトの塊、野菜なんかの上にオンしてサルサを豪快にかけたプレート。2ドル。
試食をまず食べさせてくれ、その隙に完成させてくれる。
臭みもなく、大変ジューシーでうまい。さっき見た豚と同様に、あそこで買われたのだろうか。そう思うと感慨深いとか考えずにガツガツ食べた。
店は繁盛している。すぐ横に同じ形式の店があり、同じ様に豚が丸々いる。これってこいつらがなくなったら店仕舞いなのか、もう一頭持ってくるのか……気になるところだ。
出ました、謎の覆面。
どうやらこれがオタバロ族にとってのシンボル的なものらしく、大小様々なサイズが散見される。
街の街灯にもこのように使われたり、ホステルにもこのイラストがあったりする。
チラリと日本語が聞こえて振り返ると、日本人女性2人がこれを物色している所だった。えっ?買うの?何に使うの?強盗か夜の特殊プレイしか浮かばない。
物色するにしても何せ広い。一応エリアごとの特徴はあるようで、昨日も市場があった広場周辺に民族衣装系、離れるごとに日用品が増え、観光客→地元民という形に客層が変化している。間を縫うように飲食用の店もあり、ドリンクや軽食、カタツムリ等がある。
冷やかす分にはいいが、実際買うとなると悩むもので、トイレも行きたいしで面倒なので一度ホテルに戻る。
道すがら、ちょっとしたパフェ的なものを購入。1ドル。マスカルポーネチーズっぽいクリームとアイス、ウェハースがのっている。これで小休止。こういう意味でも宿取っておいてよかった。
さ、リブートだ。
目当てのものにめぼしは付けていたので、あとは気合を入れて値段交渉が必要。これが楽しくもあり、めんどくさい。ただ、コロンビアに比べて数字の単位が小さいので、スペイン語でもすぐに価格がわかるのが嬉しいところだ。
オタバロ族は繊維加工が得意で、スペイン統治時代からゴリゴリ産業にしていたというから、ポンチョなどの民族衣装系の店舗が多いが、雑貨系も結構面白い。
左のチェスはインディヘナとスペイン軍が駒になっており、侵略戦争を再現できる。インディヘナ側のナイトがリャマ?アルパカ?なのも芸コマだ。
右のかまどにかけられた肉類は邪魔な模型やな、と思ったらお香を焚けるようになっていた。肉の香り以外がするというのも何とも不思議だが、アイデア商品だね。後はビールケース型栓抜きというのも結構いい。
Tシャツ屋。柄のセンスが、これまでの3つの国より格段にいい。
ここの前でオタバロ族の老女に「こんばんは」と話しかけられ、それに返していると、日本人H女史に話しかけられた。彼女はエクアドル3度目で、このTシャツ屋の家族の元に寄宿しているという。
なんでもTシャツ屋のオヤジさんがミュージシャンらしく、日本にも年一で数カ月、演奏に来ているそうだ。オヤジさん、日本語ペラペラ。エクアドルの情報をもらったり、こちらの状況を説明したり。
どうもアジア人は警戒されるようで、空路での入国時、結構面倒だったらしい。過去にクスリとかでやらかした奴がいたんだろうな。本当に、後に続く人間のことを考えてほしいものである。
というか、ちらほらとマリファナクリームみたいの売ってる奴市場で見かけた気がするんだが……。
困ったら連絡して、と言ってもらえ、なおかつディスカウントまでしてもらえたんだから、本当に運が良かった。よっしゃラッキー!
このまま宇宙一のラッキーを保って次の街を通過してぇ!!
そういえば、オタバロ族はモンゴロイドらしく、日本人の様な容姿の人が結構いる。それでも黄色の民と赤の民の違いで、肌の感じが違うから一致はしないんだけども、地球の裏側に同じ民族群があるというのもなんだか不思議な気分だ。
チョイと遅い昼飯を、昨日のメルカドまで行って食べる。
呼び込みとメニューの金額に惹かれて、こちらの店にした。
カレーに見えるこちらは「Guatita」。1.75ドル。
ジャガイモと鶏肉を煮込んだ料理で、クリームシチューのご飯に合わない要素をすべて除外したような料理。つまり、飯と一緒に食える、辛くないカレーといったところ。
テーブルの上のサルサを加えれば辛くなり、東南アジアのカレーみたいな感じになる。うん、これはコロンビアにはなかったね!
他のメニューはコロンビアでもよく見たプレート定食で、内容に大差はなさそう。どうやらあの形式は南米共通のものらしい。
買い物も満足したので宿に戻り、時間を見て夕食の準備をする。
昨日パスタに使った残りの野菜を炒め、こちらのラーメンにオン!内容量100gと、デフォルトで多い。エクアドル人も恰幅がいいことを考えると、やはり太りやすい食生活何だろう。まぁ、屋台グルメからして、甘いものと肉とポテト主体だから、そういうつもりなんだろう。
スーパーに並ぶ野菜が日本並みの価格ということを考えると、経済的な問題もあるのかもしれない。
味は薄く、結構普通。麺の感じもメキシコよりましな気がする。
ビールは2種類。「PILSENER」はアルコール度数抑え目で、南米らしく薄味。
「CLUB」は酸味があり、上よりも濃い。両方とも悪くないが、今のところコロンビアの方がビールは旨いかな。
さて、明日は首都・キトへの移動だ。キトも屈指のクライムシティというから、再び気を引き締めなければなるまい。
レッドラインが、我を呼ぶ!