新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第二百六十六話 Cの時代の愛 / Die another day

出立62日目(通算312日目)コロンビア10日目 グアタペ2日目

 

 

海外の病院に行くことになったのは、これで二度目だった。一度目は黄熱病の予防接種。そして今回は治療のためである。何ゆえなのか、時間を巻き戻してみよう。

 

宿には有料の朝食があるが、10,000ペソはさすがに簡便ということで、街に出る。

雨が止むのを待ったため、時間は10時。ぼちぼち店も開き始めた。

 

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パン屋兼カフェテリアでこちら。

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ミルクコーヒーとエンパナーダ亜種、チーズ使ったちょっと甘いパン。亜種はチキンたっぷりの山型で、「Piedra del Penol」を意識しているのかもしれないし、していないのかもしれない。チキンの出汁も効いて旨い。パンの方はまぁ、普通。思ったよりおいしいのでよし。メキシコで最初に食べたパンのイメージが抜けない中南米編である。

 

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街を歩いてみる。

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曇りなので、あまり写りはよくないか?

 

宿に戻る。曇りなので少し肌寒い。一人でカヤックとかも死にたくなりそうなので、宿の案内にあった「滝まで歩いてみよう」に挑戦することにした。

 

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宿の前からの景色もいい感じ。

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怪鳥が羽を広げるサービスショット。

 

地図上にない場所のため、宿の文字案内のみが頼りだ。早速歩きはじめる。

 

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「Piedra del Penol」とは反対の方向に進んでいく。グアタペ越しの「Piedra del Penol」もなかなかにいい。

 

こうして順調に進んでいた私だが、釣りも楽しめる「マスの養殖場」に入ったところで迷ってしまった。説明では、この中に入ってどこかに行くはずなのだが……ウロウロしていると、犬の遠吠えが聞こえた。二匹の犬が駆けてくる。最初はようわからなかったが、どうやらこっちにめがけてきている様だ。ゲッ、ヤバいか?

 

しかし判断の遅れがマズかった。距離を詰めた彼らは駆け出した私に襲い掛かり、一匹がふくらはぎに噛み付いた!

……うわっ、やってもうた。すいません、皆さん。間違えました。犬の数え方は「頭」でしたね。

その後も何故か敷地の外に出る道を塞ぐという意味不明な威嚇を繰り返す犬達を何とか振り切る。いやー、この理不尽さ、シビルジャッジメンターさんみたいですわ。

 

取りあえず傷口を小川の水で洗う。透き通ってるし、そのままにしておくよりいいだろう。幸いというか、若干皮膚の下が出ている箇所があるが、流血には至っていない。薄手とはいえ、長いカーゴパンツを履いていたことが幸いしたのかもしれない。

 

しかし、やはり気にしなければならないことがある。そう、狂犬病だ。

もう滝とか言ってられないので、宿に戻る。消毒液で消毒し、狂犬病のことを調べ、病院の場所を聞く。「マジで?」みたいな感じだが、重要性は認識しているらしく、すぐに教えてくれた。

 

少し迷いつつ、病院に付き、受付へ。午後のためか、医者たちも私服の人がほとんど。事情を説明すると、「見せてみろ。あーあー、痛そう」みたいな感じだ。そ、そんな感じなの?!

 

待っていると看護師がやって来て、事情を聞かれる。当然彼女はスペイン語で聞いてくるが、こちらもわかる範囲でしか答えられない。おそらくしつこく噛み付かれたかとか、そんなことを聞いている様だ。

その後、消毒と蒸留水による洗浄が行われ、医師たちが来る。要領を得ないので、英語で状況を説明と相成った。そして注射。

一人の医師がGoogleさんを使って日本語で治療について説明。

「彼女が消毒して、それから注射を打つ」うん、もう終わってるね。

「あなたは傷口をよく洗え」そうかい。っていうか、これも意訳だ。やはりまだまだGoogle翻訳さんも改良の余地がある様ですな。

そしていざ清算である。「消毒時に一杯蒸留水を使ったので、シンコミルだ」という。

シンコミル……5,000!?

いやいや待て待て。外国人の私が注射までしてもらって200円いかないはずないだろう!しかも理由はそっちなのか!?と思ったが、翻訳を見ても実際に支払っても5,000ペソだ。しかも一応持ってきたパスポートも特に確認されない。何だろう、いいのだろうか、これで。

 

狂犬病についての詳しい説明は他のサイトに譲るが、「狂犬病に感染した犬に噛まれると、10日~2年ほどで発症し、発症したら必ず死ぬ」ということらしい。

人から人にはうつらないが、感染しているかは噛んだ犬が2週間後くらいまでに発症しないかどうかでしか図れない。更に「狂犬病ワクチン」は数回にわたって接種の必要があるらしい。一応2年前に予防接種受けているが、この予防接種というのも実際噛まれたらワクチンは投与しなければいけないという、最早やる意味あんのか的なものなわけだが、そういう事情を一応調べていた私は、「また来る必要があるか」と当然尋ねる。

「いや、もういいよ。傷口良く洗ってね。熱出たらその時に」みたいな感じ。「石鹸使ったりとか?」「完璧だね」

本当だろうか。

しかしどこで噛まれたかも説明したし、傷口も見てもらった。現地の医者にしかわからんこともあるだろう。調べてみると、噛まれてすぐに水で洗う、石鹸水で洗えば狂犬病のウイルスは弱いので効果があるというのだ。

しかし…わからんな!

 

取りあえずメデジンでもう一回聞いてみるかなぁ。まぁ、ここでできることはもうないので、お礼を言って病院を後にする。

 

宿に戻ると状況を聞かれたので、説明。そこからは各国の犬の追い払い方等に話が移り、コロンビア人は美人が多いという、もうそら男が集まったらそういう話ばっかですわ!みたいな状況になった。

 

とりあえず、よく変な男に散々な目にあわされると、「まぁ、野良犬にでも噛まれたと思って……」とかいうが、それって大事やないかぃっ!!!と声を大にして言いたい。

 

まぁ、犬は職務に忠実に、領土を守って奮戦しただけだし(釣りに行った普通の人はどうなるのだろうか。何かルートでもあるのか、気になるところだ)、こちらも判断が遅れたとはいえ、ちょっとやりようなかったね。

かくして唯一の長ズボンにはリアルダメージが刻まれ、これから寒いとこ行ったらどうしようかな、縫った方がいいかな、という新たな疑問が生まれてしまった。

 

もうやることもないし、昨日気になっていたカフェに向かった。

 

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「BLACK HOLE」はドリップをはじめとした4つの抽出方法が楽しめる専門店で、もちろんEspresso系もある。

ドリップを頼んで目の前で淹れ方を見ている傍らで、カップルの頼んだスタバ系のゴテゴテコーヒーが出てきたから間違いないだろうww

 

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店内にはテーブルのみのため、紙コップで出てくる。店の名を冠する豆もある(挽いた奴だけだが)。これで6,000ペソ。

うむ。香りはチョコレートみたい。酸味とフレッシュさが強い今どき風で、苦味等はさほどなく、後味もスッキリ。飲み続けるとコクが蓄積される感じがあるが、コロンビアに入ってからいい感じの店がみんなこんな感じだけど、これが特徴なのだろうか。

 

それにしてもチェーン店のコーヒーですら既にレベルが高く、今のところ各都市に一店舗はスゲー旨い店があるというのは、流石コーヒー大国である。

 

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と思っていたら馬軍団登場。馬蹄が石畳を叩く音が心地いい。この後、道に馬糞が散見されたのは言うまでもない。

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街歩きも再開。昨日と逆アングルから。

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結構至る所カラフルだ。

街の人たちも結構明るい。笑顔で挨拶すれば、お年寄りも、かわいいあの子も、ちょっと怪しい兄ちゃんも、みんな応えてくれる。アジア人が珍しいというのもあるのか、よく見られるからこちらも挨拶するのもあるが、心が洗われるね。

 

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アートも。家の下の方にある浮彫のカラフルな絵は、家ごとに異なっていて、キリスト教モチーフの他、ハトだったり、このように「Piedra del Penol」だったりと、

 

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湖畔の少女の像はちょっと日本のアニメ的?

 

いろいろと、後悔が残るといけないなぁと思い、湖畔のアクティビティに。

要はハーネス付けて、ロープを伝ってターザンみたいな奴だ。15,000ペソ。さっきの治療費の3倍やんww

 

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4人になるまで待って、自動で登っていく。こんな感じで。

そして頂上に着くなり、先頭の人は連結を解かれて2秒くらいで発車。えぇっ!?

彼は心の準備が出来ていたのだろうか……。

 

来るときちょっと高くてビビっていたが、動き出すと何ということはない。景色の良さと爽快感で、あっという間にゴール……しないっ?

よく見ると、既に次の人たちの装着が始まっている。ひょっとして、なんかそのためにこんなことになってたりする?

 

終わってから改めてチケットを確かめてみると、番号が……

 

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不吉すぎる。

これは笑いの女神さまが再び本気出し始めたってとこだな。もう、冗談が過ぎるぞ♡

 

湖畔を眺め、宿に戻る。レイクサイドヴューという名の通り、これを見ながら過ごさねば、ここにした意味もないしね。

 

さて、夕飯。

我がホステルのテラスにはタイ料理屋があり、っていうかこれ目当てでここにしたのに昨日やってないし!みたいな感じだったので、挑む。

 

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レッドカリーチキン。ビールも付けて、チップも入れて、30,000ペソ。うむ、これまでで最高額なのがお分かりいただけるだろう。しかし後悔している場合じゃないかもしれないので、日本で食うと思ってね。

 

本場の味かどうかよりも、こういう感じの味が楽しめてよかったな、という、いや、普通にうまいしね。タイにもまた行きたいですねぇ。

 

明日にはここを去り、再びのメデジンだ。

 

あ、えっと、しつこい様ですが、噛まれた箇所はそこまで傷深くも広くもないし、すぐに洗って病院行ったし、メデジンセカンドオピニオンも念のため行きますので、くれぐれもご心配なく。

まぁ、銃で撃たれて死ぬ方が確率高いと思うので、そっちの無事を祈っていただけると幸いです。

 

コーヒールンバが、我を呼ぶ!