新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第二百三十一話 M・オブ・デス / 壁は越えていけ

 

出立5日目(通算255日目)~メキシコ 3日目 メキシコシティ3日目

 

 

22時近くに、私は胃の腑にテキーラの熱さを感じながら、雨の中を一人、走っていた。

一体なんでこんなことになっちまったんだ!

 

 

遡ること15時間。

ペンション・アミーゴは朝食付きだ。パンとおかず、コーヒーが早い者勝ちで食べれるので、さっそく参戦。管理人夫婦の他、C女史と旦那さんもいた。

全く世代が違ったようで、漫画の話が一つもかぶらなかった。マジか……。

 

さて、本日の目的は、黄熱病予防接種を受けることである。

説明しよう。黄熱病の予防接種証明書(通称イエローカード)は、南米の多くの国に入る時に必要になるものなのだが、私はそのことに出発前日に気付くというまさかのバカサバイバーっぷりを発揮。

いやー、完全に抜けてたね!

とはいえ、そもそも私がいる県では受けれないし、中米から南米行くヤツだっているだろ、と調べてみると、おお、外務省が教えてくれていた!

 

1番上は要予約だが、問い合わせフォームがあり、これは生きているっぽい。ただし、変身は二日以内なので、これでは間に合わない(まぁ、結果的に間に合ったけどね、エアチャ…)。

4番目は電話予約だから除外。3番目は何でか忘れたけど除外。ということで、2番目の住所を確認しておく。

ただ、お役所仕事に穴があるのは常なので、ここでアミーゴの情報ノートからも仕入れた場所を控え、一路、メトロに乗る。

 

まずは外務省のHPにある方へ。苦労して見つけ、入ってみたが、「No」の一言。

何かスペイン語で理由を言ってたけど、ダメということは確かそうだ。ほら見ろ、お役所仕事が。まぁ、こういうのはね、刻々と事情代わるから仕方ないけど。

 

最後の頼みと情報ノートにあった「Centro de Salud Dr.Angel Brioso」へ向かう。

受付にスペイン語で「黄熱病の予防接種」と書いたメモを見せると、あそこだというので向かう。係りのおばちゃんが、表の張り紙を見ろと言っているっぽい(何せスペイン語)。

いや、まったくわからん!

しかもネットの力もお借りできない!これはピンチだ……。

 

戸惑う私に助け舟。同じくやって来た兄ちゃんと、母娘の二人連れが何が必要か英語で教えてくれたのだ。メキシコの英語教育、でかしたぞぉおおおおおおっ!

お待たせしました、必要なのは以下の通りです。

  1. パスポートのコピー
  2. そこにメキシコ国内の住所(ホテルとか)と
  3. 行こうとしている国(1か国でOK)
  4. いつ行くのか
  5. どれくらいの期間行くのか

を書きこんで提出するのだ(④と⑤は大まかで良さそう)。

 

幸いコピー場所もお母さんから聞け、住所も控えてあったので何とかなった。途中で挫けないでよかった!

病院のおばちゃんは注射に際しても、執拗にスペイン語で話しかけて来る。なにか、不満でもあるのだろうが、少しの単語と文法が聞き取れただけで自分をほめてあげたい私に伝えるのは無理だぞ!!

当たり前だが、スペイン語が分からないこっちが悪い!皆は最低限のスペイン語は控えておこうな!

 

無事に終え、母娘の二人にお礼をいう。彼女らとその前にいた夫人は証明書を受け取り、バーイと手を振り去っていく。ありがとう!思えばお母さんは痩せたキレイな人だったし、娘さんもかわいかった。こんな人もいるんだな、メキシコにも。まぁ、白人だったけどなぁ。

 

とか思っていたら、突如診断室の扉が閉まった。な、なにっ!?

張り紙をもう一度見ると、時間は平日8時半から12時半と、15時から18時となっている。今は12時40分。

ま、まさか、このまま15時まで待たせる気じゃなかとね!?い、いや、ありうる!中国なら確実にそうだし、メキシコ人もそういう、時間外労働と課せずにシエスタを大事にしそうだし!いや、でもどうなの!とソワソワしながら待っていると、無事受け取ることができた。

ふー、やれやれ、脅かしやがって。

と思っていたが、もらったカードは白く、イエローではなかった。

(宿に戻って翻訳してみたが、きちんと黄熱病予防接種受けましたの証明になっていたので、おそらくい大丈夫。まぁ、他の人たちも同じの受けてたわけだし。

 

では後に続く方のために、一応住所も記しておきます。

Benjamin Hill14, Col Coudesa

メトロ駅「Juanacation」下車 google mapで確認し、maps.meで記録しよう!

 

メトロに乗って、お土産市場こと「シウダデラ市場」へ。

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かわいい小物や衣服が目白押しだが、どうもお土産を買う気が起きない。まぁ、まだ3日目だし、思い入れがそもそもないしね。もう少し待とう。

 

帰りにメキシコ革命博物館前を通る。

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メキシコ革命の指導者たちの霊廟などを兼ねているが、元の政府の元では省庁か何かになる予定だったとか。

 

そしてお昼はもちろんタコス!

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屋台で売っているもので、肉は選べた。おそらく牛と豚?1つ8ペソで計16ペソ。しかし、タコスの値段はピンキリ過ぎる。

玉ねぎなどものった、お馴染みのスタイルで、奥はサルサ・ランチュラ(赤)とサルサ・ベルデ(緑)かな。どっちも辛い。屋台ということで、地元民もたくさんである。

 

宿で休んだ私は、まだ見ていない場所を見ようと出掛ける。足腰が少し痛い。

 

公園の横にある「ベジャス・アルデス宮殿」。

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もとはその名の通りだが、今はオペラハウスとして使われている、外観はアール・ヌーヴォ様式だそうな。若者たちが屯していたな。

 

そしてソカロの横にあるのにスルーしていた、テンプルマヨールへ。

 

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ここは古代アステカ帝国の大寺院だ。メキシコシティは先にも記したとおり、古代都市ティノチティトランがあった場所であり、スペイン人に破壊されたために地下に埋まっていた。電力会社に1970年代に発券されるまで土の下だったのである。

 

エントランスで話しかけてきたメキシコ人学生O君。スペイン語、英語、フランス語、イタリア語を使い、ギリシャ語と日本語も勉強中という、もうすご過ぎて意味が分からない若者である。

彼が英語でのガイドをかって出てくれたおかげで、ぼろいなー以外の情報が入ってきた。というか、いいから調べてから行けよ。

 

以下、O君情報である。

ここはかつてピラミッド状の宗教施設であり、5層からなっていた。スペイン入植時にこれを破壊し、奥に見える先日紹介した「Catedral Metropolitana」と「Sagrario Metropolitana」の材料にしたらしい。ひっでぇな、スペイン!!

そのため、現在は土台部分のみ残っている。

 

面白いのが、このピラミッドは二つの神を左右で分けて同時に祭っていたこと。正面から右がアステカの太陽神・軍神ウィツィロポチトリ」、左が雨の神「トラロック」の領分になり(写真は背後からなので逆になる)、それぞれに配置された蛇の意匠は、神々のカラーに合わせて黄色と赤、青と赤になっている。

 

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トラロック側の中心。うっすら青くなった像が確認できる。

トラロックは子ども殺されまくって流した涙が雨になったとかで、雨の神らしい。アマゾン虐殺する兵器の名前とは、何とも皮肉な名前である。

ちなみに「女神」と『地球の歩き方』にはあるが、取りあえずここの解説では「he」であった。その辺はふわっとしてるらしい。

 

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これは魔除け的なもの。本来は敵の首を斬って棒で横に連結したものを並べて使ってたらしい(ひえっ)。確かに、骸骨イメージのものがメキシコは多いが(神様にもいるし)、そういう意味があるなら納得だ。

 

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ちなみにスペインのリスペクト0感が伝わってくる話として、遺跡の中を巨大な管が通っているが、これは水道施設だったころの名残。おかげでここ自体浸水してたらしく、冒頭の写真も遺跡全体がアーチ状になっている。つまり水没で地盤が歪んでいたのだ。本当にスペインは!

 

博物館内にはここから見つかったものが多数。

 

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コヨルシャウキ。先日の博物館で見た、下図の地母神コアトリクエの長女にして月の女神ともされている。

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手足がバラバラなのは、コアトリクエがウィツィロポチトリ妊娠中に、それを不義の子とキレて殺そうとしたため、生まれたウィツィロポチトリに、徒党を組んでいた兄弟もろとも殺害されたから、らしい。コエーよ。

 

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向かって左側が「悪神」。まぁ、そうだろうな。右は「シペ・トテック」という死と再生の神らしいが、自身の皮をはぐことで恵みを与えるらしい。ひえっ!

 

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O君一押しのトラロック。当たり前だが、博物館内はトラロックだらけ。目の周りのリング状のものが、水を象徴するものらしい。

 

博物館見学中に、地元の女学生に声を掛けられた。外国人が当該施設を訪問している理由などを調べているらしい。ふわっとした考えで来ていたことも相まって、答えに窮すとO君が助け舟を出してくれる。お前、いい奴だな!!女学生も珍しく痩せたかわいい子だったのも驚きだったが。

この博物館でもO君はガイドしてくれ、それを聞いていたギリシャ人のZ女史も加わった。

折角だし一杯やってくか、となり、店を探していると、道を尋ねた際に親切に教えてくれたS女史も何故か加わることとなり、四人で酒場へ。

このS女史も+ギリシャ語が分かる、少なく見積もってもトライリンガル。メキシコ人は語学に強いのか?

 

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アロエを原料にした酒で、名前はプルケ。ヨーグルトっぽい甘酒に後味がコーンっぽい。メキシコの伝統的な飲み物で、日持ちがあまりしないようだ。そら、初めて聞くわな。

 

お隣でタコスを。20ペソ。

 

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ザ・屋台飯だとオマール君がいう通り、たくさんの地元民で溢れている。生地を受け取り、乗せる具はバイキング形式で好きなだけ、というスタイルだ。

驚いたのは味付きのライスがあったことで、「炭水化物オン炭水化物やんけ!」とおののく私の前で、「これが地元民スタイルだ」と豪快なO君。

それに倣って大量に乗せたらこうなった。

更におかわりを進められ、今度は辛めに炒めたノバルにサルサ・ランチュラとベルデをかけたら、猛烈な辛さになり、後悔。あまりの辛さに身もだえる私を撮影するS女史。

地元民にも笑顔を提供し、大満足な夕食だった。

 

最後にバーというか何というかで、テキーラと黒ビールを飲む。買うのも面倒らしいメキシコではほとんど飲まないかなぁ、と思っていたら、今日一日で酒体験増えまくりだった。

 

しかし連日の疲れなども重なり、リスニング力も低下の一方。もうダメだ、これ以上はどうにもならん!と感じているうちに解散

 

その後、件の時間に雨の中を慌てて走り、サイボーグ戦士の横をすり抜け、宿に舞い戻った。22時か……。若干治安が悪いと言われるこの辺、まぁよかったわ。

 

確かに昨日、「早々に日本人集団に入るのはいかがなものか」と思ったけどさ。こんなにそんな感じになるのか。まさに天が我が意を汲んだといえるな。

 

さてと、明日はメインその2ですな。

 

カリブの海が、我を呼ぶ!