第百七十五話 Tはわかってくれない / 遠き町エフェス
出立23日目(通算186日目) トルコ22日目 セルチュク2日目
朝、勝負をかけるしかない!と朝食後に宿を出た。既に日差しは強いが、幸いにも目的地までは並木道で日影がある。
この時の僕は、まだこれから待ち受ける試練を、知る由もなかった。
宿の朝食はハム類はなかったが悪くなく、特に手製の卵料理がなかなかによかった。
これで1泊26.5TLならかなりいい。まぁ、部屋のコンセントの位置とWi-fi届かないのはアレだが。
目的地までは3km程度。バスも出ている様だが、気になる距離ではない。日が当たらなければ風通しも良く涼しいのだ。
見えてきたのは、エフェス遺跡である。
ヘレニズム時代からの遺跡が並ぶ古代都市で、かなり広範囲に及んでいる。
エントランス前からすでに遺跡がいくつかある。
欧米人を中心に、中国人も多くみられる。フッフッフッフ、腕三本で殴られようが屁のツッパリですよ。
体育館後。もう街なんで、いろんなものが点在している。後ろに見えるのが、劇場。
はい、大劇場アップです。デカいですねー。なんかこれ系連続してきたからありがたみなくなってきたけどねー。
後年には剣闘士の試合会場にもなったとか。
その前に伸びるアルカディアン通り。皇帝の名を冠したとか。まだ入って間もないが、既に日差しの強さでキツくなってきたぞ!
娼館前の謎の足形。一応広告らしいが、これを含めてこの手の記号は多く、諸説あるらしい。
個人的にはローマなのにエジプト型かーという点が気になる。
あ、エジプトから奴隷連れて来てるんだっけ?うーむ、そうすると意味深だな……。
続いてケルスス図書館。正面には知恵、運命、学問、美徳の意味を持つ女神像が並ぶ。
ま、これはコピーらしく、これも修復されてものらしい。
往時は12,000もの蔵書があったというが、まぁ、すごそうだな。
公衆便所。
「地球の歩き方」では「今でも使えそうな~」とあったが、僕はこんな丸見えなの嫌よ。だって、長時間になったら、隣あった人と微妙な空気絶対流れるじゃないの。
「テラスハウス」だって。
集団住宅みたいなもんか。上流階級の住宅跡と言うが、ちょっと想像できない。
ハドリアヌス神殿。
女神ティケやメドゥーサの彫刻をはじめ、動物や皇帝の像も彫られている。ハドリアヌス帝に献上された建物らしい。
トラヤヌスの泉。
これもトラヤヌス帝に捧げられたとか。修復かー。
……ね?多いでしょ?これでも半分程度に絞ってる。すなわちだ、もう後半なんか飽きてくる。だんだん誰のなんだとかどうでもよくなってくる。しかもこの炎天下だ。日本と変わらない感じの温度で歩き回ってるから体力が削れてくる。
ま、でもせっかくだから続けるぞ!
ヘラクレスの門。
ニケのレリーフ。これが門の上に乗っていたアーチらしい。
ポリオの泉。ポリオさんが作った。
ここらでもう、水も尽き、売店へ。330mlのコーラが6TL=約230円だとっ!?足元見やがって!これだから観光地は!超うまかったけどな!
クールダウンして、再び歩き出す。人も多いし、もう熱中症になりそうだよ!
(ちなみに、南の端に達したので、折り返してみてないとこ見てます)
ヴァリウスの浴場。2世紀につくられた、床下暖房有の典型的なローマ風呂らしい。
ん?テルマエやんけ!阿部寛が作ったんやな!?(錯乱)
オデオン。
音楽堂で、300人程度の収容人数。劇場より規模小さい集会にも使われたとか。
市公会堂。
柱数本しか残っていないが、かつては絶えず聖火が灯され、選ばれた市民がそれを守ったという。ふーん。
だいぶ戻って、北の入り口から入る聖母マリア教会。バシリカ様式なるもので建てられたらしい。ここで宗教会議が2回開催されたとか(キリストの神性やマリアの聖性。ふーん)。
いや、もう、全く分かりません。
他にも市場やら競技場やらいろいろあるが、もういいだろ、十分だ。
できれば2日くらいに分けてみたいけど、30TLもするし、遠いし、暑いし、もういいだろう感。
何か当時の心情に沿ってマイナスなことばっか書いちゃってるが、遺跡自体はかなりスゴイぞ!まず圧倒的な規模!修復もあるとはいえ、当時をしのばせる多くの遺跡は魅力的だし、町単位で残っているから、当時が想像できるのもいい。写真では無理だが、ひとつながりの情景として次から次にあらわれる遺跡を見て歩けば、ローマの民となったような気持ちになる。
この旅で最大規模の遺跡であることは言うまでもない。まぁ、アンコール遺跡とかあるけどな。
ヘトヘトになりながらホテルへと戻った。まだ1時過ぎだが、使い果たした感でダウン。寝て本読んだりして夕方を迎えた。
夕食は昨日と同じ店へ。
今日はエフェスビールとラム肉。28TL。
ラムは臭みが苦手という人も多いが、人間と同じで、クセのある方が僕は好きだなー。
シンプルな味付けで嫌みなく、肉本来の味が出ていてよかった。この辺は、中国で食った山羊の脂ぎった安い感じとは違うなー。
ただ、会計時にひと悶着。メニューの写真には18とあったが、文字列には20とあった。前者と思っていたので、確認してもらったのだが、途中でもうよくなり、28で支払った。そこで店主が「2TL返すよ、ハッピーじゃなければ」という。
ここで思わず笑ってしまった。日本なら「メニューの表記が間違っていたから」だろうし、勝手に高いもの食わせてその額を払わせるインドでは絶対そんなことは言わないだろう。
「ハッピーじゃないなら」というのが何とも愉快だ。トルコ、いい国だなぁ。
フルプライスを払い、店を後にした。
暑さを抜けば、この街は過ごしやすい。しかし、そろそろ次の国にも行きたくなってきた。
明日は移動しようと思う。