第百四十八話 Nにラブソングを / ステイのゴロー愛
出立157日目 ネパール11日目 カトマンズ2日目
生憎の天気に歓迎されて目覚める。汚染された空気も多少は洗い流されればいいが。
ダラムサラで会ったM君から、「ぜひ行ってください」といわれた、「Sai’s bakery」へ。
「桃太郎」の手前の道を入る、かなり入り組んだ路地にあり、しかも看板はない。
建物の中に入ると、書きなぐられた店名があるくらいだ。
クリームドーナツとチャイ、20+15R。
この圧倒的なドーナツのボリュームは(朝から)スゴイ。
プレーンドーナツ(15R)を半分に切って、生クリームを塗りたくった感じ。
店内には多くのネパーリーがあふれ、進運を広げている人もいる。朝の社交場、といったところのようだ。
ホテルに一度戻ると、Eさんは今日、ここを出るとのことだった。
彼女がいなければ、実現しなかったことも多々あった。感謝感謝である。
街の中心地から離れ、「テンプー」というオート三輪に乗り込む。
ローカルの足ということもあり、僕以外は全てネパーリーだ。初々しい女子高生も乗ってくる。
しかし、ネパーリーの顔はインド系~モンゴリアン系と、かなり幅がある。女子高生たちも系統がまるで違う三人組だ。
40分くらいだろうか。テンプーは目的地・ボダナートへと到着する。
ここにあるのは、チベット仏教の聖地のひとつで、ネパール最大のストューパ。中国侵攻後は文化的中心地のひとつになっているようだ。
これは15世紀に再建されたものらしく、元のものはあ案の定、イスラムに破壊されている。
お前らさ、ほんとやめろよ。壊さなくても別にいいだろ。お前さんとこの神様とか否定しないからさ……。
チベタンをはじめ、多くの欧米人でも賑わい、塔を囲むようにして、ゲストハウスや土産物店が軒を連ねる。
周辺を散策すると、「ゴンパ」と呼ばれる、各宗派の寺的な建物が点在している。
寺の形状や僧の格好等はさほど変わらないが、祀られている仏像の種類や形状が異なっていた。そこが違い?
帰りはバスに乗り込んだが、こちらの方がわずかに高いので、テンプーがお勧め。
ちなみに、乗り場は「地球の~」の通りだが、車体が青い奴以外は別のところに行くようだ。
昼食はカレーがうまい所へ。
「Western Tandoori&Naan House」というローカルで、オムレツカレーとナン、50+30R。
安い!
ダルバートも勧められていたが、店先で焼いているのを見たら、ナンが食いたくなった。
ナンは小麦粉の甘みが非常に心地いい。カレーはトマトベースが効いていて、グルタミン酸が分泌され、酸味もあってうまい。インドにはない工夫である。やはりカレーはネパールが一枚上手?
もう少し入りそうだったので、「New Everest Momo Center」へ。
メニューは名前のごとくシンプルで、バフモモのフルとハーフ、ジュースのみ。
写真はハーフサイズ、35R。フルは2倍の量と価格。わかりやすい。
モモのサーブ後、別の人間がなみなみとソースを注いでくれる。これまで見たことのないスタイルだ。
さて肝心の味だが、うむ、うまい。
皮は厚め、肉汁をしっかり閉じ込めてある。ソースが酸味の効いたスパイシー仕様で、バフモモの獣臭さを緩和してくれる。逆に言うと風味が死ぬ。どっちもどっちか。
これであの価格なら大満足である。
街のお土産屋を冷やかす。KATさんに教えてもらった、価格表示のある大型店舗で相場を見ておくと、辺りの店がいかに盛っているかがわかるww
散策を終え、コーヒーがうまいと噂の「ちくさ」へ。
ブラックのカップ、70R。
コクの強い、ロースト強めか。流行りの酸味のあるタイプではないようだが、苦みにいやらしさがなく、うまい。「オーガニック」をうたうだけのことはある。
そろそろ夕飯時、ということで、ローカル飲み屋へ行ってみる。
そういえば、「孤独のグルメ」新刊が発売されるんだよね!
(ほう、ここかぁ、M君の言っていた、ローカル飲み屋っていうのは。雰囲気十分。入ってみようじゃないか)
ハルキ、戸を開ける。
店員「Welcome, Sir」
ハルキ「One person.」
店員「Yes」
席に腰かけ、メニューを見る。
『あそこの店にはトンパって酒がありましてねぇ、お湯を入れ続ける限り、無尽蔵に飲めるんですよ』
たき…M君はあんなこと言ってたが、本当かなぁ……。
ハルキ「Excuse me!」
店員「Yes」
ハルキ「Tongba and Buff Chilly」
店員「Yes」
(それにしても……)
ハルキ、店を見回す。テーブルで一人酒を飲む男や、飯を待つ東洋人などがいる。
(まるで日本の居酒屋じゃないか。このちょっと暗い照明とか、いかにもって感じだなぁ……)
店員、やって来て静かに置く。
店員「Tongpa, Buff Chilly」
Tongpaにお湯を注ぐ店員。
Tongpa 大きめ缶詰を型に作った土器の様な見た目。発酵させた何かの実が満載。お湯を注ぐと、麹の様な香りが漂う。
Buff Chilly バフ肉とトマト、青唐辛子をカリカリに痛めた逸品。辛味の緩和に生大根が添えられている。
(ほう、これがトンパか……。思ったよりも迫力があるな。このストローで吸うのか?)
一口啜り、目を見開く。
(何だこれ?まるでドブロクじゃないか!日本酒の様な香りがするぞ。これはいったいなんの実なんだ?いや、それよりも、なぜお湯を注いだら酒になるんだ?
いかん、つまみつまみ。バフチリだ。名前にたがわず、いかにもって感じの見た目だな。この楊枝で食べるのか……ほう、バフはカリカリ、寧ろ焦げているレベルだ。しかし、コイツは結構匂いが強烈だ。これくらいになっている方が、全体と馴染むのかもしれん。コレはいけるぞ!)
店員やって来て、Tongpaにお湯を注ぐ。
ハルキ「Thank you」
そこにやってくる、日本人の団体。いくつか注文し、同じくTongpaも。ハルキ、黙々と食べる横に運ばれてくるTongpa。お湯を注がれる。
女性1「へー、これでお酒になるの?」
男性1「そう。これでしばらく待って蒸らすんだよ」
女性1「へー」
(そうか……時間を置くのか。うーむ、いかん、どうも先走って飲んでいた様だぞ。これはしばらく置いてみよう)
Buff Chilly食べつつ、間を置く。
(よさそうだぞ。おお、さらに香りが深まったなぁ。それにしてもこれ、一体何杯飲めるんだろう……)
食べ終え、物足りなさを感じ、メニューをもらう。
(やはりモモを食べたいな。いかにもつまみっぽくていいじゃないか。昼にも食べたが、味が違うってこともあるし。ようし、これで行こう)
ハルキ「Excuse me!」
店員「Yes」
ハルキ「Buff Momo, 1 Please」
店員「Sorry, it’s finished」
ハルキ「Really?」
(ガーンだな。完全にモモ腹にしてしまっていた。そうなると、フライドライスか、チョウメンか……。しかし、まだそういう感じでもないしなぁ。ん?マサラオムレット……これにしてみるか)
ハルキ「Masala Omelette, 1」
店員「Yes」
店員、お湯を注いで去る。
店内、人がどんどん入って来て、東洋人とネパール人で満ちていく。ハルキの席も次々に人が押し寄せる。
(うーむ、これは〆だ何だといってられないなぁ。オムレツで最後にしよう)
料売りが来るまで、数度お湯を足していく。そのうち、オムレツが来る。
(いよいよ味が薄くなってきたな。ここいらで最後か)
Masala Omelette チリなどの具を入れて焼いた、平べったい逸品。目立った味はなし。ケチャップをたっっぷりかけるのがいい
(シンプルな卵味に具のアクセント。これこれ。こういうものでいいんですよ、俺は)
ケチャップなどの調味料をかけ、Tongpaと一緒に食べ勧め、完食。
ハルキ「Thank you」
店を出ると、少し暗い。停電のようだ。
(まさに地元の居酒屋、って感じの店だった。酔いが回ったが、これで総額250Rとは・・・・・・。すごいぞ、ネパール)
店を振り返る。
(やはり街を知るには3泊では足りないな。ネパール、また来る必要がある国だ……)
ハルキ、街の喧騒に消えていく
長いわ!
びっくりした、途中で挫けるかと思った。
帰りに「Third Eye Bakery」へ。
PM8時~半額になるケーキ狙いで、マンゴームースケーキとアーモンドコーヒーケーキ購入。半額なので、合計105R。マジかよ!
いや、確かに、2つはいらんかもしれん……しかし、ここに滞在できるのは残りわずか!ならば食う!太るとかそういうのは、ダメなら痩せればいいだけのこと!だから全然OKだ!
マンゴームースケーキ、思ったよりもマンゴー感あるぞ!甘さ控えめだが、間のチョコレート層のビターさがいいアクセントになっている。
アーモンドコーヒーケーキ アーモンドの香ばしい香りと食感が、ビターなコーヒー風味とマッチ。甘さはやや強いが、絶品。
間違いなくあたりだ!さすがM君、ケーキという観点では昨日のとこを圧倒的に凌駕してるじゃないか!
1か国2週間は短過ぎる。つっても最初はそれでまわしていたわけで、続ける過程で見えてくることもあるということだろう。
明日も観光地に行ってくるぜ!