第百四十四話 Nにラブソングを / 至高の頂・嗜好のいただき!
出立153日目 ネパール7日目 ポカラ5日目
早朝、インドへ向かうS君を見送る。私ならネパールからインドへは向かいたくないけど。
こちらも支度を整えて、出発する。長期滞在者らに聞いても、今日はいい日取りのようだ。
目指すはサランコット。ヒマラヤの山々を一望できる丘である。
標高1500m程度。S君は「4時間くらいかかりました」とか言っていたが、地図上の最短ルートは6km程度。高低差を考えても懐疑的にならざるを得ない。
出発は6時過ぎ。
民家の間を抜け、石畳や石の階段を上がっていく。
途中にゲストハウスもいくつかあり、前日に登って宿泊し、朝一で見るという方法もある様だ。ある程度日が昇ると雲が出て、山々を覆ってしまうためである。
急な階段もあり、休み休み行く。途中で日本人団体に会い、おばさまが「懐かしい(?)」と言って、飴ちゃんをくれた。海外で別の日本人に会ったのが嬉しかったのだろうが、言語体系が混乱し過ぎである。
アラサー・ニートの足で所要時間2時間程度。山頂入口で30Rの入場料を払って先へ進むと、ついに見えてきた。
超スゲーっ!!
目立って尖っているものが、マチャプリという山で、手前にあるため、大きく見える。その他はアンナプルナⅠ~Ⅳという、少々味気ない名前だが(笑)、圧倒的な迫力。カメラの範囲では収め切ることが能わないのが悔やまれるが、視界の120度くらいがヒマラヤの高山で埋まるというすごい状況なのだ。いやー、これはここに来なければ伝わらん感動!
地元の子どもたちと遊びつつ、山を眺めていると、見知った顔の2人が。何と同じ宿のSさんとOさんである。2人はタクシーで上がってきたようだ。
おそらく先程の団体も車で来たのだろう。20分くらいで来れるらしい。
還暦を過ぎて登頂までしたSさん曰く、今日は特別によく見える日のようだ。左端には「Dhaulagiri」、右側には「Manaslu」くらいまで見えている。
どれもすべて7000m~の山々。雪のかかっていない辺で4000mくらいらしい。
富士山意味ねーな。
上空にはコンドルが舞い、雰囲気を盛り上げる。日差しは強くなるが、風が気持ちよく、眺めているだけで飽きない。
そのまま2時間程度眺める。次第に雲が出てきたが、今日はよく見える日なのだろう。
10時を回る頃には、すっかり隠れてしまったので、降りることにした。
途中、お二人とはお別れし、来た道を戻る。
パラグライダーの群れが舞っている。レジャー的には10,000円くらいでできるらしい。タクシーで登って、グライダーで降りてくるのが多いとか。そのため、下りのタクシーは、行きと比べてかなり安く乗れる。
これまた2時間ほどかけて、下山。ホテルで一休みである。
4Fの交流スペースに上がると、「パフェパーティ」と称して、宿泊者たちがお菓子やアイスを楽しんでいた。お言葉に甘えて加わる。
レイクサイドが見え、風も時折吹く。お茶や乾燥ゴーヤなんかもごちそうになりつつ、日光を反射するその光景に目を細める。疲れた体に心地いい。
最後まで不明なフレイバーのアイスもあったなぁ。
考えてみればまともに飯を食っていなかった。
マンガを読んでから、サランコットからの帰り道に見つけた「BUDDA」という店へ。
洋楽が流れ、どことなくリシケシにありそうな雰囲気の店で、欧米人たちがカードを楽しんでいる。まったりとした雰囲気がなかなかにいい。
ここでBuffモモとミントティーで遅めのランチ。160+25R。
ホテルに戻り、4Fで寛いでいると、隣室のEさんが話しかけてくれた。
これまで行った国など、いろいろ話しているうちに、明日の予定が決まった。ポカラ1日延ばそうかなー。
色々とやっているうちに19時を回ったので、夕食へ。
サンタナ情報ノートにあった、「この街で一番おいしいダルバート」を食いに出かける。
2km近く離れているので、いい運動である。よりにもよって今日じゃなくてもいい気がするが。
「マイリ・パンチャ・ガール」という、「地球の歩き方」にも載っている、ダルバートオンリーの店。「遠方からわざわざ車で食べに来る人がいる」だの、「中毒性のある、至極のダルアート」だのと、どいつもこいつも大げさである。
こちらがそのダルバート。チキンカレー付で280R。付け合わせ系が多くていいじゃないか。しかしどうだろうな。
至高のダルバートだわ。
まずダルがうまい。複数種の豆を使用し、うまい具合にまとまっているし、いつもは足りない旨みもたっぷりある。チキンカレーはデリーのアンナブル~に匹敵するおいしさ。カレー炒めや小松菜等、その他のおかずもまとめてクオリティが高い。うーむ、これは納得だ。
ただ、かなり忙しいようで、店員の対応自体は遅い。
が、遅くなったことを誤ってきたことが衝撃。インドの感覚をいつまでも引きずって何だが、やはりこちらの国の方が人あたりがいい。
いよいよポカラも大詰め。日に日に近づく帰国に対する焦燥と、次に出会えるものに対する期待。明日は何が待つのやら。