第百三十四話 Iが止まらない / さらばリシケシとヨガの眠り
出立144日目 インド58日目 リシケシ16日目
移動日……といっても、バスはPM10時発。まだ慌てる時間じゃない。
しかし、最後のヨガを企んでいた「OM SHANTI OM」は今日から8時スタート。移動には30分を見たい距離で、起きたのは7時半を回っていた。
もう慌てる時間である。
ギリギリ間に合った。というより、多少はインド時間的なもんがあるだろうと思っていたのが、その通りであった、と言った方がいいか。
そして時間変更の影響だろうか。人は少ない。見知った顔が大半を占めているところを鑑みると、一見さんも多い、ということだろう。
そういう状況を鑑みたのか、ヘビー級のフルコース。うーん、スパイシー。
今日で最後、という話をしたら、ガネーシャのキーホルダーをくれた。お土産屋でも売っているものだが、これほどうれしいことはない。ありがとうございます、マスター!
「OM SHANTHI OM」はこんな感じ。ゴム製のマットを持参するとよい。
久ぶりに朝食は「Devraj Coffee Corner」で取る。やはりショコラバケットはここだろう。ナッツの食感が言うことなしだ。
そして「Yogi tea」という、ジンジャー等の入ったお茶。最後だし、そういうものを飲む権利もあるだろう。
相変わらず、今日は雨が降っており、10時ごろにピークを迎えていた。そう泣くなよ。きっと、また来るからさ。
チェックアウトしようとしたら金が足りないので、近くのATMへ。
と思ったら取引停止中。
そう、空っぽなのだ。
ラクシュマンジュラまで降りまくるが、全然ない!ヤバい!まぁ見つかったが。
そこにも人が群がっていたから時間の問題……。思えば、ダラムサラもATMなんてあまり見かけなかったし、こういう山間の街では死活問題だな。
恐るべし、インド。
チェックアウトを済ませた私は、再び町のカフェへ向かった。
この街ともさらばか。2度ほど行ったカフェの店員が、「My brother!」と声をかけてくれ、見上げると店員全員で敬礼していた。どういう挨拶だww
そういえば、インド人はよくこんな感じで呼びかけてくる。
多いのは「My friend!」で、一見でもこれ。何度か顔を合わせると、前述の「brother」になるようだ。これはインド人間でも同じ様で、「彼は俺の兄弟だ」と紹介される場合でも、必ずしも血の繋がりのある者を指すわけではなく、親しい関係の人間全てに使用するらしい。
一番困惑したのは、橋を渡っているところで、何か喋った後、急に腕をつかまれ、一緒に写真に写ってくれ、と言われた時である。
彼らはなぜか外国人と撮りたがるらしく、全く知らない人間との記念写真を、この街で3回はしている(こいつは俺のフレンドだ、とか他人に見せながら言うんだろうか)。
話は逸れたが、思い返してみると、腕をつかむ前、「My son!」と呼び止められていた様だ。
いや、それは無理あるだろう。
歳はそれくらいは慣れているかもしれないが(インド人→歳とって見える、日本人→若く見えるらしいので、必ずしもそうとは限らないが)、俺のオヤジは日本にいるあの人だけだし、結婚も(その目途も含めて)まだだし、何よりお前は誰だ、と。
あぁ、まこと面白きかな、インド人。
「Freedom café」で昼食を。なぜかメキシカンと並んでイスラエル料理が多くの店にあり、この店も例に漏れない。メキシカンはタコスとかブリトーとか、何となくなじみもあるが、イスラエル料理って言われても……
案の定、「Humus」とか「Falafel」とか、まったく中身の想像できないものが並ぶ。かといって検索してから……は何か違う、美学的に。
「Plain fatut(with fresh tomato sauce)」130Rをチョイス。出てきたんがこちら。
案の定、全くわけが解らん!!
とりあえずそれぞれ確認。
左のは小麦粉を練ったものに味が付いている。いわば細かいナンといったところか。
そして、真ん中のは辛味の効いたソース。これはうまいな。結構効くけど。
そして右がすりおろしたトマト。何の味もついていないトマト。サラダ的な感じか?
取りあえず、真ん中のを左に適宜かけつつ、その後右のを食べる、というスタイル。
メニューの下の欄には「Cheese fatutu」とあったが、おそらくこの生地にチーズが含まれているのだろう。
待てよ。ということは、この右のトマトすりおろしがfresh tomato sauceということか。
そうなると、これをかけて食べる、ということか。しかし、水分も多いし、ぐちゃぐちゃになりそうだなぁ。このまま継続しよう。
……という、別に文字に起こす必要のない葛藤があったのだったww
他のメニューも「fresh tomato sauce」が多いということは、これがイスラエルのフェイバリットなのかもしれない。
「理性のゆらぎ」を読み終え、ホテルに戻る。
出発までは大分あるが、ここで時間を潰す。
沈みゆく夕日を、ラクシュマンジュラの橋から。これで見納めというか、初めて見たわ。
バス乗り場までは距離があり、乗合リクシャーが終わる可能性があるため、早めに出発。
荷物大きいから2倍の20R。
今更だが、やはり来たときのリクシャーは吹っ掛けすぎだな。事情がなければ乗る必要はない。
ローカル食堂で、それしかないというのでマサラドーサ。
そしてバス。思ったよりもこじんまり、しかしきれいでホッとする。
座席番号を言われていたのに、案の定、座席番号はフラれていなかったので、適当に座る。
さすがは適当王国である。
デカい音で音楽がかかる等、いろいろあったが、そこまで寒くないしこれなら……。
悪路乙!
揺れすぎてあんまり眠れない……。
そして更なる罠が、翌朝にはまっているのであった……。
ってまぁ、これ掲載時はデリーなわけですがww