第百十五話 Iが止まらない / EXILE TRIBE
出立125日目 インド39日目 ダラムサラ11日目
本日3/10は、チベタンによる「NATIONAL TIBETAN UPRISING DAY」、即ちデモ行進の日である。
毎年この日、1959年のラサ蜂起に合わせる形で行われる、中国によるチベット民族弾圧・侵略行為に対する、「Free Tibet」なデモ行進である。
出発準備中、ドミトリーに今朝着いたばかりの日本人・Kちゃんがやって来たので、連れたって8時過ぎにダライ・ラマ・テンプルへ。
既に寺院前は学生などで溢れている。中に入り、K女史らに挨拶したり、見て回っているうちに、笛と太鼓のマーチが聞こえてきた。備え付けられた講壇に向けて、複数のお偉いさん方が、楽団の間を抜けてやって来た。
チベタンの他、招待客のドイツ人(役職不明)の女性がおり、彼女も挨拶する。
……が、長い。
次のチベタンも長い。
うん、他の国のことにここまで一生懸命になってくれるなんて、大変素晴らしい人だと思う。
あとはもう、聞いてる側の気持ちが理解できれば大丈夫。肝心のチベタンが飽きてるからさ、そういうとこ踏まえて次は持って来てくれるかな?以上。←何様だ。
ようやっと終わった式典の跡、一行はここマクロードガンジから、5km程下ったダウンダラムサラまで行進。なんでも、チベタン学校の生徒は強制参加らしい。
ま、学生の参加態度なっていうのは、どこも同じだ。中学~高校生は押して図るべし。
楽しそうに駆けまわってるなぁ。
フェイスペイントや行列管理するボランティアスタッフもいるようで、案の定、欧米人ノリノリである。
肩にかけられるほど巨大なチベット旗を羽織る欧米人たちも。
どうでもいいが、お前ら終わった後そんなデカいのどうすんの?
当たり前だが、捨てれば国際問題だから、大切にお持ち帰りいただくしかないんだが……良くも悪くも、思い切りのいい奴らである。
長時間バスで揺られてやって来たKちゃんと別れ、たまたま合流したMくんと一緒に列を追う。それにしても、今日はこれまでで一番天気がいい。
雲一つないし、山が最高にいい感じに見える。
しかも、暑い。えっ?マジで?昨日雹降ってたよね?半袖いけるんですけど?
山の天気は変わりやすい。
途中何度も詰まりながら、都会に降りてきた。下界はインド人の方が多い。
下のどこかで再度アピールがあると聞いていたが、まさか大通り沿いのちょっと開けた程度の場所でやるとは。
店の2階から声を上げる演説者たち。賛同するチベタンたちの声。
演説者たちは何人か代わり、その度に声が上がる。すごいなー、と振り返ると、アレ?なんか人減ってね?学生たちも帰り始めているし、明らかに集団の中央部分が空洞……。
まぁ、行進が一番大事か!
帰り際にM君と昼食。インド人レストランでターリー。
ま、例によってやらかしてくれましたよ。
だからさぁ、ないんだったらまず「なかったんですが、こっちならあります」っつって持って来いよ。お前らの店でどれがそのメニューの商品として出されているのかわかんないのに、黙って渡しといて、お会計の時に高い値段請求してくるって、強盗かよ。
しかも自分たちの非を認めたのに謝ることは決してしない。
……つまり日本人の感性からすると、いきなりアウト、ってわけ。
帰り道で車で接触しといて謝らない、クズもいたし。
クラクション鳴らす→直後にMくんに突っ込む→ケガにはならなかったが、睨み付けたら鳴らしただろう、みたいな両手を上げるリアクション→キレたM君の全力ファッ○ユーポーズ→天の裁きか、車エンスト→私pgrポーズ(一番大人げない……)
久しぶりに絡んだら、やっぱりクソなインド人(が多い)。
汗をかいて帰り着く頃には16時に。おお、1日仕事。今日の予定ができてよかったぜ!
夕飯どうしようかなーとか思っていたら、コリアンズから夕食のお誘い。
Sちゃんは長期滞在のため、キッチンを借りて自炊しているが、今日はビビンバを作るので、よかったら……とのことだった。
それならば、と屋台でソーセージ50Rを購入し、持参。Kちゃんも交えて、日韓会合と相成った。Sちゃんはイマイチと謙遜していたが、インドで韓国料理が食えると思っていなかったし、普通にうまい。
ソーセージは、血を詰めた感じのやつ?なんかカオマンガイをタイで食ったときについてきた灰色の豆腐状のものが確かに近い味だな。ようはアドベンチャー味。
まぁ、地元民には人気の屋台なんだが。
そんな同じドミのコリアンT君とも明日でお別れである。
彼もリシケシに行くらしいが、長期はいないというから、おそらく最後になるだろう。1週間も一緒の部屋だと、やはり寂しい。国際情勢で言えば、日韓関係は思わしくない状況だが、少なくとも、旅先であったコリアンに悪い・嫌な奴はいなかった。
ま、これも個人によるところが大きいと言われれば、それまでだが。
チベット問題はかなり根深い。
今回、仏教的な観点でここまでやって来たが、民族問題は避けられない命題である。
明日はこれまで閉まっていていけなかったりした、博物館に行ってみようと思う。