第百五話 Iが止まらない / 巡り会い、ダラムサラ
出立115日目 インド30日目 ダラムサラ2日目
ゲストハウスの屋上からは、遠い山々が見渡せる。
曇り&靄でいい天気とは言えないが、なかなかにいい景色の中でのスタートである。
さて、バナナマフィンとオレンジを朝食に、「ダライラマ・テンプル」を目指す。
ここは名前の通り、おそらく彼が来た際には滞在するのであろう。
建物自体はコンクリートの打ちっぱなしにペンキ塗った、よくある何でもない建物。
やはり、僧をはじめとして多くのチベタンがお参りしている。外国人は数える程度。
仏像も金ぴか派手派手できらびやか。うん、特に見るほどのものはないなぁwww
もう一つの目的、チベットミュージアムは閉まっていた。時期的な問題だろうか?
確かに、日本レストランも3月からの営業だとビラが貼られていた。
しかし入り口にあるこの像は衝撃。もともと、こちらはチベットの亡命政府のある街。それ故に、実はアンチ中国政府なわけだ。これは焼身自殺で抗議した僧を立体化したようである。
仕方なくホテルに戻ってシャワーを浴び、飯でも行くかと思ったら、同室の韓国人・Sちゃんと友人が、これから日本人夫妻に会うけど、来ないか?と誘ってくれた。
是非もなし、付いていくことにする。
N夫妻は1年ほど旅をされており、すでにここダラムサラに長期滞在中であった。
我々は「BLACK TENT CAFÉ」でお茶。
こちらが店の名を冠した「BLACK TENT TEA」50R。ライチ、竜眼などのフルーツと、氷砂糖がティーパックと一緒に入っている。
お湯が徐々にドライフルーツやティーパックから成分を抽出し、氷砂糖を溶かしていくため、最初はタダのお湯→激甘ティーへと進化していく。
甘くて耐えられない感じになったのだが、お湯を継ぎ足していく方式の様で、事なきを得る。
えらく経済的な飲み物だ。
そして、N夫妻とはなんと、ブッダガヤで会っていたことが判明。
仏心寺でのお勤めの最終日、その日に入ってきたのが彼らだったのだ。
そう言われてみると、確かに見覚えが!
いやー、実に不思議な巡り合わせ。広いインドで、しかも何百kmも離れた場所で再会するとは……。何かご縁があるのであろう。
N婦人は韓国語が流暢で、彼女を中心に話が盛り上がる。なんでも日本から輸出された単語は、対象が男女逆になることが多いらしい。
例えば、「おねぇギャル」という単語が示すのは、「キレイに化粧をした女性」といった具合。
まぁ、そういう願望のおねぇもいるわけだし、他国の言葉の上とはいえ、なれてよかったな!(←適当)
Sちゃんの友人は今日が最終日とかで、お見送り&解散。
そういえばまともに飯食ってなかったな、と思い出し、「Piece Café」という店へ。
ここのチーズテントゥクがうまい、というので頼んでみた。
テントゥクは以前、ブッダガヤでも紹介したが、ぶつ切りきしめんというか、すいとんというか、まぁ、そんな感じのチベット料理である。
既に外は雨が少し降って肌寒い。凍えた体(言い過ぎ)にはやっぱあったかい汁物でしょ!
うん、うまい!
チーズが溶けて麺(?)やスープと絡み、濃厚なコクを生み出している。野菜の清涼感が、塩ベースのすっきりスープと相まって、チーズがしつこく感じない。
ああ、温まるなぁ……。
食べた時間も微妙だし、天候も半端だしで、ホテルから出ない可能性を考えて買い込み。
Sちゃんはドミのあまりの寒さに、シングルルームへ移ったらしい。
デリーで買った寝袋使用のおかげで、少しも寒くないわ!
珍しく先見の明があった。
いや、待てよ。俺と2人で1部屋が嫌だったのか……?
やめましょう、詮無きことですわ!
中途半端な時間に食事をしたため、夜はチーズマフィンとドーナツを買って帰る。
こういうものが帰る所がある、というのが、インドでは珍しいわけで、これは沈む理由が激しくわかる。酒も超買いやすいしね。
のんびりするには、この街はかなりお勧めと見た!