新劇場版 世界の果てまで行って:破

新劇場版 世界の果てまで行って:破(仮)

このブログは、特撮オタクの私が、5年半努めて勤めた会社をやめて、ユーラシア大陸をめぐる物語である。〈背景のモデルはフルスクラッチです:自慢〉

第九十四話 Iが止まらない / ダンシングヒーローズ

出立104日目 インド19日目 ヴァラナシ7日目

 

 

今朝のガンガーは想像以上の靄で朝日どころか10M先が見えないYO!

 

朝食を食べて少し休み、お昼頃に街の様子を見に出かける。

今日はヴァラナシ最大級の祭りの日なのだ。

 

「シヴァラトリー」とかいう、ヒンドゥー教の最高神の一柱・シヴァ神を称えるお祭りである。

 

事前情報では、「朝から店は休みで~」ということだったが、お昼の街は人が多いだけで特に何かあるわけではない。

 

昼食は日本料理「とんかつ定食」を食べたが、まぁ、こんなもんだろう。

 

街を彷徨うと、路地を通る楽団が。

道幅1m程度の道で、よくやるな。

 

本格始動は夜のようなので、一度解散して、夕方再び集合。

インド人に聞いたら、「19時くらいから、ダンスとお祈りとバングラッシー!」と言っていたが、どの状態がそれなのかわからないので、盛り上がるまで夕食でターリー。

 

店を出ると、音楽が鳴り響き、所々に人だかりができていた。

音楽に合わせて踊る人々と、我先に飲み物を受け取っている人たち。

 

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さて、シヴァ神とは、破壊の神である。

終末に世界を終わらせる神らしい。何ゆえ信仰されているのかは不明だが、想像の前に破壊あり的な、ジェネシックガオガイガーみたいな感じだろう。

 

ちなみに、踊りの神でもあるらしく、それでダンスミュージックが流れているのだろう。

 

最後に、「バングラッシー」であるが、これは簡単に言うと、大麻入りラッシーである。

インド人はこれも非常に楽しみにしており、見ると子どももガブ飲みしている。

だ、大丈夫なのかっ!?

 

いや、たしかに煙草やアルコール、ケミカルに比べれば中毒性もないが、ないが!

 

流石は破壊神。精神を壊した上の昂揚感で集団メディテーションかと思っていたが、モラルまで破壊とは。

しかし、これはあくまで日本的な価値観。郷に入りてはひろみに従えである。

 

せっかくなのでもらってみようと、配布場所に。いらないというJさんを残して近寄ると、インド人に腕を掴まれた。

よくわからないが、「そうか、お前も飲むか!」という感じ。

飲むけどよ!

警戒レベルが上がるこちらにお構いなしにコップを取ってくべると、私に。そして「あおれあおれ!」とジェスチャー。

いや、最悪のケースありえるじゃん!とJさんを目で探す。見つけたが、こちらに気づいていない!

その間にもなぜかインド人に囲まれる。

さぁ、盛り上がってきましたよ!

 

Jさんに声をかけつつ、促されるままにスピーカー付近に。そして流れる爆音。

「踊れ踊れ!」という手振りで踊り出すインド人。

警戒レベルUP!しかし、ここで引くわけにもいかん!と軽いノリで合わせていたら、東洋人がインド人と踊るのが珍しいのか、インド人の人だかりが。っていうか、囲まれてる!!

 

更に子どもたちや別インド人たちが加わって、激しいダンスを展開。

私を中心に!!

な、何故こうなったっ!!?

 

「あおれあおれ!」とまだカップに残ったバングラッシーを示すインド人。

ギリギリだ!いろんな意味でギリギリだ!俺が傍から見ている立場なら、止めるか、関わり合いにならないよう逃げる。しかし、今は私が中心!くっ……話がスゲェやばい方向に進んできちまったぞ!し…しかしここはもう、やるしかねぇっ!!

 

手元が完全にフリーになった私を中心に、大人も子どもも激しいダンスで体をぶつける!特に子ども!どつくな!

 

えぇいっ!!俺を誰だと思っていやがるっ!!!

と、ここでスイッチオンして同じく激しく踊り出す!!するとさらに増えるインド人ダンサーと取り巻き!ああっ、ヤバいっ!!!

 

無論、対策はしてある。

不測の事態を想定して、貴重品はホテル、現金も最低限をゴムで止めてポケットに入れてある程度。ヤバいのは携帯のみだが、チェーンで接続するという(これが一番恐いけどな!)、可能な形で防衛。

 

激しく体をぶつけられたり、子どもと組み合ったりで、もみくちゃにされながらも、意識は常に両ポケットに集中www

 

疲労してきたところで、最初のインド人が救出してくれ、今度はもち米のお菓子をくれる。

 

ありがとうといただくと、これがうまい。と思ったら、またインド人に囲まれた!!

オーマイ!!

 

ようやく解放された私は息も荒く、最初のインド人に礼をしてJさんの元へ。

そこに居合わせた同宿の日本人の集団が。

女子がひいた顔で見ていた。

(まぁ、会話特にしてないから、「ひかれる」程前提状態が高くないんだけどね……)

 

ああ、こういう運命、もとい業(カルマ)か。

 

Jさんにも宿の人にも「危ないですよ」と言われたが、そんなこつ、わしが一番わかっとるわ!!

 

ガートでチャイを飲んでいると、ブッタガヤ以来のHくんに再会。まぁ、ルート一緒だもんね。。。

 

21時過ぎに再び覗くと、ステージ付近で(道のど真ん中にあるんだが)、何やら偉い人が来ていて、何か激しいダンスが始まっていた。

 

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偉い人と司会がステージ上から、路上で行われるパフォーマンスを見るという、奇妙な絵面。しかも偉い人の後ろからのぞき込む一般人多数。

警備大丈夫か?www

 

各地で行われるダンスも盛り上がっている。一晩中やっているなんて話も聞いたから、祭りはこれからが本番なのかもしれないが、我々は撤退。

 

23時近い今も外からは賑やかな音楽が響いてくる。

 

それにしても、一緒に踊っているインド人たち、大人も子どもも本当に楽しそうで、いい顔していたなぁ。

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そこに一点の邪気もないようだった。これも本当のインド人の姿なのだろう。

 

かくして、ヴァラナシ最後の夜は、熱狂する街の喧騒と共に更けていった。